気づいた感情
「いえいえ、きっと珍しいだけですよ。なにせ異世界から来たんだし」
「そんなことは絶対にありません! 皆様、女性の方々にかなり人気がありますのに一度関係を持って終わりなんです。ポイッですよ!? ポイッ!! なんとも酷いんですよ! そ・れ・な・の・にですよ? アオイ様に対しては、“花嫁にもらう!!”とか仰ってるんですよ!? 絶対に珍しいからではございません!!」
自信満々にリサーナは言うが、言葉の中には男として最低と思われてしまうような内容が入ってるとは気づいていない。
(一度で終わりってホントに最低な人達だなぁ。いつ刺し殺されてもおかしくないんじゃ・・・・・)
リサーナの言葉が、アオイの中でのなんとなく少しだけあった好感度を下げていきゼロにまで達してしまった。
「たしかに顔はいいですもんねぇ」
はぁとため息をつくアオイを見て、リサーナは小さく笑った。
「初めて見ました。殿下達のことを“顔はいい”だけで終わらせることができる人。たいていの方々は、なんて言うんでしょうか。こう、頬を赤くして固まって憧れの目を向けるって感じでしたから」
「なんかそれ納得です。免疫とか経験とかなかったら誰だってそうなると思います」
「でしょう? だから、初めてなんですよね。皆様が、一人の女性に取り合いをするほどの執着を見せるなんて。女遊びがどんなに激しくても、なかなか本気になる相手―――――全然本気になるようなお相手がおりませんでしたので、わたくしこれからが楽しみで楽しみでしかたがありません」
「うわぁーやっぱりみなさんサイテーですね。ってか女の敵? どーせ自分の周りにいる女は、全て自分に気があるとでも思ってるんでしょーね!!」
いまだに言い争いが続いている方を見ながらぼそっと呟いた。アンジェ達は、イロイロと身に覚えがあるのか、ばつの悪そうな顔をした。
「今までは、そうでも今この瞬間にアオイという存在を知ったから他の女となんて絶対遊ばねぇーよ」
一番に、アオイの言葉から立ち直ったカインがアオイに近づき手を伸ばしアオイの頬に触れた。ちょうど手が冷たくて気持ちいいとアオイは目を細めた。
その光景は、世界に二人しかいないように思わせるようなものだった。
カインは知った。自分の中にアオイと出会った瞬間からあった感情の名を。アオイを、一目見た瞬間に生まれたこの感情の名を。
「あら、もしかしてカイン様が一歩優勢なんですか?」
リサーナは、のほほんとそんなことを言ったがラシュ、ヒューズ、セシルの三人は非常に焦った。なぜなら、カインが心の中にできていた感情の名を知ってしまったから。これで、本当にアオイを手に入れようと仕掛けてくるだろう。三人は、アンジェとクリスは感情の名に気づかぬ事を祈ったが時は既に遅かった。
アンジェは気づいた。カインがアオイに触れているのを見て、わき起こったどす黒い感情に。そして、なぜこんな感情がわき起こるかにも気づいた。
クリスは理解した。自分がアオイに対してどのような感情を持っているかを。同時に、カインを殺したくなった。アオイに触れて良いのは、自分だけだと思ってしまった。
全員が、カインに嫉妬した。殺気が生まれてくる。もちろんその殺気には、鈍いアオイは気づかなかったがカインは気づき内心冷や汗を流した。
「なんで、私っていう存在がいると女の人と遊ばないの?遊べばいいじゃん」
「バカだなぁ、アオイは。そんなの俺がアオイの事が――――――」
「ちょっと良いか? カイン」
良い雰囲気のまま今さっき気づいたばかりの感情を、アオイに告げようとしたら見事にクリスに邪魔をされアオイと引き離された。
「おい、何抜け駆けしようとしてるんだよ!!」
「気づいたんだ。良いだろ? なんせ敵が多いんだから」
「良いわけないでしょ。そんなに早く思いを言おうとするなんて、カインは自信がないんだ? まぁ、自信があってもなくてもアオイは最終的にボクの花嫁さんになるからいいけど」
「なんでそーなるんだよ!?」
(なんか、また喧嘩?始めてる。アンジェ達ってよくわかんない。でも会って数時間くらいしかしてないのに、どーいう人なのか分かったら逆に怖いか。っていうかお腹空いた)
またまた世界の説明ありませんでした(汗)
しかもアオイちゃん「お腹空いた」って!!
次回も世界の説明できないじゃないか!!
皆様は、黒の冥王な中でだれが好きなんだろうか・・・・。
ってこれ活動報告にも書いてるかもしれない(笑)