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黒の冥王  作者: 紅梅
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男達の自己紹介

 見慣れない天井。自分の部屋の天井ではない。やはりこれは、夢ではないと思い知らされる。

 

「起きたか」

 声のする方を見てみれば、アンジェがいた。

 

「はぁ、起きましたけど・・・・。私に、何が起こったか聞いても?」

「お前は、魔力の暴走を起こして倒れた。それだけだ」

「そーだったんですか。ご迷惑をおかけしたようで申し訳ございませんでした」

 葵は、上半身を起こし頭を下げて謝った。

 

「気にするな」

「――――アンジェが、“気にするな”って言った!! 明日は、雨かなぁ?? どー思う?セシルは。」

「僕も、ラシュの意見に賛成!!」

「お前ら、うるさい」

 

 そんな会話を聞きながら葵は、頭の中で、これからの計画を立て始めた。

(まずは、ユリエルに言われた通りこの世界と魔力について聞くとしてその先はどうしよう・・・・)

 

「――――か?」

 うーんと頭を抱えそうなほど悩んでいたので、クリスが話し始めたのに気づかず、全く話を聞いていなかった。

「え?ごめんなさい。聞いてませんでした、もう一度お願いします」

「だから、この世界を受け入れてもらえますか?」

「あ、はい。受け入れることにしました。それ以外、選択肢はないしユリエルにもこの世界でこれからの人生を楽しむっていいましたし。あの、殴ってしまってごめんなさい。キレたからっていうのは、言い訳に過ぎません。ですから、私のことも殴ってくださって結構です」

 今度は、クリスに向かって頭を下げて謝った。

 

「いや、傷はもう治ったから大丈夫。それに、ボクには女の人を殴るなんてできないから」

 クリスは、そう言うと葵に近づき頭を優しく撫でた。

 

「クリス、ずるい!!」

「そーだぞ、ずるい!!」

 セシルやヒューズは、クリスに「ずるい」という言葉をどんどん投げかけていくが、

 

 

「うるさいよ?」

 

 

 ものすごく黒い笑みを、浮かべたクリスを見た瞬間2人は何も言えなくなった。なぜなら、とても恐ろしかったから。幼い頃から、付き合いがあるのでクリスが怒ったらどんなに恐ろしいかなを、知っているから今のクリスに口答えをすることはできなかった。

 

(この人って、なんか黒い。絶対腹の中は真っ黒だ)

 葵は、3人のやりとりを見てそう思った。

 

「うん、静かになった。それと、自己紹介してなかったよね。ボクは、クリス・ブルーバル。年は、二十四歳。この国の伯爵家当主で、神官長も務めてるんだよ。遠慮しないで、“クリス”って呼んでくれたら嬉しいかな」

 クリスは、先ほどまでの黒い笑みはどこに行ったのかというくらい優しい笑みを浮かべて葵を見る。

(うわぁーこの人、こんな顔もできるんだ。ちょっと意外かも)

 

「先越されたな。まぁ、いいか。俺は、カイン・ブランシュ。年は、クリスより一つ上だから二十五歳になるか。この国の公爵家当主であり、宰相を務めている。俺のことは、“カイン”と呼んでくれ」

 カインは、笑顔で葵を見つめる。

 

「俺、ヒューズ・レイタス。年は、二十一歳です。この国のレイタス公爵家の片割れ当主で、騎士団長を務めてる。“ヒューズ”か“ヒュー”って呼んで」

「僕は、セシル・レイタス。年は、ヒューと一緒の二十一歳です。この国のレイタス公爵家の片割れ当主。双子だから、ヒューと一緒に当主をやってるんだ。魔法師団長も務めてます。“セシル”か“セル”って呼んでね」

 ヒューズとセシルは、ニコニコ笑顔で葵を見る。

 

「俺は、ラシュ・ソレーユだ。年は、二十三歳だったかな。この国の隣の国で、第三皇子をやっている。“ラシュ”って呼んでくれよな」

「俺は、アンジェ・シーフォ。年は、ラシュと同じ二十三歳。この国の第一皇子をやっている。“アンジェ”と呼んでくれればいい」

 葵は、驚いた。

(王子が2人も!? しかも、第一と第三王子!? なんなのこれは。王道設定ですか!?)

「なんか、皆さんすごいんですね」

 葵は、内心動揺しながらも笑った。本物の笑顔で。本人は、まったく気づいていないが葵の顔立ちは整っているので笑うと可愛いのでヒューズとセシルは少し顔を赤くさせながら笑い、ラシュは眩しいものを見たという感じに目を細め、クリスは葵の初めて見る笑顔に驚き、カインは甘い笑みを浮かべ、アンジェは微笑んでいた。

 しかし、葵の反応が今浮かべている笑顔と何も変わらないので全員驚いた表情に変わった。

 この反応の変化に、葵は首をかしげた。

(なに? 私、何かしたっけ??)

 

「キミは、カインのあの甘い表情を見ても平気なんだね」

 感心したようにクリスは言うが、葵には理解できなかった。

(“カインの甘い表情”? あー確かに甘い笑顔してたなぁ。でも、べつにどうってことないじゃん。いやいや、それは私が慣れてるからか。普通は、頬を赤らめたりするんだろうな。あいつの笑顔見た人全員そうだったしな)

 

「はい、平気です。慣れてるんで」

「“慣れてる”? 恋人のカイン並みの甘い笑顔で慣れた、とかそんな感じ?」

「いえ、恋人はいましたが私の場合は双子の弟ですね。彼女に見えろよって感じの笑顔を、いつも私に振りまいてたので」

 葵は、ハハっと乾いた笑みを浮かべたが目は懐かしそうに目を細めた。


あれ?

男達は、全員自己紹介したのに葵ちゃんはしてないよ!?


まぁ、仕方ないと開き直って次回にまわそう!!

ううん、そうしよう。

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