8 デジャヴ(current)
「うう」
俺はまだ生きていた。
今は魔界。
「何故だ?」
今回は覚悟していた。
ワープの意思も言葉も発していない。
今俺の頭にあるのは、何故助かったか?
だ。
今の俺の状況。身体は左の羽片方が無い。
更に左腕もだ。
どうやら左半身の3割程を、街に残してきたらしい。
この状態。助かった、とは言えないかもしれない。
しかし、こうして意識はまだある。
一体なぜここに?
俺は覚悟していた。レナに消されることを、
それなのに俺は。
その時何かが足元に見える。
それは地面の岩にある文字。
(kamuro)
なんだこれは?
この刻印。
指でなぞる。前居た時こんなものはなかった。
一体どういうことだ?
その時
「神室」
と聞こえる。
「!?」
なんだ?一体?
俺は身体が動かせないため目だけをキョロキョロする。
すると、
「墓地へ」
と更に聞こえる。
透き通った高い音程の女性の声。
「だれだ?」
俺は微かに問い返す。
「テリオスの墓へ行きなさい」
と声は答える。
「・・どうして?」
俺はかすれた声で聞き返すが。
・・・・
その後、その声から何の返答もなかった。
テリオス、レナの恐らく大事な人。
その墓。
何故だろう?
そして、どうやって?
恐らくワープだろう。
しかし、そんなことが出来るのか?
行ったこともない場所へどうやって?
俺は
「テリオスの墓へワープする」
と言ってみる。
が、ダメだった。
何も起こらない。
ただ言われても困る。
どうやって行けば・・
その時、
俺は思いつく。
レナの元へ行けば、墓参りに行ってるかもしれない、と。
皆、俺を消したことでテリオスに報告に行ってるかも。
しかし、大きな問題がある。
この身体で行けば、もう終わりだろう。
さっきのように攻撃され、とどめを刺されるだけだ。
ではあの長髪の男はどうか?
これも同じ理由で行けない。
では・・どうするのか。
そう、まだ1人居た。
彼だ。
―――俺は立った。テリオスの墓の前に。
最後の力を振り絞って。
他に手はなかった。
そして、そこには1人の人間が居た。
俺は重傷で、膝をついている。
すると、その男の顔の高さは丁度俺と一緒位だ。
その相手は
「その怪我、おいらといい勝負だね」
ロディ。
俺が街で火の玉を命中させた小人。
頭に包帯を巻いて松葉つえをついている。
そして(テリオスの墓)
の前に座っている。
「よ、と」
ロディは何とか立ち上がると、
「ここに来ると思ったよ」
と言う。
(ロディ、なんで?)
俺は不思議だった。なぜ俺の事が?
「色々不思議だよね。そりゃ」
と答えるロディ。
(わかるのか?)
「うん、わかる」
即答するロディ。
(本当か?!)
「本当だよ」
(どうしてこんなことが?)
「多分、君が弱ってるからじゃないかな?」
(つまりだから言葉が魔法化しないと?)
「そういうこと」
(話せる!?普通に?)俺は歓喜した。
ロディは少し微笑むと。
「それよりさ、おいらが話すことは・・」
小さな男
ロディ。小人、人間の男の子、そのまんまだ。
しかし話の内容は凄く大きかった。