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心の穴
おじさんが亡くなってからの、初めてのさとるの誕生日。
私達2人は泣いて、泣いて、泣きまくった。
それは2人とも、ただ悲しかったから…。
ただただ、辛かったからである。
私には両親ともいるけれど、さとるには両親がいない。
幼い私でも、それくらいのことは理解できたから…。
いつも私が遊びに行くと、「よく来たね」とおじさんは微笑んでくれていた。
しかし、あの日から私に微笑みかける笑顔は、もうありはしない…。
そう、、、
私の心にはポツリと穴が開いてしまった。
だが、それはさとるの方も同じだろう。
いいや、私よりさとるの方が、はるかに酷く傷ついているだろう。
大好きだった人が死んでしまって、心に穴の開かない人間がいるだろうか?
少なくとも私は、そんな人間はいないと思う。
私達は、そんな心の穴を埋めるため、必死に必死に楽しく振る舞い続けた。