9 past(過去)
2か月前
ロディは戦っていた、あの町で。
相手は、悪魔、もののけ、化け物、そういった集団と。
数は数え切れないほど。
上空は赤く回る、それは血か、悪魔か。
それは、国家 対 悪魔の戦争。
人間のリーダー
「絶対に生き残るんだ!」
精悍な青年、テリオス。
そして、その横で見守っているのは、レナ。
戦争は長く続き、人間は多くの犠牲を払った。
やがて、テリオスの活躍で、
悪魔の勢力が小さくなっていく。
そして、必然的な事が起こる。
テリオスの前に魔王が現れる。
「いよいよお出ましか」
とロディは言う。
黒い体に大きな羽を持つ、
それは今の、神室の身体と同じ悪魔。
「気を付けて!テリオス!」
レナが言う。
「任せろ」
テリオスは言う。
しかし、次の瞬間、上空から巨大な火球が襲い。
(ドーン!)
と街の中心で大爆発する。
「うわ・・」
ロディはそれを喰らい、吹き飛ばされ気を失った。
―――――――――――――――――
その後、目が覚めると。
日が当たる空、静かな町。
そこには犠牲者が沢山いた、
が
悪魔たちも全て消えていた。
ロディはレナの魔法により回復した。
「なんだ?夢だったのか?」
ロディは目を開けると、冗談めかして言う。
「テリオスが倒したの」
とレナが答える。
「そっか、良かった」
テリオスを囲み、歓喜に溢れる、町の人々。
ロディは、これからの平和を確信した。
―――それ以後、街は順調に回復しつつあった。
人々の心も。
そんなある日。
ロディは、テリオスと、10日ぶりに会った。
テリオスは戦争以後、国に迎え入れられ、
次期国王候補として支持されていた、
そのため忙しかった。
「よ、テリオス。元気かい?」
ロディは気さくに話しかける。
「ロディ、久しぶりだな」
テリオスは王族の豪華な衣類を身についている。
戦いの時とは別人のようだ。
2人は城の外周を散歩しながら。
テリオスの書斎で語り合う。
本棚が並び、悪魔と勇者の絵が飾ってある。
「出世したよなテリオス」
と何気ない会話をするロディ。
すると、しばらく無言のテリオス。
「ん?」
不思議がるロディ。
「ロディ、判るか?」
ふと呟くテリオス。
「え?」
聞き返すロディ。
テリオスは笑みながら
「俺はあの戦いで変わった」
「そして生まれ変わるんだ」
と言った。
何を言ってるんだ?ロディは不思議に思った。
テリオスが何を言いたいのか、ロディには判らなかった。
「思えば叶う。俺はそれを知った」
そう言いながら絵を触りながら、何故か微笑んだ。
―――数日後
テリオス、レナ、ロディは教会を訪れる。
2人は将来を誓っている。
その時、ふたりの間で祈りを捧げる神父、ヴィクター。
「2人は幸せになるだろう」
祈りの言葉を発する。
更に
「そのためには、レナがテリオスを支える事だ」
と言う。
そして
「しかし、その前には障害がある」
と言う。
(何言い始めるんだ?)
とロディは不快に思った。
更に
「それを聞く勇気があるか?レナ?」
と聞く。レナは
「はい」
と即答する。
「それは」
「魔王を倒すことだ」
(どういうことだ?
魔王はテリオスが殺しただろう。)
「魔王って2人いるのかい?」
とロディは口をはさむ。
ヴィクターは
「魔王は生きている」
と答えた。
―――ヴィクターの話ではレストラン前の公園に、
現れるはずの魔王。
―――念のため3人はそれに備えて待ち構える。
住民には避難してもらった。念のために。
そしてその時刻が来る。
が何も起きない。
間違いだったのか?
ロディは内心安心してそう思う。
やがて警戒態勢が続いたまま、10分が過ぎる。
と遠くで
(ドーン!)
と爆発が起こる。
それは街の教会の辺りだ。
「!?」
3人はそちらに向かう。
そこには犠牲になった街の人々。
「ひどい」
レナは目を瞑る。そして回復魔法を使う。
その時、上空から火の玉が襲う。
「危ない!」
テリオスがかばう。
その爆発でレナとテリオスは吹き飛ばされ、分断される。
ロディは壁に吹き飛ばされ、骨が折れる。
「く・・」
ロディは意識朦朧とする中。魔王の居るであろう方向を見る。
テリオスの前に出現する、魔王。
姿は正に神室そのものだ。
「この時が来た」
魔王が重く深い声で発する。
そして、テリオスに腕を振り下ろす。
その1撃は、右肩に深く命中する。
「テリオス!」
レナは50メートルほどの公園に飛ばされていた。
テリオスが安全な距離まで、突き飛ばしたのか?
レナは駆け寄る。しかし足が言うことを聞かないようだ。
怪我をしているらしい。
しかし、そのままでは居れないレナは、
たまたま落ちていた、ロディの弓矢を持って。
そして、放つ。
が、撃ったこともない弓矢。
途中で落ちてしまう。
更に、魔王は、腕を横に薙ぎ払う。
(グサッ!)
とテリオスの胸を切り裂く。
「・・・・」
テリオスはもう意識がないのか戦意が感じられない。
「これで自由だ」
魔王は謎の言葉を発しながら、
テリオスの心臓めがけて
腕を槍のようにして狙う。
(ザクッ)
その時、レナの放った矢が、
魔王の腹に刺さっている。
「いい腕だ」
魔王は連続して弓を撃つレナを一瞥するも、
直ぐにテリオスに向き直って
腕を振る。
そして
(ザクッ!)
腕はテリオスの胸を貫く。
「!!」
レナとロディは戦慄する。
「いやあ!」
泣き崩れながらも矢を撃ち続ける、レナ。
テリオスを貫いた魔王は、そのままの状態で動かなくなる。
そして、テリオスを地面に投げる。力なく落下する。
そこは教会だ。
―――レナとロディは、怪我をして、
這いずりながらもテリオスの元へ急ぐ。
生死は見るまでもない、見た瞬間、明らかだった。
そこにはヴィクターが居た。
そしてテリオスの様子を見て
首を横に振る。
「テリオス!」
テリオスにの亡骸に抱き着いて泣くレナ。
そんな中、魔王はいずこかにワープする。
そして、雨が降ってくる。
「さぞかし無念でしょうねテリオス」
ヴィクターがぼつりと言う。
更に
「レナの弓矢がもう少し強力ならば・・」
と言う。
「な、何言うんだ!」
ロディは怒る。
雨は更に強さを増した。