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第105話「王都探索デート⑤」

 ランチを終えたシモン、エステル、クラウディアの3人はいまだ市場に居た。

 食事エリアを出て、魔道具や骨とう品を売るエリアの露店を冷かしている。


 やはりというかシモンは、索敵を欠かさない。

 エステルとクラウディアは非常に目立つからだ。

 たおやかなストロベリーブロンドの美女と、金髪碧眼の高貴な美少女は、世の男子達の目をとんでもなく引きつける。


 当然、市場の客、従業員等々、男子達の誰もがふたりに注目する。

 数多(あまた)の熱い視線を感じ、クラウディアは言う。


「ねぇ、エステルお姉様」


「何かしら、クラウディア」


「オーク討伐に続き、山賊1,000名も簡単に生け捕りにしたシモン様、本当にお強いお方ですね。ウチのお父様もお母様もたいそうお喜びですわ」


「ええ、今回私は目の当たりにしたのよ。局長はとんでもない強さだわ。そしてまだまだ底が知れない」


「はい、シモン様はどこまでお強いのか……先ほど絡んで来た男達を排除したのも。本当に頼もしいですわ」


「でもクラウディア」


「何でしょう、お姉様」


「局長だけに頼らず、私たちも邪なアプローチを排除する努力を致しましょう」


 エステルの言葉を聞き、クラウディアも同意した。

 ふたりには、今までのように「シモンに守られっ放し」では、宜しくないという自負がある。


「邪なアプローチを私達も排除……お姉様のおっしゃる通りですわ。でもどうやれば?」


「簡単よ。こうするの!」


 エステルはそう言うと、シモンとつないでいた手を一旦外し、身体を密着させた上、腕を組んだ。

 ひと目でシモンと『深い関係』であると、はっきり分かる示威行動だ。


「成る程! 私達、恋する女子から、愛しいシモン様への強力な想い人アピールですわ!」


 クラウディアもにっこり笑い、同じように身体をぴたっと密着させ、腕をがしっと組む。


 ふたりに抱きつかれ、シモンの身体が、ガチガチに強張った。


「うお! こ、こうなると! お、俺の方が、緊張する!」


「うふふ、局長って、可愛い!」

「本当ですわ、勇猛果敢なシモン様も女子には甘いというか、弱いというか、うふふっ」


 甘えまくるエステルとクラウディアには、シモンも形無し。


 だが、こうなると、ナンパをしようとする輩も声をかけにくい。

 逆に……

 ここまでしてもまだアプローチしようとする者は相当たちが悪いといえる。

 シモンも遠慮なく排除出来るのだ。


 さてさて、シモンがふたりといまだに市場に留まっているのは、理由(わけ)がある。

 実は次のイベントを行おうとしているのだ。


「エステル、クラウディア」


「はい、局長」

「はい、シモン様」


「ここでゲームをしようか?」


「ゲーム? 面白そうですね」

「何を致します? チェスですか? それともカードゲームでしょうか?」


 尋ねるふたりに対し、シモンはにっこり。


「トレジャーハントゲームだ」


 シモンがそう言うと、エステルはすぐに気付いた。


「ええっと、トレジャーハントという事は……局長がかって従事した業務のように、この王都を迷宮か、遺跡に見立て 3人で探索するのですよね?」


 エステルが尋ねると、クラウディアが、はたと手を叩く。

 彼女もシモンの意図に気が付いたようである。


「うふふ、分かりますよ、シモン様」


「お、おう。何だい、クラウディア」


「はい、先ほど私達を職人通りへ連れて行き、アミュレットのサプライズプレゼントをして頂いたり、未知たる露店のランチをして頂いたり……引き続き、今日のデートは、王都を様々な形でトレジャーハントするという趣旨ですよね?」


「ああ、ふたりの言う通りだ。……という事で、早速ゲームルールの説明だ。質問があれば後で受けるから、まずは俺の説明をひと通り聞いてくれないか」


「分かりました、局長」

「とりあえず、ひと通りお聞き致しますわ」


 シモンの言葉を聞き、エステルとクラウディアは「了解」とばかりに頷いた。


「では、説明を開始する。……周囲を見れば分かるように、市場のこの区画には、魔道具や骨とうの店がたくさんある」


 シモンの言葉を聞き、エステルとクラウディアは改めて周りを見た。

 簡易な仕様の店舗が建ち並び、雑多な商品が並べられ、呼び込みの声が響いている。


 更にシモンの説明は続けられる。


「ここで注意。先ほどの件もあったから、安全の為に3人で回る。はぐれると危険だから絶対に俺から離れるな」


「「………………」」


「さて、ゲームの内容だが……エステルとクラウディアが、好きな店で好きなように買い物をする。購入するのは魔道具でも骨とう品でも雑貨でも、何でも構わない」


「「………………」」


「そして、回った全ての店で買い物をする必要はない。商品を吟味し、買わない場合は考えますと言って、パスするのも認めよう」


「「………………」」


「但し! 購入予算は俺が用意した、各自金貨1枚まで。商品はふたつまで購入してOKだ」


「「………………」」


「買い物の時間も決めておく。今から1時間だ。1店舗あたりに要する時間も基本10分までとしよう。まあ、例外は認めるが、ゲームの終了時間は変更しない」


「「………………」」


「1時間後か……ふたりとも商品を購入した時点でゲームのタイムアップとする。購入した商品を、俺が鑑定魔法等を使って、適正な値段を判定する」


「「………………」」


「気になるゲームの勝利条件だが……まずは買値より実際の価値が高い商品が必須だ。そして、最も高価な商品を購入した者を勝ちとしよう」


「「………………」」


「ふたりは露店での買い物に慣れていないだろうから、とっかかりは作る。だが商品購入の際、俺はアドバイスしない。また商人に対し、ある程度の料金交渉はして構わないが、あまりにも無謀な値引きの強要はナシだ。……説明は以上、質問はあるかな?」


「はい!」

「はいっ!」


 エステルとクラウディアは、いくつかゲームルールに関しての質問をした。

 そして……

 トレジャーハントゲームは開始されたのである。

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