キャラ作成Ⅱ
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三十分後
「お待たせいたしました。では、残りの種族について説明させていただきます。まずはドラゴフから」
チュートリアル再開だ。
「ドラゴフは、かつてドラゴンと交わって繁栄したと伝えられる種族です。最大の特徴は『鎧を着る者、ドラゴフに非ず』とまで囁かれる全身を覆う天然の鎧『龍鱗』とずば抜けた生命力です。属性としては火、雷、海と相性がいいですが、魔法自体が苦手な種族でもあります。盾役を希望されるなら、この種族ですね」
さしずめ、ドラゴニュートや竜人といったところだな。タンカータイプということか。
「逆にネシューマという種族は、魔法に特化しています。相性がいい闇、氷、死はもちろん、その他の属性も嫌相性以外でしたらどれもかなりの効果が期待できます」
うん?
「ちょっと質問。嫌相性ってなんですか?」
「はい。嫌相性属性というは、その種族が苦手とする属性のことです。自らの体内の魔力から変質させることができませんし、さらにその属性の攻撃は拒絶反応でさらに二倍以上のダメージを受けることになります。逆に好相性の属性は普通の相性の属性の1/2の力で発動できますし、その攻撃で受けるダメージも2割減となります。ちなみにデミットは、好相性もない代わりに嫌相性もありません」
「じゃあ、種族間で差が出るんじゃ……」
「嫌相性はさまざまな方法で克服や習得ができるようになっています。それに属性は12種あり、デミットを除くすべての種族に3種類ずつ、好相性と嫌相性の属性がありますので、どれかの種族が特別強いわけではありません」
なるほど。
「それに嫌相性でもない限り、属性才能スキルさえあればその属性を使うことは出来ます。この後の初期スキル選択の際に詳しく説明しますが、そこまで酷いものではないかと」
「そういうことか……。わかりました」
俺がそういうと、チャゲさんは咳払いをした。
「では続いて、ネシューマの外見ですが肌は青白く、髪の毛の一部が純白になります。さらに、体のいずれかに紋章が刻まれます」
「その紋章は、どういったものなんですか?」
「それはまだひ・み・つですよ」
指を唇に当て、色っぽくウインクするチャゲさん。こういう仕草がぴったりはまるなんて美人は得だな~、と思った。
「でも、魔法で戦うならばネシューマを選ぶのもいいです。遠距離戦ということならエルトラでもいいので」
魔導師タイプなのか、ネシューマは。
「ブロブティーは、頭部に角が生えた種族です。身長は成人(世界観として成人は15歳)はすべて170㎝以上で、筋力は全種族で一番強いです。その他、肌は赤っぽく生命力もドラゴフに少し劣りますがかなり高いです。相性がいい雷、光、闇の特性もありCQCに最も長けている種族といえるでしょう」
鬼みたいというか、鬼だな完全に。
「最後になりますが、バンクルワ。魚の特徴を持っています。具体的には首にはエラ、両手足に水かき、背びれが生え、龍鱗よりも防御力は数段劣りますが、美しい光沢をもった『魚鱗』を全身に生やしています。相性がいい属性は海、水、死になります。魔法操作や身体操作が得意ですが、魔力やスタミナはそれほどありません」
半漁人というところか。しかし、今までの中で一番使いにくそうだな。
「このバンクルワ最大の武器がマジックキャンセルです。相手が使おうとする魔力を込めた行動を解除することができるのです。ネシューマなどもマジックジャマーが使えますが、キャンセルは使えません」
「その二つの違いってなんですか?」
「マジックジャマーは魔法の標的捕捉や追尾を妨害、あるいは誤認させる効果があるアーツの総称です。多くの魔法攻撃が、『捕捉した標的をある程度追尾すること』を強みにしているわけです。ほかにもすなわちそれを妨害するということは、相手は攻撃を放てないことになります。」
「なるほど」
「また、回復や支援魔法も相手を指定しなければ発動自体ができないものの多いですから有効ではあるのです。しかし、捕捉せずに放たれる魔法攻撃や、もともと放出しない魔闘撃などの魔法物理攻撃、自分を中心に一定範囲内で発動させる回復・支援魔法は妨害できません」
それもそうか。そこまで阻害してしまうとまさにバランスブレイカーだな。
「一方、バンクルワの使用するマジックキャンセルは発動自体を無効にします」
いやいや、おかしいな。超バランスブレイカーじゃね?
「ただ、相手の魔力に干渉することが絶対条件のため、魔力干渉のスキルレベル(以降SLv)が相手の魔法才能のSLvを上回っていなければ発動しません。それに、発動したとしても成功確率は、最大で60%です」
なるほど、そこでバランスを取っているわけか。
「まあ、ジャマーもキャンセルもレジストされやすく、使いどころは難しいですね」
素で成功率が低いのに、さらに低くなるのか……。
「以上の四種族は、ステータスの最低値と最高値の差が百以上あることと、プレイヤーレベル(以降PLv)が1上がるごとに30Pずつ貰えるステータスポイント(以降StP)のうち10Pが特定の振られてしまうことが扱いにくい理由になります」
なんだその謎設定は? スゲー使いづらいな。
「以上が種族の説明になります。どの種族になさいますか?」
「うーん、高い能力は魅力的だけどやっぱ初心者だから、デミットにしておくかな? やりたいことが特にあるわけじゃないですし」
俺はデミットを選択する。そうするとチャゲさんが「承りました」と返事して、俺に光を浴びせた。
そうすると、俺の前から俺の立体映像が消えた。
「これで、姿が仮登録されました。姿見をご覧になりますか?」
見せてもらうと、黒髪の青年がそこにいた。目を覗き込むと浅葱色に近い色を選んで正解だと思った。
「髪色は『漆黒』、光彩は『ブルー・ドゥ・モネ』になります。」
チャゲさんが詳しい色の名前を教えてくれた。なるへそ。
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