12 本のカギ
(まさか?)
俺が見ていると
そこに、ヴィクターの魔法書を嵌め込む。
すると、
(ゴゴゴ)
と本棚が揺れる。
やがて部屋全体が。
するとその本棚の前の、空に、
突如、魔法の赤い文字が現れる。
(絵の主の世界に、雨降る日、おもい扉は開かれる)
と。
それを見る3人。
(一体これは??)
不思議がる3人。
やがて
「これはクイズだね」
とロディが言う。
絵の主の世界に雨降る日、おもい扉は開かれる)
はたしてどういう意味だろうか?
そのまま取れば、絵の主。
それは、この勇者じゃないだろうか?
この絵画の右側の中央に居る、勇者。
絵の主。つまりは主人公。
俺はそう考えた。
しかし雨降る日。
って・・
そこで思考が止まる。
「現実、外は雨だけどね」
と、ロディが言う。
そう、さっき雨が降り出した。
つまり、雨は関係ないという事だろうか?
俺は再び悩む。
その時
レナが絵に近づく。
そして
「来て」
と俺を呼ぶ。
行ってみると、レナが指さす、絵の右下には
アルファベットで
「kamuro』
とある。
これは?
「絵の作者」
とレナが言う。
―――これが絵の作者?
ってことは。
「絵の主じゃない?」
レナが言う。
絵の主は。
勇者ではなく。
作者?ってことか?
そういうことなのか?
「でもさ、それじゃ絵の主の世界ってどこ?」
とロディが言う。
そうだ、絵の作者の世界。それは
「魔界」
とレナが言う。
魔界。
俺の世界。
「つまり、この絵の作者はあなた。神室」
俺?
え?
どうして?
この絵を俺が?
意味が分からない。
もちろん覚えがない。
しかし、もしかして、俺の記憶がない時に描いたのか?
俺はレナを見る。
「kamuroはあなた」
と言うレナ。
どういうことだ?
「名前を見たんだよレナは」
と言うロディ。
―――レナが言うには。
レストラン前で、俺をヴィクターの矢で撃った時、
俺をワープして助けたのはレナだった。
その時、認識したらしい。
俺のkamuroという文字列を。
これが俺の名前か?記憶を失う前の?
そうなのか。
・・しかし、だからといって。
何かが前に進んだというわけではない。
―――謎に戻る。
それでは、絵の主が俺(神室)だとすると、
(神室の世界に、雨降る時)
って事になる。
俺の世界。つまりは魔界。
魔界の雨
俺の世界。
あの紫と黒の世界。
あそこに雨が降るというのか?
どうやって?
しかし仮にそうだとしても。
あそこに行く魔力は俺にはもうない。
それに、行けたとしても、雨を降らす手段なんて知らない。
頓挫した。
俺たち3人は思慮に耽る。
―――その時。
(ガタン!)
と大きな音。
「!?」
これは、扉が開かれる音だ!
まずい!気づかれたか?
そうだとしたら、ここは袋小路。
逃げ道がない。
俺は慌てる。
今やここから脱出する方法は、レナのワープくらいか?
しかし逃げたとして。
何か他に行くところがあるのか?
いや、ない。
ではどうする?
追い詰められていた。




