音と悲鳴と嗤い声
“ドシュッ!!” っと、不気味な音が車内に轟く。
それから、“ギャーーー”という悲鳴が車の外にも響く。
ひとみ・・・これからは女と呼ぶことにでもしようか。
女の肩を長さ15センチの釘が貫き、シートにまで突き刺さる。
「えっ なに・・・これ・・・??」
女はそう言って、刺さった釘を抜こうとした。
けれども「ダメだ・・・抜けない・・・」と言い、私の方を見つめる。
「なんで・・・?どうして、こんなことを?」
半分泣きながら、そう私に伝える女。
私は嗤ってやった…。
「アハハ・・・アハハハハ・・・」っと―――――。
だが、女の体には、まだ左肩にしか釘が刺さっていない。
『片方だけだと、なんだか可愛そう・・・』
そう心が私に言うので、私は反対側も同じようにしてあげた。
“ドシュッ!!”
再び、肉を突き刺す音が、私の耳を劈く。
大きくなる悲鳴。
それに比例するかのように、大きくなる嗤い声。
『ダメだ・・・』
『こんなこと、思っちゃダメなのに・・・』
『思っちゃダメなのに、ついつい思っちゃうの・・・』
『あぁ、なんて楽しいの?』
『人殺しは、なんでこんなに楽しいの?』
今まで生きてきた中で、今という時間が一番楽しい。
それから4発、 肘のあたりに、左右2発ずつ釘を打ち込む。
すると思ったのだ。
あぁ、だんだんと、女がシートに磔になっていく…。
芸 術 、 、 、 この2文字しか、頭に浮かばない。
そんなことを思いながら、私はカバンの中から包丁を取り出した。