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 犬、キジ、猿の仲間を得たももたろう。

正確には、セントバーナード、キジ、ゴリラですが。


「キー! 俺は猿だウホ!」


「ケーン! ウホウホ言ってるじゃねえカ」


「わん! 君達、緊張感が無いぞ。少しはももたろうを見習って集中したらどうだ」


三匹とももたろうは、船に揺られて鬼ヶ島へと向かっていました。

ももたろうは一言も発しません。


恐らく、来たる戦いに向けて集中力を……


「うええぇ……きぼぢわるい……」


……船酔いしてるだけみたいですね。

あぁ、でも分かります。船酔いは気持ち悪いですよね。


「わん! ももたろう! これを噛め。少し気分がスッキリする筈だ」


犬が取り出したのは酔い覚ましグッツ、噛むとレモンの香りと共にスッキリする奴です。

しかし……


「うえぇぇ……ごめん、私これ効かないんだわ……」


「わん! なんてことだ。これから決戦だと言うのに。一度戻るか?」


「ケーン! ここまで来てか?! 話が進まないゼ!」


「キー! しかしももたろうちゃんの具合が悪いなら戻るべきだウホ」


三匹はウーンと悩みます。

しかし、ももたろうは御婆さんから貰ったお弁当箱を見つめ


「いや……大丈夫。御婆さんと約束したから。絶対……生きて帰るって!」


そんな約束してませんが。

御婆さん、キビダンゴがハンバーグだとバレないようにと祈ってましたし。


「それはそうと……鬼ヶ島まだぁー? 早く……大地に足を踏み入れたい……」


「わん! 大丈夫だ。見えてきましたぞ、ももたろう」


犬の声に、ももたろうは前方を見据えます。

如何にもという感じに黒い雲がかかった鬼ヶ島。

邪悪な雰囲気が漂っています。


「ケーン! 鬼は元々、人間を守護する立場だったんだがな。愚かな人間に呆れて、180度性格変わっちまったんダ」


「そ、そうなんですか……でも、気に入らないからって若い女の子を攫ってしまうのは見過ごせません」


「ケーン! それとな、ももたろう。実は俺の先代のキジも、どっかの男と一緒に鬼退治にいっちまったんだ。結局帰ってこなかったけどナ」


「え、そ、それって……っていうか”先代”ってお父さんって事ですか?」


「ケーン! そうともいう。十年前の話だ」


十年前、どうやらキジのお父さんも鬼ヶ島へ渡ったようです。

前にも鬼退治に行く人が居たんですね。


「でも鬼はまだ居る……。私がキジのお父さんの分も……」


ももたろうは決意の言葉を胸に……船酔いに苦しみ続けます。




 ☆一時間後☆


「うぅぅぅ、あれから一時間もかかるなんて……ぎぼじわるい……」


「ケーン! まあ良く頑張ったナ。でもこれからが本番だゼ」


ももたろうは気合を入れなおし、三匹の動物達と鬼ヶ島の奥へと歩みます。

ひたすら岩場ばかりで、草木は一本も生えていません。


「な、なんか不気味な所だね……」


「わん! 鬼が住んでいる所ですからな。クンクン……むむ、ももたろう、人間の……若い女性の匂いがします」


犬の言葉にももたろうは震えます。

攫われた若い娘達、てっきり鬼に食べられているかと思いましたが、まだ生きているかもしれません。


「キー! なんかえらくエグい話だな。鬼って人間食べるウホ?」


「わん! それはもう。ゴリラが大好物だとか」


犬の冗談に、猿は震えます。


「キー……俺はゴリラじゃないウホ……猿だウホ……」


そんな一行は、鬼ヶ島のお口へと進みます。


そこで見た物は……!

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