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鬼ヶ島3

 ももたろうに追及されるリーダー格の女。

怯えるような態度は苦笑いへと変わり、次第にお腹を抱えて爆笑し始めます!


「くっ、あははは! 流石だなぁ、後輩君……やれやれ……やはり鬼達には荷が重かったか」


女は来ていたボロボロの着物を脱ぎ捨てると、逞しい肉体を晒しました!

その体には無数の傷跡が!


「わん! こ、こいつが先代桃太郎だと! どういうことだ!」


先代桃太郎は頬を吊り上げ、犬の質問に答えます。


「十年前、俺はこの島へと上陸し鬼を退治した。だが、俺は船が大嫌いでな。来るときの船でグロッキーになった俺は、帰りも同じ船で帰るのを躊躇ったんだ」


「ケーン! 完全に”ももたろう”と同じだナ」


桃太郎はももたろうに日本刀を突きつけられたまま、余裕の表情で白状します。


「その時思ったんだ。別に帰らなくてもいいんじゃないかってな。ここに居れば食う物にも女にも困らない。鬼を使って用意させればいいんだからな」


「貴方……っ、恥ずかしくないんですか!」


まったくです!

けしからん! じつにけしからん!


「黙れ! 俺は若い女以外の人間は大嫌いだ! 誰も俺を見ようとはしねえ! 俺のツレは三匹の動物だけだった! 人間は誰一人として俺について行こうとは言わなかった! それはお前も同じだろう! ももたろう!」


女の子のももたろうは首を傾げます。

だって……


「いや……そもそも人間に会わなかったし……」


「わん! そうだな。人里なんて登場しなかったしな」


「キー! ウホゥ、俺と出会ったじゃないか、ももたろうちゃん」


ゴリラの言葉を無視しつつ、ももたろうは続けます。


「貴方のそれはただの被害妄想でしょう? 私は元々一人で乗り込むつもりでした。でも三匹の……この子達が私について来てくれたんです。それだけで十分じゃないですか。きっと人間の中にも……貴方という勇敢な人が居ると知れば……」


「お黙り! 小娘!」


桃太郎の咆哮に震えるももたろう。

先代桃太郎はプルプル震えます。


「人間なんて大嫌いだ……俺は……俺はぁ!」


光を発する先代桃太郎!

そのあまりの衝撃でももたろうと犬、キジ、ゴリラは吹き飛ばされ、女達も次々と壁へ打ち付けられていきます!


「わん! な、なんだアイツは!」


神々しい光に包まれた先代桃太郎。

徐々に光は消え去り、現れたのは黄金の鎧に身を包む巨大な先代桃太郎でした!


『我の真なる力、見せてくれる。さあ、来い! 現代のももたろうよ! お前を倒し、ハンバーグは我が頂く!』


ラスボスとの戦いが始まろうとしています!


セーブしますか?


 する

 しない

→タイトルに戻る


「わん! ゲームのやりすぎだ! 作者! ももたろう、ハンバーグは二つ残っているはずだ! 一つ食え!」


「う、うん!」


ももたろうは腰のお弁当箱を広げ、ハンバーグを摘まみ口へと運びます。

すると体の何処からか巨大な力が溢れてくるのが分かりました!


「こ、この力は……」


「ケーン! 御婆さんの真心がももたろうの心へと響いたんだ! さあ、ラストバトル、派手に暴れてやるゼ!」


ラストというか、この小説でマトモにバトルしたのはぶっちゃけ平五郎とだけですが……。

しかし盛り上がってきました!


「私は負けない! お前みたいな……引きこもり野郎に! 何で外の世界に絶望だけしか見ないんだ! 世界は光で溢れてるのに! もっと外出をしろ! 毎日家でカップメン食うな! ラーメン屋へ行け!」


『黙れ、黙れ小娘! 無駄な金とカロリーの消費を抑えているだけだぁ!』


先代桃太郎は鬼達と同様、ガン〇ム程の巨大さ!

更に日本刀では無く薙刀です! リーチには圧倒的な差があります!


「でも私達には仲間が居る! 皆! 行くよ! 御婆さんの作った……ハンバーグの威力、見せてくれる!」


犬、キジはももたろうに同調し突っ込みます!

ゴリラも突っ込みますが、どこか不満気な様子です。


『小癪!』


先代桃太郎の巨大薙刀が突っ込むももたろう達へと襲い掛かります!


一閃、その攻撃をスレスレで避けつつ、ももたろうは桃太郎の足元へと突っ込み、犬を踏み台にして飛び上がりました!


「はぁぁぁぁ!」


桃太郎の鎧を滅多切りにするももたろう! 

ですが傷一つ着ける事が出来ません!


「ケーン! まだダァー!」


キジが飛び上がったももたろうを捕まえ、さらに上空へと飛び上がります。

そして洞窟内、天井スレスレまで飛び上がると、ももたろうを落しました!


「はあぁぁぁ!」


先代桃太郎の脳天目掛け、日本刀を落下と共に振り下ろすももたろう。

今度は威力申し分なく、兜を割ります!


『グッ、流石……ももたろうの名を冠するだけの事はある! だが惜しい、若すぎる! 俺はもっと大人な女性が好みだ!』


先代桃太郎は薙刀を地面へと突き刺し、ももたろう目掛け正拳(せいけん)

しかしそこに成犬(せいけん)が、ももたろうを守る様に飛び出しました!


「わん! させぬ!」


「犬さん!」


ももたろうの変わりに攻撃を受け壁まで吹き飛ぶ犬。


『いい仲間に巡り会えたな。だがそれもお終いだ!』


ふたたび、ももたろう目掛け正拳を繰り出してくる桃太郎!


「キー! 俺に任せろウホ!」


猿が拳を受け止め、そのまま離さまいと踏ん張ります!


「ナイス、ゴリラさん!」


「キー! 俺は猿だウホ!」


ももたろうは猿が捕まえている拳へと飛び乗り、そのまま桃太郎の腕を駆け上がります!


「終わりだぁ……! その首……もらった!」


『甘いわぁ!』


再び強烈な閃光を放つ先代桃太郎!

その衝撃でももたろう達は再び壁際まで吹き飛ばされてしまいます。


「っく……あと少しだったのに……」


「わん……ももたろう……」


その時、犬の声が聞こえました。

犬は正拳をまともに食らい、痛みでまともに動けない状態です!


「犬さん! 大丈夫?!」


「わん……そんなことより……考えがある。一か八か……」


ゴニョゴニョと犬とヒソヒソ話をするももたろうと犬。

先代桃太郎は、容赦なく距離を詰めてきます!


「……わかった。犬さん。少し休んでて。私は……あいつとは違う!」


ももたろうは、誘いこむように、鬼達と戦った門の向こう側へと移動しました。

鬼達はいまだに意識を失っています。ももたろうにやられたのです。


『こんな所に逃げ込みおって……何のつもりだ? おい、鬼ども! いつまで寝ている! さっさと起きろ!』


その怒号で鬼達は目を覚ましてしまいました!

桃太郎、大ピンチです!


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