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黒の冥王  作者: 紅梅
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女神との会話

 突然、葵を包み込むように黒い竜巻が起き始めた。その竜巻によって、近くにいたクリス達や長いすや机は全て吹き飛ばされてしまった。

 それだけではない。部屋がどんどん凍り付き始めていく。

 

 

「おい、セシル!! どうなってるんだ!?」

「これは・・・・彼女の魔力だ。しかも制御できずに暴走してる!!」

 双子のうちの1人、セシルは青ざめながらもアンジェの問いに答えた。

 

(彼女は、魔力を制御しないんじゃなくてできないんだ!! このままじゃ、彼女は魔力を使い果たして倒れるか、最悪な場合―――――死ぬ)

 セシルは、解決方法を必死に頭の中で考えながら自分の魔力で部屋を暖めていくが、それを遙かに上回る速さで部屋は凍り付いていく。部屋を自身の魔力で暖めているのは、セシルだけではない。ここにいる者は、差はあるけれど魔力を持っておりそれを使っているがやはりこれでも止まらない。

 

「どうすればいいんだ!! このままだったら彼女は・・・・死ぬかもしれない」

 セシルの叫んだ言葉に他の者は皆固まった。ほぼ無理矢理という形で、連れてこられた葵に少なからず同情心を皆抱いているのだ。

 既に、同情心以上の気持ちを、抱いている者もいるが。

 

 沈黙していた瞬間、いきなり黒い竜巻が消え凍り付いてきていた部屋も元に戻った。

 竜巻の中心にいた、葵は倒れていた。それを見た、アンジェ達はすばやく葵の元に駆け寄った。

 

 

 

 

 葵は、自分の状況をまったく把握できないでいた。クリスを見下ろしていたはずなのに、葵の目の前には草原が広がっていた。来たこともないし、知らない場所のはずなのになぜか懐かしく感じる。だけど、どこだか分からない。

 分かることは、今のところ1つしかない。

 それは、

(自分が、キレてるって事だよねぇ)

 珍しいほど、葵はキレていた。なんで自分がこんな目に遭わなければならないのかと。

 

 

 ――ごめんなさい。これは、全てわたしの我が儘なの――

 

 

 いきなり頭の中に、誰かの優しく慈愛に満ちている声が響いてきた。この声も、草原と同様に懐かしく感じる。

(あなたは、だれ?)

 

 ――わたしの名は、ユリエル。この世界を創った者。そして、あなたをこの世界に呼んだもの。あなたの名前を、教えてくれる?――

 

 

(私は、緋野 葵。ねぇ、私を呼んだって言った? なんで? どうして?)

 キレている状態だったのが、ユリエルの声を聞いて頭が冷静になっていくのを感じた。

(私は、呼ばれた。クリスもそう言ってたから、これは確かな事実だ。でも、なんのために? ユリエルは“わたしの我が儘なの”って言った。それはなぜ?)

 

 ――わたしは、葵に会いたくてたまらなかった。だからクリスとか言う名の神官長が、『伝説』の花嫁を召還したいという願いを聞いたの。葵の世界での“緋野 葵”という存在を抹消してしまった。本当に、ごめんなさい。わたしの我が儘で。・・・・・・・・でも、そうでもしなければわたしは、葵にいつまでたっても会えなかった。この世界にいてほしかったから。葵のことが、なによりも大切なの――

 

 後半の言葉は、小さく葵には届かなかった。

(私、ユリエルと会ったことあるの??)

 

 ――そうね。葵が、覚えていないのは当たり前よね。神であるわたしでさえも、昔と感じる程気の遠くなるくらい昔のことだから――

 ユリエルの声は、切なげで悲しそうだった。

 ――だから、彼らを責めないであげて。責めるなら私を――

 

(私に、ユリエルを責めるなんて絶対にできない。なんでかは分からないけど。ユリエルの言う通り、あの人達を責めるのはやめる。地球に帰るのも諦めて、残りの人生はこの世界で楽しむことにするよ)

 葵自身でも理由が、分からないけれどユリエルの言葉に従ってしまう。なぜだろ、と内心首をかしげた。いくら考えても、答えは出てこない。

 

 ――ありがとう、葵。この世界のことは、彼らに聞いてね。私じゃ、よく分からないから。あ、でも安心してね? どこの言葉でも話せるし、聞けるし、書けるし、読めるから!! どんなに、昔の言葉でも大丈夫だからね!!――

 先ほどまでの、声とは違い自信に満ちあふれているような声だった。

 

(この世界ってユリエルが創ったんじゃないの!? なのになんで、あの人達に聞かなきゃダメなのか聞いても良いですか!?)

 

 ――だって、すぐに国の名前とか色々変わっちゃうんだもん。だから、覚えるの面倒になっちゃって。それとこの世界には、葵の世界になかった“魔力”があるから!! しかも、葵はこの世界でも滅多にいないほど強い魔力の持ち主だから、そこのところも彼らか誰かに説明してもらってね。わたしじゃ、うまく説明できないから。――

 アハっとかわいらしい声が聞こえ、葵は思わず脱力してしまった。

 

(分かった。ありがとう)

 言ったは良いが何に対してのお礼なのか、葵は全く分からなくなってしまった。

 

 ――いえいえ。それじゃあ、わたしは帰るわ。また会いに来てもいい??――

 

(当たり前。今度は、ユリエルの顔とか見てみたいな。楽しみにしている)

 

 ――じゃあ、今度は顔を見てお話しましょうね!! じゃあね、葵!!――

 ユリエルが、別れの言葉を告げた途端に草原も消えた。

 葵の意識は、暗闇の中に沈んでいった。

 

 

 


タイトルは、内容そのまんまです。

思いつかなかったんで。


ユリエルと葵ちゃんには、過去何があったんでしょうね・・・。

ヤバい

そこんとこもきっちりと考えねば!!

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