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Move on

「いいのか?」


 そんな声が、隣から聞こえた。


「いいもなにも、仕方ないじゃん」


 私は返す。なんて意地の悪い質問だ、と思った。


「ハルがとばり先輩を好きなことなんて、ずっと前からわかってたもん」


 昔から一緒にいて、ずっと彼のことを見てきた。呆れたように私を見る表情。時々のぞかせる優しい顔色。そして、


 あの人を見る、横顔。

 わからないはずがない。


 でも。


 諦めきれなかった。彼への気持ちは。

 告白しても……いや、むしろ告白してより強く認識した。

 ああ、私はハルのことが好きなんだって。


「でも『もしかしたら』とは思ってただろ? 普通に考えて、走ったら俺が晴人はるとに勝つ可能性の方が高そうなんだしさ」

「わかってないなあ」

「?」


 そんな『もしかして』なんて、あるわけない。

 だって。


 精一杯の声で応援されたら、力が出ないわけない。

 どんなに負けそうでも、どれだけ挫けそうでも、体力が残ってなくても。

 身体の底から力が湧き出てくるものなんだよ。

 そうなったら、どんな逆境だって乗り越えられるんだ。


 誰よりも一番、私がよく知っている。

 だから私の叫びも、想いも、告白も。無駄なことなんて何一つない。


「それに、さ」


 上を向く。雲一つない空。太陽が見下ろしている。こっちからは見えないけど、数えきれないほどの星も、私たちを見てる。光が差し込むせいで目が痛んで、ちょっとだけ視界がにじんた。


「好きな人の恋は、やっぱり応援したくなるもんじゃん?」

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