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黒の冥王  作者: 紅梅
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秘密にしておくことにしました

 鍛錬所に着くと、多くの人達が剣を交えていた。遠くの方では、魔法師達がなにやら魔法を打ち合ってるのが見えた。

(打ち合って、危険じゃないのか!? いや、どう考えても危険だよね・・・・・・)

 アオイは、そう思ったが誰も気にしていないようなので、あんなものなのかと無理矢理納得させた。グレースが、隅で休憩している人の方へ近づき、

「セシル団長、部屋にいるか?」

 と尋ねていた。「おぉ。いるぞ」という答えを得られアオイたちの方へ戻ってきた。

「いるって、話だから行くぞ」

 詰め所に入ると、まっすぐ廊下を突き進み一番奥にある二つの扉のうち右にある扉を叩く。「どうぞ」と応える声を聞くとグレースは扉を開け、

「魔法騎士部隊隊長、グレース・アンバーチェ、入ります」

 と言いながら入っていった。


(えぇー!? グレースって、隊長さんだったの!? 知らなかったわ。てか、そんな凄い人に護衛を頼んでたのか・・・・・・。良かったのかなぁ? まぁ、本人が引き受けてくれたんだから良いのか)

 一人、うんうんと頷くアオイにナツメはただ首をかしげていた。


「どうしたの? なにかあった?」

「いえ。ナツメが、自分は魔法が使えるのかと気になったらしいので、こういうのは団長が詳しいだろうと思って連れてきました」

「なるほど。じゃあ、試してみようか。えーっと、どこへやったっけ?」

 部屋の中から、がさがさと音がしたので気になってアオイとナツメが中を見てみると、セシルとグレースが家探しを行っている最中だった。優しげで、可愛らしい雰囲気を持っているセシルの部屋とは思えないほど、中は散らかっていた。だからか、探すのに手間がかかっているようだ。

「何、探してるの??」

「え? あ、アオイだ。んーっとね、属性が何か調べられる水晶を探してるんだ」

「そんなのがあるの?」

「うん。この部屋のどこかに、あるはずなんだけどな・・・・・・・」

 引き出しという引き出しを開け尽くしても、見つからないようでセシルは首をかしげる。

「おかしいなぁ。やっぱり、ここはヒューに聞かなきゃかな。ねぇー、ヒュー!!」

 部屋から出て、正面にある扉を遠慮せずドンドンと大きな音を出しながらセシルが叩くと、「うるせーっ!」と言う声と共にヒューズが扉を開けて出てきた。

「何だよ?」

「あのね、僕の水晶が消えちゃったんだけど、どこにあるか知らない?」

「俺みたいに、いつも整理整頓してねーからそうなるんだろ」

 ヒューズの言葉は、アオイにとって少し・・・・・・いや、かなり意外だった。

(部屋とか、いつも整理整頓して綺麗に片付けてるのってセシルの方かと思ってた。言っちゃ悪いけど、ヒューってなんかガサツなイメージがあるというか、片付けとかしなさそうなイメージ持あるのに。ごめんね、ヒュー)

