無邪気な声
俺にも、無邪気な時があったのだろうか?
幼馴染のほたるの声…。
その無邪気な声も、悲惨な状況の前では無に帰した。
部屋中に散らばった血を見て、ほたるの顔から笑みが消える。
その顔は次第に涙を浮かべた表情になり、ほたるは数歩後退る。
本田は、女の子…。
ほたるの姿を見て、ふと我に返り、部屋から慌てて逃げ去った。
その後、ほたるの絶叫…。
「うわぁーーーーーーーーーーーーーー」っという、幼い女の子の叫び声を聞いて、外にいた人が家の中に入ってきた。
その人も、家の中の状況を見て数歩後退る。
しかし、オレ達子供とはさすがに違い、すぐに目を覚まし、持っていたケータイで119番…。
すると、そんな状況の中、オヤジはズタズタにされた体を引きずって、オレの下にやって来て言った。
「今から言う2つのことを忘れるなよ」
「まず、こいつが悪いと思っても………」
そして、その2つのことが、オヤジの最後に残した形見になった。
オヤジの死に、オレと一緒になって泣いてくれるほたる。
オレが辛い時には、傍にいてくれて、オレを支えてくれた。
そのことに対し、オレは一度も礼を言ったことがない。
オレは過去から現在に意識を戻し、ゆっくりと口を開けた。
「心配するなよ!」
「オマエはオレが守るから…」
「昔オヤジが死んだ時、1人になったオレの隣にオマエがいたように、、、」
「ずっとずっと、オレはオマエの傍にいる」
オレはそう言った。
静かに、ほたるの瞳をじっと見つめながら…。
次回は第三の視点です。