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黒の冥王  作者: 紅梅
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報復のお時間です 上

「まぁ、初めまして、姫様。あたくし、シシリア・フォレスと申しますわ」

最初に言葉を発したのは、シシリアだった。

「初めまして、ハミール・グラッチェと申します」

「私は、カラリア・デルクと申します」

淑女の礼をした後、顔を上げた三人の表情はどれも勝ち誇っていた。

(なんで、そんな顔してるの? 私が、こんな素顔が分からない程、化粧してる人間に負けると思ってるわけ? はっ。自分の容姿が、平凡だって分かってるけどこんな人達に負けるなんてありえないわ)

「初めまして、皆様。アンジェやカインたちに、皆様のお話を聞いていたので今日お会いできて、とても嬉しいです」

アオイは、わざと“アンジェとカインたち”のところを強調して言った。そんな意図に気づくこともなく、シシリア達は当然だとでも言うかのような表情をしていた。

「今日は、シシリアさんがお茶を淹れてくれるというお話だったので、侍女達は下げさせてもらいました」

「そうなんです。あたくし、お茶を淹れるのが得意でそれをどうしても、姫様に飲んでいただきたくて」

「嬉しいです。あ、立たせたままでごめんなさい。どうぞ、こちらに座ってください」

シシリア達に、椅子を勧め自分も長いすに一人で座った。

「あの、そういえば殿下様達は来ていらっしゃらないんですか?」

「アンジェ達? あぁ、ここ(・・)にはいませんよ。呼んできた方が良いですか?」

「いいえ。あたくしたちは、姫様に会いに来たんですから。では、お茶の準備をさせていただきます」



(これから、女の闘いが始まるのか。うーん。女の闘いとか、初体験なんですけど。地球で、こんなことはなかったし)

地球で、アオイに手をだそうものならナツメや由哉もしくは、友人といったメンバーに容赦なく叩き潰される。それが、暗黙の了解となっていたので大いに手を出そうとするのは、よっぽどの挑戦者もしくは、馬鹿な人達だけだった。

シシリアが、準備している間カラリア達がアオイに話しかけてきて、その内容に適当に相槌を打っていた。それに、気づかない二人はどんどんしゃべっていく。

「姫様は、人の男を奪う女についてどうお思いになられますか」

この言葉に、ピンと来た。

(ははーん。この場合、人って言うのはこの人達のことで、男って言うのはアンジェ達のことだよね。それを奪う女ってのは、私って事だよね。うわー、可哀想なくらい勘違いしてる)

「そういうのっていけないことだと思います」

「やはり、そう思われますか? 私もです。人から奪うなんて、最低な行為です」

「でも、こういう風には考えられませんか? 男の方が、最初から遊びで女を抱いてたけど飽きてしまったから違う人にした。もしくは、本命ができた。それか、最初は本気だったけど女から魅力を感じなくなったとか」

「そんなこと!!!」

「あら、カラリアさん? 落ち着きなさい。さぁ、姫様。お茶が入りましたわ」

ちょうど、怒りの表情を表に出したカラリアが、何か言おうとした時、シシリアがお茶を運んできた。

「どうぞ、姫様。お口に合えば、よいのですけれど。」

「わぁ、美味しそう。甘い香りがするんですね?」

何気ない一言だった。しかし、シシリアの表情に一瞬焦りが浮かんだ。それを、易々と見逃すようなアオイではなかった。

(ふーん。無臭じゃないんだぁ。香りがする毒を選ぶなんて、もしも私が毒に詳しい人間だったらどうするんだろう? 一発でばれちゃうじゃん。本当に、馬鹿みたいな人達だなぁ)

「えぇ。そうなんです。疲れが取れたりするお茶なんです。それに、甘い香りがするので、女性には好まれているんですよ」

アオイは、それが嘘だと知りながらカップに口をつけ一気に飲む。直後に、のどを両手で押さえ、顔には苦痛の表情を浮かべそのまま横の倒れて動かないようにした。事情を知らない、誰もが演技だと疑うことができないほどに素晴らしい出来だった。





「フフ。フフフフフフフ。やったわ。ついに、あたくし達はやり遂げたのよ」

「そうですね! これで、殿下様方の気持ちは私達の方へ帰ってきます」

「これで、邪魔な存在が消えましたね」

シシリア達は、哀しいことに全く気づかない。自分達が、罠にかかってしまったことに。

「えぇ。長かったわ。でも、これであの御方はあたくしの元に帰ってきてくださる。この女は、あたくしがあの御方のを遊びで抱くわけないのが分からなかったのかしら? あたくしには、あの御方が愛してくれるのに見合った魅力があるわ。逆に、この女にはあの御方に相応しいほどの魅力など欠片もない。ねぇ? そう思わない?」

「全くその通りです。シシリア様に、魅力がないなんてありえません」

「この女の方こそ、魅力がないんです」

「そうよね。フフ。この女がいなくなったから、あの御方はあたくしと結婚してくださるわ。あたくしが結婚したら、あなた方も自分達の想い人と結婚すればいいわ。さぁ、用も済んだしこんなところには長居は無用よ。帰りましょう」

そう言って、きびすを返した時だった。










「もう、お帰りですか?」











予定より長くなってしまったので、中途半端なところなんですけど分割しました。

続きは、近日中に更新します。

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