表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/160

第34話「初出勤!③」

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。

 いずれ秘書を配属させると、長官のアレクサンドラから事前に聞いてはいた。

 しかし、いきなり初出勤の当日、秘書本人が単独で、朝一番に自分の部屋へ尋ねて来るとは思わなかった。

 ストロベリーブロンドの美女エステル・ソワイエに「ふいをつかれた」事で、シモンは『女子苦手病』が再発してしまったのだ。


 制服姿のエステルは素敵だったが、スーツ姿の彼女も「きりっと」して、素晴らしい。


 年若い少年のように真赤になってもじもじし、うつむくシモン。

 対して、エステルは、少し戸惑いながらシモンを(いた)わる。


「あの、局長、大丈夫ですか? 顔、真赤ですよ」


「い、い、いや! じ、実は、お、俺、女子が苦手なので……わ、悪いけど、鎮静(ちんせい)の魔法を使わせて貰います」


「え? 女子が苦手? 鎮静の魔法を使う?」


 補足しよう。

 鎮静の魔法とは、文字通り騒ぎや高ぶった気分などを、鎮め落ち着かせる魔法である。

 

「よ、よいっと!」


 シモンは、「ささっ」と鎮静の魔法を発動。

 気持ちを落ち着かせた。


 再び補足しよう。

 実は……

 この鎮静の魔法こそ、シモンが自分自身へ行使する治癒魔法において、最も頻度の高い魔法なのである。

 シモンはトレジャーハンターデビュー当時、未知の場所に赴く際、結構多用していた。

 現代地球の我々ならば、初めてのお化け屋敷へ入る時、またはホラー映画を見る時にも有効な魔法だといえよう。


「はああっ……ようやく、落ち着きました。……まあ、とりあえず座ってください」


「え? 今、魔法を発動したのですか? 発動に必要な言霊(ことだま)詠唱(えいしょう)がほとんど聞こえませんでしたけど」


「ああ、大丈夫。既に発動しましたから」


「…………確かに、魔力の放出は感じましたが、本当に?」


 エステルは思い切りジト目である。

 「本当に魔法を使ったの?」かという、半信半疑な雰囲気だ。

 

 ここで言霊の詠唱はなしとか、発動時間もかからずとか、能書きをたれると単なる自慢となる。

 話題を変えた方がベストである。

 改めて行う挨拶が無難である。


「ええっと、じゃあ、俺も自己紹介しましょう。先日、王国復興開拓省に赴任。局長となったシモン・アーシュです。宜しくお願い致します」


 シモンは遅ればせながら、丁寧に自己紹介をした。

 しかし、エステルは反応しなかった。

 もっと気になる事があるようだ。


「あの、局長」


「はい、何でしょう?」


「女子が苦手って……私が、苦手なのですか?」


 私が苦手? ……とは、微妙な質問である。

 シモンはストレートに答えられなかった。

 

 はっきり言って、答えは『いろいろな原因』により……だ。

 シモンの『女子苦手症』はいろいろな原因がありすぎる。

 幼い過去に戻ってじっくり話をする必要もあるし、初対面の女子に告げてはまずい内容もある。


 話せば話すほど、ややこしくなりそうである。

 第一、話が長くなる。

 時間がかかって不毛だとシモンは考えた。


 なので、更に話題を変える事にした。


「ええっと、エステルさん」


「はい、アーシュ局長」


「念の為、お聞きしますけど……貴女が俺の秘書さん……なんですか?」


「はい、本日付けで、人事部より辞令が出て、私エステル・ソワイエはシモン・アーシュ局長の専属秘書になりました。お聞きになっていませんか?」


「え? 専属秘書? 長官から、秘書がついてくれるとは聞いていましたけど」


「多分、人事部担当の連絡ミス。つまり行き違いですね。通常ですと、間違いなく連絡が行きますから」


「そうなんですか……まあ、良きサプライズという事にしときます。でも俺に専属秘書さんがついてくれるなんて、全然現実感がないんですよ」


 シモンがそう言うと、エステルは花が咲くように微笑んだ。

 とても魅力的な笑顔である。

 鎮静の魔法がなければ、舞い上がってしまうに違いない。

 王都で人気の有名美人女優みたいだと思ってしまう。


「そういえば、局長にお会いするのは2度目でしたよね?」


 シモンが落ち着き、エステルの発言も差し障りのない話題に変わった。

 安堵したシモンは軽く息を吐く。


「ふう、ああ、1階の魔導昇降機ホールで会いましたよね?」


「ですね! あ!」 


 シモンが調子を合わせた時。

 エステルがハッとした。

 彼女の視線は壁にかかった魔導時計に注がれていた。


「ああっ! きょ、局長! た、確かもう幹部会議の時間ですよ。早く長官の執務室へ急がないと」


「あ、やば!」


「局長、誠に申し訳ありません。私に引き留められたと仰って構いません」


「いやいや、集合時間を失念していた俺が全て悪い。そんな事言わないですから!」


 エステルと「なんやかんや」と話している間に……

 時刻は会議開始直前の午前8時58分となっていた。

 シモンは慌てて、5階の長官執務室へ走ったのである。

東導 号 書籍化作品

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

特報!

〇小説書籍版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

最新刊第8巻2/19発売!《第8巻のみ電子書籍》

ぜひご購入をお願い致します。


〇コミカライズ版Gファンタジーコミックス

☆最新刊第4巻が1/27に発売されました! 

ぜひご購入をお願い致します。

特報!

最新刊第4巻が重版致しました!!

第1巻、第3巻に続きました。

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


☆2月18日に、スクウェア・エニックス様の刊行雑誌

月刊「Gファンタジー」3月号が発売されました!

コミカライズ版《藤本桜先生作画》最新話が掲載されております。

こちらがコミカライズ版の『最終回』となります。

お見逃しなく、ぜひ読んでみてください。


Gファンタジーコミックス第1巻~3巻大好評発売中!

※第1巻、第3巻は『重版』

◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

第1巻~7巻大好評発売中。


☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。

何卒宜しくお願い致します。

※書籍版、コミックスともご購入報告は大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