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三題噺  作者: どらぽんず
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ここのつめ:就寝前のふとした回顧

 いつ頃から怖くなくなったのだろう、とふと思った。

 時刻は夜半。仕事から帰ってきて、ネットの掲示板やらアニメやらを眺めていたらあっという間にてっぺんを越えてしまったことに気づいて、急いで寝ることにしたときのことだ。

 寝床に入る前にとトイレに行って、出た後で真っ暗闇になった廊下を通っていると、ぎしぎしと何かが噛み合うような軋んでいるような音を聞いた。

 驚きで体がびくりと震えて、周囲に視線を巡らせた。音が続かないことを認めて、家鳴りか隣人あたりが動いたのだろうと思って、電気が消えた暗闇の中を手探りで寝床に向かう。

 そこでふと思ったのだ。いつから暗闇が平気になったんだろうと。

 子どもの頃は、そりゃもうビビリだったので、色々なことが怖かった。暗い所は特に苦手だった。怖かったのだ。何が出てくるかわからないところが、特に。

 まぁ今でもお化け屋敷みたいなところは怖くて無理なので、ビビリな性質はあまり改善されていないのだが。

 当時、特に嫌だったのは、夜中にトイレに行くことだった。実家は古い木造家屋で、自室からトイレまでの間に、細くて長い廊下があった。夜は電気がついていない。ついていても、取り付けられた蛍光灯はなぜだかいつも光が弱くて薄暗く、それが余計に恐怖感を煽った。そこを通るときにぴしぴしと音が鳴ったりすれば、誰にも言えないが正直泣きそうになっていた時分さえあった。

 それでも、行きたくないタイミングでトイレに行きたくなってしまうことはある。通りたくない場所であっても、通らなければ漏らすことになり、それはそれは恥ずかしい思いをする羽目に陥る。自分だけが怖い思いをするのと、周囲に失禁がばれて嫌な視線やからかいにさらされるのを比較すれば、どちらが重要であるかは一目瞭然だ。背に腹は代えられない。ビビリにも意地やプライドくらいはあるのだ。

 いつぞやには、暗闇への恐怖に対する味方として、買い与えられた――というかねだって買ってもらった熊のぬいぐるみやらを手に、廊下を進んだこともある。そういえば、あれはいつの間にか無くなっていたっけ。

 その当時を思えば、今はどうだ。

 実家を出て一人で暮らしている。夜半に夜道を一人で歩いて帰って来て、真っ暗な家の中を歩いても平気の平左だ。大した成長ぶりではないか。

「……なんちゃって」

 内心で思った言葉に、苦笑する。

 年を取れば、色々なことを知る。恐怖は未知によるものが大きい。その正体がわかれば、冷静になることもできるのは当然だろう。

 相変わらず苦手なものは苦手なままだし、うまくできないことも多い。その上、

「とりあえずは、明日の朝、ちゃんと起きないとなぁ」

 年を取ってから苦手になることだって出てくるのだ。生活リズムも関係してくるのかもしれないが、この頃は朝起きるのがとても辛い。気を抜くとすぐに寝過ごす。季節柄もあるだろうか。布団の中の暖かさは抗いがたい。

「……現実逃避してないでさっさと寝よう」

 そう呟いて、溜息を吐く。明日も平日。仕事は朝早くから出なければ間に合わない出張だ。さっさと眠らなければ日中が辛い。

 そう思って目覚ましをセットしてから、布団の中に潜り込む。

 ……あー、変わんないなぁ私。

 そんなことを思いつつ、眠るために瞼を閉じた。

今回のお題は以下の三つ。

1)ごはん

2)ぬいぐるみ

3)廊下


1は誤判というところで、昔は色々なものを違うものとして見ていたよなぁという感じで使いました。

自分としては割と長く続いてるけどいつまで続くかなこれ。

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