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地獄に堕ちるという事
4時半頃である。
私は家に着いた。
いや、戻ったというべきだろうか?
悪魔の生まれた場所に…。
黒くてわかりにくいが、血がベットリついたワンピース。
雨で薄まっているとはいえ、それでもまだ赤さがわかる。
これが、私の家の玄関を汚した。
だから、私はそのままお風呂に向かい、体を洗い流した。
初めて人を殺した感覚。
手の中に、未だにハサミがあるようで…。
決して、気持ちがいいと言えるものではなかった気がする。
でも、それでも、私は再び人を殺すだろう。
それは、おにぃちゃんと約束したから…。
約束を破るということは、嘘をつくということ。
昔、おにぃちゃんが言っていた。
「嘘をつくと、地獄に堕ちる」 って。
私は、地獄になんか堕ちたくない…。
怖いのも、痛いのも、苦しいのも嫌だ!!
私が人を殺すのは、ただ単に、おにぃちゃんと約束したからというだけではないかもしれない。
ただ、地獄というわけのわからないところに行くのが、怖いだけなのかもしれない。