 そう思ってたことに、心の中で深くお詫びをしておく。

「はぁ。お前の執務机の一番下の引き出しに入ってるだろ」

「そうなの!? 鍵がかかってる箱しかなかったよ??」

「それが、水晶だろ。大事な物だからって、代々その箱に入ってんの知ってるだろ。ちなみに、鍵はセルが持ってるはずだよな? 俺は、知らないからな」

「あー、うん。大丈夫。持ってる」

「じゃあ、それで開けろ。俺は、もっとアオイといたいけど、急ぎのやつが何枚か残ってるから諦めるわ」

 そういうと、肩を落とし明らかに落胆しているような表情になる。

「がんばってね、ヒュー」

「ありがと、アオイ。アオイの応援のおかげでやる気が増した」

 単純なヒューズは、意気揚々と部屋へと戻っていった。アオイたちも部屋へ戻り、セシル執務机の一番上の引き出しから鍵を取り出し箱を開けた。

 中には、透き通った水晶が入っていた。大きさは、手のひらにのせられるくらいの大きさだ。



「はい。これで、属性が調べられるよ。そうだ。アオイも調べる??」

「ううん、いいや。私には、グレースとかヴァルトとかいるし。いざ、使うとなったら頑張って頭の中で構成して使うよ」

 内心、ギクリとしたがそれを表情に出さないように注意を払い、否定の言葉を口にした。セシルは、アオイのそれに違和感を覚えたが、その正体が何かまでは分からなかった。

「で、これを持ったけど、どうすればいいわけ?」

「その水晶を、意識して見てればいいよ。しばらくしたら光り出すから。属性が、炎なら赤に。水なら青に。土なら黄に。風なら緑に。可能性としては低いけど、光なら金に。闇なら黒に光を発するんだ」

「なるほど。じゃあ、やってみるか」

 ナツメは、ジッと水晶を見つめ意識を集中させた。集中力を乱さないように、その様子をアオイたちは黙って見守っていた。いきなり、水晶がまばゆい金色の光を発し、部屋を包んだ。

「金ってことは、ナツメの属性は光?」

「そうなるね。うーん、貴重だなぁ。ナツメが自衛できるようになるまでは、アンジェ達以外には内緒にしておこうか。

 そうじゃないと、誘拐とかされちゃうと思うから。光の属性って珍しいから、自分の傍にとか自分の味方に欲しいっていう欲望だらけの人達が大勢いるからね。

 実際に僕は、誘拐されそうになってるところを見て助けたことだってあるし」

 セシルの言葉を聞いて、ナツメはあからさまに眉をひそめた。

「それは、嫌だな。見たことがあるって事は、俺の他に光属性の人間って誰がいるんだ?」

「僕が知ってるのは、アンジェとクリスかな。カインは、水だし。ヒューは炎で、僕は土だからね」

「なかなか、その人の性格に似た様な属性だよね。だけどさ、アンジェが光だってのは理解できるよ? けど、なんでクリスもなの!?」

(クリスが、光属性? ないないない。だって、お腹の中は真っ黒じゃん。光ってイメージ的に、暖かい光で優しく照らしてくれるって感じがするけど、クリスの性格って全くの逆だよ。奈落の底まで突き落とすって感じだよ・・・)

 アオイは、自分がクリスに対してとても失礼なことを思っている事に気づいていない。

「血筋かな。二人の家系って、光属性が現れやすいんだ。元々、この帝国の初代皇帝とその親友である神官長が、光属性の持ち主だったみたいだからね」

「なるほど。じゃあ、闇は? セシルの知り合いの中に、闇属性の人っていないの?」

「闇かぁ。いないかな。闇属性の人間は、大昔に“闇の女神”が死んでから一度も、生まれていないって話だからね」

「何? その“闇の女神”って」

 初めて聞く言葉なのに、アオイは初めて聞いた気がしない。だけど、この感覚について全く分からないし理解もできなかった。グレースは、この言葉にピクリと反応したがアオイはそれに気づかなかった。

「僕もよく知らないんだよね。他の属性にはいないけど。

 光と闇の両属性には象徴となる女神がいるんだ。光は、女神ユリエル。闇は、女神サーリア。

 で、この闇の象徴である女神サーリヤが死んでしまったから闇属性も消えたって話だよ」

「そうなんだ。ふーん、分かった。そーだ、魔法の練習しよう?」

 セシルからは、これ以上何も情報が引き出せないと判断したアオイは、素早く話題転換をした。

「だね。ナツメには、どんどん覚えていってもらわないと困るからねー」

ちょこっとだけ、これからこの物語が進行していく上で、重要な単語が出てきました。

これから、だんだんと重要な単語などを出していく予定です。

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