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黒の冥王  作者: 紅梅
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勘違いはいけません

 最初に反応したのはアオイだった。

「あれ? みんな、どうしたの??」

「ひ、ひ、姫さん!! オレに、内緒で浮気してたのかぁぁぁぁ!! この浮気者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「えぇー!? グレースの恋人が、浮気してたの!? ダメじゃない! グレースが、可哀想よ。

 ちょっと、お説教に行ってこなきゃじゃん。『浮気なんて、気の迷いなんだからグレースだけで我慢しなさい』ってね。

 ていうか、グレースって恋人がいたんだ。いるならいるって、早く言ってよ」

 かなりずれたことを言うグレースに対し、さらにずれた回答をアオイは返した。そんなアオイに、ナツメはやれやれと首を振り、いまだに座ったままだったので立ち上がり、アオイにも手を貸して立ち上がらせた。

 ついでにナツメは、立ち上がったアオイの腰に腕を回し抱き寄せた。その姿に、そこにいた全員の目つきが刃物のように鋭くなる。

「ちがーう!! オレじゃない。てか姫さん、ひでぇーぞ。何? 『グレースだけで我慢しなさい』って! 

 オレ、ちょーいい男だから、オレ以外の男なんて視界から消えちゃうよ? 

 つーか、そもそも、オレには恋人は存在しない!! そいつだよ、そいつ! 姫さんの腰になれなれしく、腕を回してる奴!!」

「んー? あぁ、この人? この人は――――――」

「良いよ。自分で言う」

 アオイの言葉を遮りナツメは、

「初めまして。緋野 棗と言います。こちら風に言うと、ナツメ・ヒノになるのかな? よろしく」

 と笑いながら言った。しかし、目は笑っていなかったのだった。


「ナツメだと? コイツが、前に言っていた奴か??」

 今にも舌打ちしそうな勢いで、ヒューズがアオイに問う。

「そうだよ」

「似てないよね。双子って言ってたけど、本当に双子なの?」


(・・・・・口調は柔らかいけど、目が笑ってなくて怖いですヨ、クリスさん!! よく見れば、みんな怖い目つきシテル。特に、レーゲン達こわっ! 目線で、人が殺せるなら、私とナツメは死んでるな。ハハハハ)

 ダラダラと、背中に冷や汗が流れ出した。顔が、引きつってないだけ褒めてもらいたい。


「オレとコイツが双子? んなわけないじゃないですか。オレは母さんの連れ子で、コイツは父さんの連れ子ですよ。だから、血は一滴たりとも混じってませんよ」

「あ、やぱり。おかしいと思ったんだよねー。私が、黒髪黒目なのに対して、ナツメって綺麗な茶髪に茶が混じった黒目だもんね。顔のパーツも、似てるところないし。納得だわ-」

「納得してくれて、なによりだよ。オレは、お前がこのことについて知らないと思ってたから手が出せなかったけど、そうじゃないなら出しても良いよね」

 アオイは、棗が言っている意味が全くと言って良いほど分からなかったが、アンジェ達には分かったのだろう。眼力がさらに、鋭くなってアオイではなくナツメを睨みつけている。


「で、コイツは何でこっちに召還されてきたんですか? あなた方は、コイツの何ですか?」

「アオイは、伝説の花嫁としてこの帝国に召還された。

 基本的には、皇族もしくは王族のための花嫁になってもらいたいのだが、女神ユリエルの次の位に位置づけられる伝説の花嫁には、皇族達と同じように恋愛結婚が求められる。

 しかも、この世界では皇族達は多婦多夫制で、それも伝説の花嫁は認められてるんだ。

 だから、ここにいる俺達のほとんどは、アオイの伴侶候補になる。もちろん、この世界に来たナツメもな。」


「へぇ。でも、良いんですか? 花嫁は、処女じゃなくて。言っときますけど、コイツは処女ではありませんよ?」


 ナツメは、とてつもなく大きい爆弾を落としてくれた。その爆弾は、アオイにまでダメージを与えた。

「なっ。お前、経験済みだったのか!?」

「まじで!?」

「え? うん。まぁ。普通に、恋人いたし。て、ちょっ、ナツメ? 何で知ってるの!?」

 アオイは、いそいそとナツメの方を向き、胸ぐらを掴みあげた。

「教えられたんだよ、由哉ゆうやに!」

 その名前を聞いた時、アオイの手から力が抜けた。由哉とは、アオイが二人目の恋人で、召還される少し前まで続いていた人であり、ナツメの親友・・・・・・・らしい。ナツメに教えた理由は、おそらく、アオイの事が大好きなナツメをからかいたかったのだろう。

「なに、ちゃっかりナツメに言っちゃってるの。由哉のばかぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 今、この世界にもいないし、地球でもアオイとナツメの存在を忘れているであろう、かつての恋人にアオイは暴言を吐いたが意味をなしていない。


「まぁ、花嫁には処女では無いということは珍しくないらしいし、その男の子を妊娠しているわけじゃないから大丈夫だ。妊娠していたら、召還対象から外れるだろうからな」


 話が一段落付いたところで、

「アオイ様ー!」

「我が君-!」

 と言う声と共に、コニーデとシュネが駆け寄ってきたのでアオイはナツメから離れ、二人に抱きついた。その二人の近くに、レーゲンとヴァルトがゆったりとした足取りで近づいて来た。

「皇宮中を、探したんですよ。何か、事件に巻き込まれたのではないかと、心配いたしましたが何ともなくて良かったです」

「本当に、大変だったんですから。今度、どこかへ行く時はちゃんと声をかけてください」

「ごめんね? でも、探してくれてありがとう」

「いいえ。我が君のことなら、我らは何だってしますから」

「そうです。オレらは、我が君がどこへ行こうと探し出してみせますよ」

 どこか誇らしげに、レーゲンとヴァルトは笑った。


 一方、他の男達は自己紹介という名の腹の探り合いをしていた。

 その光景が、何とも不気味というか近づきにくいとアオイは思うが、言ったら可哀想という気もしたので言わないのであった。

驚愕の事実を知ってしまった、アンジェ達です。

そして、コントみたいになってしまっていたグレースとアオイでした。


あ、これからは絶対に地球での過去話以外は、「アオイ」と「ナツメ」になります。


由哉がナツメに教えた事についての詳しい事は、活動報告にて。

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