私の腕時計
そんなことを考えていたら、いつの間にかショッピングセンターの目の前にいた。
『今何時何だろうか?』 そう頭が指令を出すので、私は腕時計を見ようとする。
しかし、今回ショッピングセンターに来た目的は自転車を取りに来るのと、腕時計を買うためだったので、もちろん腕なんてところには付いておらず、見ようとして見れるものではなかった。
だから、さっそく私は腕時計コーナーに向かい「可愛いのがないかな♪」と探し始める。
この前壊してしまったのは、大好きなおにぃちゃんから貰ったもの。
だから、壊れた時はとても悲しかった。
けれど、今はなんだか楽しい。
《自分で好きな時計を選び、それを自分の腕に付けることができる》
そんな当たり前がとっても嬉しくて、私は気に入った物を手に取って付けてみた。
すると、「可愛い・・・」という言葉しか出てこない。
私はそれをレジに持って行き、「これください!」と言って、時計を買った。
それから、買った時計の時間を合わせるために、近くにあった長椅子に座る。
今の時間は、11時20分。 私はその時間に時計の針を合わせた。
そして、“よーし”って思いながら、その時計を腕に付けた。
そして、思うのである。
『やっぱし可愛い・・・』
けど、さらに思うのである。
『980円で少し高かったなぁ・・・』っと―――。