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真っ赤な血
私は、詳しくは知らない。
というか、ただ単に、詮索ができなかっただけだけど…。
しかし、私は現場を見てしまった。
おじさんの殺される現場を…。
けれど、はっきり言って、小さすぎてあまり覚えていない。
でも、おじさんの胸にナイフが突き刺さった光景は、今でもしっかり目に焼き付いている。
あの真っ赤な液体が、部屋に徐々に広がっていく、決して忘れることのできない悲しい惨劇。
私は、おじさんの胸にナイフが刺さった瞬間、思わず叫んでしまった。
だって、私はさとるの家に遊びに行こうとしただけで、血を・・・
真っ赤な血を見るつもりなんて少しもなかったのだから…。
私は泣いた。
長い時間をかけて、泣き続けた。
こんな私にも優しかった、おじさんの死に対し、涙を抑えることなんて、私にはできなかったのだ。