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無様な音と共に
女は覚悟を決めたのだろうか?
泣き叫ぶのをやめ、力強く目を閉じる。
“ブスッ” っと右肩に、ハサミが突き刺さる鈍い音がした。
“ヴゥッ・・・” 何とも言えない音が、女の口から漏れる。
『あぁ、なんて可愛い声なの?』
そして、私はもう一度、天高く振りかざす。
さらに、もう一度。 さらに、もう一度―――――。
最後に“グシャ”と、肉が音をたてた。
それから、しばらく、私はその場に立ち尽くした。
所謂、放心状態というやつだ。
だが、そんな私の体に、雨が降り注ぎ始める。
まるで、私の体に付いてしまった血を洗い流すかのように。
『冷たい・・・』 私はそう思った。
でも、それがまた、気持ちよくもあった。
2つの死体から流れ出る血が、雨で薄まり道を一面赤く染める…。
4月19日のことである。
私は初めて、人を殺した。