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黒の冥王  作者: 紅梅
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あとは本番を待つだけ

更新が遅くなり申し訳ありません(汗)

 時間ピッタリに、アンジェの執務室に行くとカインが扉を開け出迎えてくれた。

「よぉ。待ってたぞ。入れ入れ」

「ごめんね? 時間を作ってもらっちゃって」

「気にすんな。アオイが来るって分かって、仕事が凄い勢いで片付いたからな。むしろ、助かったかな。いつもいるコニーデとシュネ、ヴァルトは? 珍しく、グレースとナツメもいねぇーな」

「コニーデには、ちょっとお使いに行ってもらった。二人は留守番。ナツメは、魔法が気に入ったみたいだから鍛練場にいると思うよ。グレースは、ナツメに引っ張られていった。でも、なんか嬉しそうだったから止めなかったんだ」

(なんか、ナツメの顔が悪人面になってたような気もしなくはないけど、そこは敢えてのスルーで良いか。どうせ、グレースを的にして遊んでるだけだろうし。うん。そう思っておこうっと)

「なるほどな」

 カインが案内してくれた長椅子に座ると、向かい側にアンジェとカインが座った。


「それで? アオイの用事は何だ?」

「実は最近、何か嫌がらせを受けてて、我慢の限界にきたから報復でもしてあげようと思って。それで、アンジェ達に手伝ってもらった方が、相手に衝撃を受けるかなって思ったから。それを頼みに来たんだ」

「はぁ!? 嫌がらせを受けていただと? なぜ、それを早くに言わなかったんだ」

「だって、アンジェ達に心配をかけたくなかったんだもん」

「アオイらしいな。でも、次からはちゃんと言えよ? 何かあってからじゃ、遅いんだからな」

「はい。ちゃんと言うね」

 アオイの返事に満足したのか、アンジェはうんうんと頷いていた。


「で? 何をするんだ?」

 アオイが嫌がらせを受けていると聞いて、報復に俄然やる気になったアンジェとカインは身を乗り出してアオイに問う。

「嫌がらせを仕掛けてきた人は、三人。この三人が、関係を持ったのがそれぞれアンジェ、カイン、ヒューズにセシルの四人。で、女達は自分達とアンジェ達は両思いだと思ってるんだけど、これは間違い? それとも、本当に両思い?」

「両思いなわけないだろ。相手には、悪いけど誰かさっぱり分からないしな」

「同じく。両思いとか、ないから」

 アンジェとカインは、本当に嫌そうな顔をしながら手を横に振る。

「了解。本当に、両思いだったらどうしようかと思った。それで、可哀想な脳みその持ち主達の気持ちを利用してやるというか、踏みにじってやろうかなと」

「あぁ、それは良いな。どうせなら、そいつらの関係も壊してやりたいね。それくらいは、やってやらないと気が済まない。そいつらの名前は?」

「シシリア・フォレス。ハミール・グラッチェ。カラリア・デルク。この三人だよ」

「フォレス家といえば、あの鬱陶うっとうしい親父がいる家か。良い噂のない領主達から、金をたんまり受け取って事件とかを握りつぶしてるという話を聞くが、実際にやり取りしている現場が見つからなくてどうしようもないんだよな。

 グラッチェ家は、嘘の報告で税を納めないんだよな。後は、証拠だけなんだがそれが出てこねぇ。この両家は、悪知恵だけは働くんだよな。

 あとのデルク家は、非の打ち所がないほど領民思いの優秀な領主として有名だな」

 三人の家の事を思い出すように、カインは指折り数えながら話をしていった。

「そう。そこのお嬢様方が、私に嫌がらせをしてきてるみたいなんだ。これは、確実なことだよ。なんたって、レーゲン達が調べてくれたことだから。ついでに、証拠もしっかりと揃ってる。盗んできてもらったから」

