白と黒の狭間で
私は怖くなって寝ようとした。
しかし、体が“ガタガタ”と震える。
『怖い・・・怖い・・・』と体が悲鳴を上げる。
『嫌だ!!!』 そうとも、叫んだ。
現実から、兄という呪いから逃れたくて、
『世界から逃れたい』と、体が悲鳴を上げる。
私はずっとずっと、怯えていた。
怖くて、長い間眠れなかった。
しかし、気が付くと私は眠っていた。
目が覚めると、現実は朝だった。
時計を見ると、時刻は7時半。
『よかった・・・』 『学校に間に合う・・・』
そう思いながら、私は急いで学校への支度を始める。
しかし、服を出そうとした時、そこには私の見たことのないワンピースがあった。
「なに・・・?これ・・・?」
私は、そうやって疑問を口にする。
しかし、疑問を口に出したところで、答えが出てくるはずもない。
いつも私が着るのは、白のワンピース。
目の前にあるものは、黒のワンピース。
箪笥を開けても、クローゼットの中を見ても、どこもかしくも、黒・黒・黒!!
私が持っていたはずの数十着のワンピースが、どれも変わっていた。
今までは、じっくり見ないと違いも分からないような、純白のワンピースだった。
ただ、それがオシャレか、オシャレじゃないかの違いなだけで、全て真っ白だった。
しかし、今目の前にあるのは、黒のワンピースだけ。
私の持つ全てのものが、白から黒に変化した今、私は怖いながらも、仕方なくそれを着る他なかった。