第1話 スクロース結成
各地で悪の怪人が現れ、善良な一般市民は、怪人の嫌がらせにあっていた。
嫌がらせの被害はリツイートされ、国のお偉いさんの耳に入った。そして、怪人撲滅のために、予算が少しばかり投じられた。
国立防衛研究所のある教授室に3人のポスドクが集められた。
「君たちに集まってもらったのは他でもない。君たちには、ポスドク兼ポスドク戦士として、お国のために働いてもらいたい」
教授が言う。
「任期は?」
質問をしたのは、赤星彗だ。3人のポスドクのうちもっとも高齢の37歳である。論文は3人の中で一番多いが、まだパーマネント職につけないでいる。
「1年だ」
教授は即答した。
「まぁそうですよね」
頷いたのは、蒼星巨だ。つい最近博士号を取得したばかりの27歳である。ポスドク1年目である。
「大丈夫だ。君たちの働きによって、再雇用も3年まで可能だ。ともかく、頼んだぞ。国の平和は君たちにかかっているんだ」
教授は熱く語った。
「ちなみに、僕ら3人だけですか?」
声をあげたのは、白妻稲だ。ポスドク歴4年の中堅ポスドクになる。年齢は32歳になる。しかし、論文は博士号取得の際の一本のみである。
「予算の都合で今は3人だ。しばらくの間、君たち3人で、なんとかしてくれたまえ。新しい予算が採択されれば、新たなポスドク戦士を雇用できるはずだ。そのためにも、頑張ってくれたまえ」
教授は白妻の肩に、ポンッと手を置いた。
ウウゥゥゥ!
サイレンが鳴った。
「怪人が現れたようだ。早速、現場に向かってくれたまえ。怪人は、研究室にいるんじゃない、現場にいるんだ!」
3人のポスドク戦士は、大急ぎで現場に向かった。
「ここだな」と白妻。
「あ、見ろ! 蒼星、白妻。あそこだ!」
赤星が叫ぶ。
3人の目の先には、『怪人キチガイピーアイ』がいた。
怪人は、スーパーの店員に文句を言っている。
「あれぇ、僕さぁ、確か1万円出したと思ったんだよねぇ。おかしいよねぇー。どうしてかなぁ。お釣り、少ないんじゃないのぉ〜? ちゃんとしてくれなきゃぁ、困るよ、僕」
「みるからにウザそうなピーアイだな。よし、店員さんを助けるぞ。早速、変身だ」
赤星が言う。
「オッケー」と白妻。
「わかりました」と蒼星
説明しよう!
ポスドク戦士は、ベルトにはめてあるチビタン(卓上小型遠心機)を高速回転させることにより『超遠心!スクロース!』に変身できるのだ。
「よーし、みんな! 行くぞ!」
「えーーーん、しん!」
カチッ!
ギュルルルルル〜。
3人のポスドク戦士は、『超遠心!スクロース!』に変身した。
「培地の赤色は、フェノールレッド! レッドスクロー!」
レッドスクローこと赤星が叫ぶ。
「青い組織染色、トリパンブルー! ブルースクロー!」
ブルースクローこと蒼星が叫ぶ。
「いつか雇われたい、ホワイト研究室! ホワイトスクロー!」
ホワイトスクローこと白妻が叫ぶ。
「3人揃って、超遠心! スクロース!」
ドガーーン!(効果音)
「さぁ、怪人キチガイピーアイ。俺たちが相手だ」
レッドスクローが叫ぶ。
「あれぇ、ポスドクが、僕に逆らっていいのかなぁ? 契約更新しないよぉ〜」
怪人キチガイピーアイは、口元に嫌味な笑みを浮かべながら言う。
「ウザイ! お前に雇われた覚えはない!」
ホワイトスクローが怪人に飛びかかる。
ボゴッツ!
ホワイトスクローの右ストレートが怪人を捉えた。
「よし、俺らも続くぞ。とおっ!」
レッドスクローはジャンプし、前転をして、怪人にドロップキックを当てる。
ガシィ
「うー」
怪人キチガイピーアイは、よろめく。
「よし、ブルー、ホワイト、必殺武器だ」と、レッドスクロー。
3人は、腰につけていたメスシリンダーキャノンを構えた。
「濃硫水酸化ナトリウムマンガン!」
3人のメスシリンダーキャノンから虹色の液体が発射される。
ドギャギャギャーーー!
怪人キチガイピーアイは、その場で倒れた。
「酸性! 粛清! アルカリ性!」
3人は決めポーズをする。
「まだ、まだぁ」
怪人キチガイピーアイはフラフラになりながらも、立ち上がった。
「僕は、ピーアイへの憎悪の力で大きくなるんだぁ。この世のポスドクよ、僕に、ピーアイへの恨みをぶつけてくれよぉぉ」
怪人キチガイピーアイはどんどんと体を膨らませ、巨大化した。
(ナレーション)
怪人キチガイピーアイは、ポスドクのピーアイに対する憎悪のエネルギーを吸収して巨大化した。ポスドク戦士は、この憎悪のエネルギーがどれほどのものか、身にしみてわかっている。果たして、『超遠心!スクロース!』は、怪人キチガイピーアイを倒すことができるのか。次回へ続く!
遠心チューブ、セーーーット、オン!
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