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愛の言霊~THE STYX~  作者: 尖角
第四の視点 part6
111/113

おぞましい空気の中で

  この2日間、何をしていても、どこにいても、嫌な感じがして堪らない。


  少し気を抜くだけで“ゾゾッ”っとしたおぞましい空気が私を包む。


  怖い・・・。


  私は今、お風呂の中で震えている。


  すると、ふとそんな私の頭の中におねぇちゃん・・・ほたるさんの顔が浮かんだ。


  そして、思うのである。


  『私に殺されるのが怖くて、ほたるさんも震えているのだろうか?』 っと―――。


  私は、人を恐怖に陥れる自分が怖くなった。


  『自分という存在は悪魔と同じだ!!』


  『私は悪魔なんだ!!』 そうやって、考えるようになった。



  あれもこれも、こうなったのは全部おにぃちゃんの所為。


  おにぃちゃんという殺人鬼の所為で、私も同じ思いをしていた。



  『人を殺してなんになるの?』


  もう冷たくなってしまった湯船の中で、私は考える。


  人を苦しめることが楽しいことだと思っていた。


  けれど、今は違う。


  私を包むおぞましい空気の所為で・・・


  いいや、おかげというべきだろうか?


  とにかく、そんな中で私は人を苦しめることが辛いことだと思うようになった・・・。


  私は変わったんだ・・・。


  辛いと思えるようになったんだ・・・。


  人を殺して、『自分は生きている』という、、、そういった感情の中で喜びが生まれる。


  そんな私から卒業することができたんだ。


  私は、今変わることができて、本当によかったと思う。


  ほたるさんという新たな犠牲者を出さなくてすむのだから。



  でも、私が今までやってきたことは決して許されるわけではない。


私:「ごめんね・・・おにぃちゃん・・・」

 :「私、もう人を殺せないや・・・」


  そうやって、私は静かに呟いた。


  そして、付け加える。


私:「私が殺しちゃった人達・・・」

 :「瞳さんや・・・名前も知らない人達・・・」

 :「そして、おねぇちゃん・・・」

 :「本当にごめんなさい・・・」


  っと水滴を湯船の中にぽたぽたと零しながら―――。

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