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黒の冥王  作者: 紅梅
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嫌がらせを受けています

 扉をノックする音が聞こえ、それにコニーデが応え、扉を開けるとナツメがいた。アオイは、読んでいる本から顔を上げナツメを見る。

「なぁ、アオイ」

「んー? どうしたの? ナツメ」

「この世界って、魔法があるんだよな?」

 既に、女神ユリエルによってナツメがヨームルダン帝国に召還されてから一週間程度が経った。その間、ナツメは主にクリスからこの世界の説明などを受けていたのだ。

 その合間に、アオイは自分が、闇そのものであるらしいということについても話しておいた。ナツメの反応は、とても彼らしく、

「アオイは、アオイだろ? どんな、アオイでもオレは拒絶しないよ」

 だった。でも、ナツメは知らない。この言葉に、ナツメの反応がどんなのか分からなくて内心ビクビク怯えていたアオイが、ナツメの言葉に救われたことを。



「あるね。それが、どうかした?」

「いや。オレにも、使えんのかなぁーって思っただけだから」

「どうだろ? 使えるんじゃないのかな。私も使えるし。あ、セルのところに行ってみる? たぶん、セルなら分かると思うんだけど」

「そうするか。行ってくるわ」

「私も、行く! ねぇ、グレース? 闇の回廊使っても良い??」

 珍しく、扉の近くに控えていたグレースにアオイは問う。いつもアオイの傍にいるシュネやレーゲン、ヴァルトはアオイの指示で最近、アオイに嫌がらせのような物をしてくる人物を割り出すために諜報活動に行っていた。



 そう。最近、アオイは嫌がらせを受けていたのだ。ここのところ毎日、部屋の前に動物の死骸が置いてある。これは、グレースが普通に拾って、闇を使いどこかそこら辺に捨てていた。

「さっさと化けの皮をはがされると良い。そして、殿下達にこっぴどく振られて捨てられろ」という謎の手紙を何通か受け取ったりもした。読み終わった後、コニーデが問答無用で手紙を奪い取り、「kれは、良い証拠になるわ」と真っ黒な笑みを浮かべ、自分の部屋にしまっている。

 魔法で出現した水を頭からかぶせられそうになったりしたが、これは闇がアオイが防御を考える前に動いて防いでくれた。

(どうせ、アンジェとか、カインとかと過去に関係を持っていた人とかでしょ-。めんどくさいな。でも、そろそろ我慢の限界かも)

 今まで、アンジェ達に心配をかけたくなかったので笑って過ごしてきたが、人にも限度というものがある。

「私に、こんな幼稚な子がするようなことをしてくる人・・・・あぁ、幼稚だからこんなことするのか。まぁ、良いわ。とにかく見つけ出してきて。見つけ出したら、名前とか性格、素行など詳しいことを全て調べて、まとめて私に提出ね。きっと、一人じゃないだろうから手分けして行ってきて」

 絶対零度の微笑みを浮かべながら言うアオイの意見に、ヴァルト達は諸手を挙げて賛成をした。自分達の大切な主に、嫌がらせをする人物達が許せないのだ。過去に、アオイを暗殺しようとしていた人間も、アンジェ達に許可をもらい報復をしてきた。調べるなんて、造作もないことなのだ。




「いやいや。やめてくれ。オレが、使うから。・・・・・・姫さんの闇の回廊は、どこに行くか分からないからハラハラドキドキもんなんだからな」

「あー、確かに。アオイは方向音痴だからな。まぁ、そこが可愛いところでもあるんだけどな」

 言葉の後半部分は、誰にも聞こえないように呟いたはずなのにナツメには聞かれてしまったようで、困ったように言葉を返された。しかし、その表情から困ってるなんてものは読み取れない。むしろ、可愛くて可愛くてしょうがないという感じだ。

「まぁな。それじゃ、行くか」

「はーい。あ、コニも一緒に行く??」

「生きたいのは山々だけど、アオイたちが帰ってきたら美味しいお菓子とお茶が出せるように用意しに行かなきゃだから、今回は遠慮しておくわ」

 本当に、残念そうにコニーデは目を伏せる。その言葉に、喜ぶのはグレースだ。

「よっしゃ。コニーデが、来ないなら邪魔者はいなくなるな」

「フフフ。グレース様、貴方は馬鹿ですか? 阿呆ですか? 間抜けですか?」

「はぁ!? なんでそうなる」

「これから、行く場所はセシル様もいるところですし、それに、ナツメ様もアオイの傍にいますけど?」

「ちっ。そうだな。まぁ、コニーデよりは姫さんの傍にいられるから良いとするか。行くぞ。姫さん、ナツメ」

 グレースは、闇の回廊を開きアオイとナツメを先に通した。出た先は、騎士団と魔法師団詰め所近くだった。しかし、そこはどの角度からも死角となっていて見えない場所だからか、誰も闇の回廊に気づかなかった。


「へぇ。便利だな、これ。でも、オレには使えないんだろ?」

「あぁ。使えるのは、闇属性の人間だけだからな。ナツメの属性は、闇ではないみたいだから使えねぇーな」

「そうか。オレの属性ってなんだろうな。うーん。オレ的には、炎とか水が良いな。襲われても困らないし、生活の役にも立つし」

「さぁ? 団長にでも、調べてもらえばいいだろ」

「だな。行くぞ、アオイ。て、オイ! どこに行く?」

「え? 詰め所じゃないの?」

「そっちは、詰め所とは違う方向だぜ、姫さん」

 さっそく、方向音痴ぶりを発揮したアオイはグレースとナツメに呼び止められ、自分が違う方向に行こうとしていたことを知る。

(こっちじゃなかったんだ。これじゃ、私が方向音痴みたい・・・・・・・。方向音痴じゃないはずなんだけどな)

 いまだにアオイは、自分が方向音痴だと言うことを自覚していなかった。


アオイが黒いです。そして、方向音痴だということに気づきませんでした。


アルファポリスファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。初めてのことなのでドキドキ気分です。

応援よろしくお願いします!


9/3に第19話の魔法の説明の部分についてちょこっと変更しました。

基本的には、あまり変わっていませんが気になる人はぜひ読んでみてください。

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