簡単な女
今日も綾奈が飲みにきている。ここの所毎日店に顔を出す。私に好意があるのは明白だった。
「片山さぁん」甘い声で酔うふりをする綾奈。
「飲みすぎだよ〜今日は美香子ちゃんはどうしたの?」にこりと笑ってみせる。
少しむっとした顔をして「美香子のことは今どうでもいいじゃないですか〜美香子最近つきまとってこないんですよねー、前まではどこ行くのもついてきてたのに。」
最近、二人はどうやら会っていないようだ。私としては美香子がいなくても綾奈がいればいい。綾奈の若い身体が手に入れば俺の儲けは大きく上がるだろう。今はとにかく私に夢中にさせなければならない。
「俺としては綾奈ちゃんがこうやってきてくれるのが1番嬉しいけどね。」
無造作に机の上に置かれた彼女の手を取り、からませる。その手を見て恥ずかしげに絡まし返す。
もうこっちのペースなのだ。
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「片山さん、誰にでもこういうのやってるんでしょ」
綾奈が微笑みながらシーツから顔を出す。行為後の幸せな一服の手を止める。
「そんなことないよ。俺気に入った子しかこんなことやらないからね。」本当に気に入っているから嘘ではない。
ブーブーブー 電話が鳴り響く。
私は表示を見てすぐにその場を離れ電話に出る。「はい。片山です。お疲れ様です、岩本さん」
「片山さ、狙ってる女の子調子どうよ。二人いたでしょ。一回店連れてきてよ。」
「もうすぐだと思います、わかりました。」
「お待たせ。」電話が終わり、綾奈の元に戻ると綾奈が俺を抱きしめる。「片山さん絶対他に女いるじゃん。私、片山さんの1番になりたい。」上目遣いにそっと手で身体をなぞる。
なんて面倒くさいんだ。これだからクソガキは…と思いつつも「他に女なんていないよ。でも1番になるにはやっぱ、近くにいてもらわないとな…」と優しく頭を撫でる。
ぎゅっと抱きついてくる首筋にキスをしながら笑みが止まらない。
「俺に協力してくれる?」
カーテンの隙間からは星ひとつない真っ暗な空が覗いていた。