「なるほどな」

 ここでも、アオイの“盗んできてもらった”という言葉に反応する人間はいなかった。

「うん。それによると、明後日に私を毒殺するらしいよ。『お茶を、御一緒にしたいです』っていうような内容の、手紙が来ていたから承諾しておいたよ。場所は、私の部屋。だから、その時に、隣の部屋で様子を見ながら待機しててくれない?」

 可愛く首をかしげながら問うアオイに、「もちろんだ」と言いながらカインは手を伸ばしアオイの頭を愛おしそうに撫でる。

「ヒュー達にも、一緒にいてもらいたいんだけど大丈夫かな?」

「あぁ、あいつらなら大丈夫だろ。むしろ、喜んで頷くな。でも、良いのか? オレ達が、一緒にいなくて」

「うん。だって、カイン達が一緒にいたら彼女たちが、本性を現さないでしょ? それじゃ、ダメだし。しかも、即効性の毒を用意するみたいだから、飲んだ後、適当に倒れるから彼女たちが反応を見せた後、私が合図したら入って来て」

「確かに、女達が本性を見せなければ意味ないしな。分かった。ところで、解毒剤はどうやって用意する?」

「コニが、用意してくれるって。だから、今それを調達しに行ってるんだ。それにしても、即効性の毒を使うなんて馬鹿というか大胆というか。遅効性なら、自分達が疑われる可能性は低くなるのに、即効性だと自分達がやりましたって言ってるようなものじゃん。しかも、部屋の人間は、限られてくるんだし」

「そうだな。そえだけ、愚かと言うことだろ」



「・・・・アオイ」



 いつもより低い声で、アンジェはアオイの名を呼んだ。

「どうしたの?」

「良いか? 必ず、解毒剤を飲んでおけ。もし万が一、お前に何かあったら、俺はきっと正気ではいられないだろう。女達の血縁者全員を殺したとしても、正気に戻れないかもしれない」

 強い光を持つ瞳で、カインとアンジェはまっすぐアオイを見つめる。

 その視線で、アオイの心臓の鼓動の速度が一気に上がる。

(まただ。最近、アンジェとかといると時々こうなるんだよね。何でだ? ま、まさか何かの病気!? でも、この感じは由哉とかの時と似てる・・・・・? ・・・・恋? いやいや、ないない。きっと違うよね)

 頭に浮かんだ、考えを即座に打ち消そうとする。しかし、消えずにずっとアオイの中に、残っていた。まるで、この考えが正解だとでも言うかのように。


「分かった。絶対に、飲むから安心して。私は、まだ死にたくないしね」

「それを、聞いて安心した」

「あと、これあげる。フォレス家が、明後日にあの女達が私を殺そうとする時間と同時刻に、この場所でなんか密会するらしいよ。その話を、ヴァルトが聞いてきた。あとこっちは、領民から納められた税を記してある手帳ね。レーゲンが、盗んできたけど私じゃ活用できそうにないから、アンジェ達に渡しておくね」

 アオイは気軽に渡したが、渡された本人達は驚いた目でアオイと紙と手帳を交互に見る。

「レーゲン、よく分かったな。この手帳がある場所が」

「大事そうに、箱にしまってあったんです。見ないと失礼でしょう?しかも、我が君に関わることかもしれないならなおさらです」

 当然だというかのような顔に、アオイはニコニコと笑うだけだった。

「感謝する。これで、あいつらも捕まえられる」

「でも、優秀な両家のお姉さん方と、優秀な領主さん達は捕まえないで欲しいんだけど」

「もちろんだ。特フォレス家の長女と次女はダメだな。まぁ、彼女たちは見捨てるな。自分の親だからと言って、情けをかけるような人物ではなかったと記憶してるしな。それに、デルク家の二人も同じだな。グラッチェ家の家出をした長女は、既に家と縁を切ってるみたいだから害が及ぶ心配はないな」

「それなら、良かった」



 そこからは、普通のお茶会だった。美味しいお菓子を食べたアオイは、その足で詰め所へと向かいヒューズとセシルに話をし同意を得た。






アオイちゃんの心情は、

準備は万全。

ということで、本番にレッツゴー!

て感じですかね

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