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黒の冥王  作者: 紅梅
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知りかけた真実

「我が君、お休みになられますか??」

「そーだね。もう、眠いし寝ようかな。あ、シュネも一緒に寝よう??」

 アオイが、シュネ達を配下にしてから早いことに半月経った。そして、アオイがこの世界に来てから一ヶ月経った。

 つまり、花冠の月から迅雷の月に変わったということだ。



 だいたいアオイは、この世界に慣れてきたからか気持ちの変化が現れるようになってきた。

 寂しくなってきたのだ。特に、夜が。

 色々と驚くことや慣れないことが多すぎて、寂しいなんて思うことがなかった日々を送っていたが、一ヶ月も経てば驚くことなどはほとんど無くなってきたのである。

 だから、最近は寝る時には必ず誰かを寝台に引きずり込んでいるのであった。

 いや、アオイが誘ったら自分から寝台に入ってくるといった方が適切である。


「では、失礼して」

 一言そう言って、シュネはアオイの隣に潜り込んだ。

「役得です。女に生まれて良かったと思いますわ。男だったら、グレース殿達がお呼ばれされることがないように、我が君の寝台にあたしがお呼ばれすることはなかったと思いますから」

 シュネの言葉通り、アオイはグレースやレーゲン、ヴァルトを寝台に引きずり込むことはしない。一応、自分は女でグレース達は男だということを考えて呼ばないのであった。だからか、グレース達は落ち込みコニーデとシュネが順番にアオイの寝台で寝るようになった。


「おやすみ、シュネ」

「はい。おやすみなさい、我が君」

 ぎゅっとシュネに抱きついて、アオイは眠りについた。シュネも、アオイを抱きしめて寝た。今の季節は、夏で暑いのだがアオイもシュネも何も気にせずに寝た。




 アオイは、初めてユリエルの声を聞いた草原にいた。

 前回、ユリエルの姿を見ることは叶わなかったが今回は、目の前に白に近い金色の髪をしていて金色の瞳をしている女性がいた。

(もしかして、ユリエル?)


 ――そうよ。この前、次に会う時は顔を見て話すって約束したから――


(したね。ねぇ、ユリエルに聞きたいことがあるんだけど)

 そうアオイが言うと、ユリエルは分かったいるという感じに頷いた。

 ――聞きたいのは闇のことと、配下に下した者達がいた組織の事ね?――


(うん。教えてくれる?)


 ――えぇ。でも、全部は教えられない。きっと、アオイ自身の力で知った方が良いことだと思うから――


(いいよ。それで)

 ユリエルは、アオイの手を取り草原に腰を下ろした。

 ――最初に、アオイの魔力はこの世界には滅多にいない程強大だと言ったわね? あれは、アオイが闇そのものだから。普通、魔法を使う時は自然の力に干渉しなくてはいけないの。そうでなければ、自然の力や生活していく上で必要な力は得られないから。でも、アオイの場合は干渉していないの――


(へぇ。他の人が、自然に干渉して力を使う中で私はいらないと。不思議だね。でもさ、私が強大な魔力を持ってても誰も何も言わないよ?)


 ――あぁ、それはアオイの力が暴走した時にアオイが魔力を制御できるようになるまで私が魔力の半分を封印してたのと、闇の制御ができるようになってきてるから解かれた封印の魔力は隠れてるのよ。アオイの魔力の源は、闇だから闇の力を制御できるようになればそれに比例するように、魔力の制御もできるようになってるの――


(そうなんだ。便利なんだね。次、レーゲン達がいた組織のことを教えてくれる?)

 アオイが、今一番知りたかったのは自分の事ではなくレーゲン達のことだった。アオイの中で、レーゲンが最初に告げた“闇が憎い”という言葉が引っかかっていたのだ。

 一瞬、ユリエルの顔が悲しみに歪んだがすぐに元の笑顔に戻した。だから、アオイは何か理由があるのかと思って敢えてそれに気づかないふりをした。

 ――この世界には、光が善で闇が悪だと思っている人達の組織があるの。きっと、アオイの配下に下った者達はそこで生まれそこで育った者達だわ。

 その組織内で生きる全ての人間に、“闇は、この世の敵だ。光こそが正しい存在。だから、闇を憎め。光を敬え”と教えてるらしいの。馬鹿らしい考えでしょう? でも、本気でそれを信じている人間が大勢いるわ。

 さて、この話はここまでよ。きっと近いうちに、アオイは知ることになるわ。だから、覚悟をしておいてほしい。それと一応、彼らを信じてあげて欲しい――

 ユリエルの話に、アオイは眉間に皺を寄せた。

(本当に、馬鹿みたいな考えだね。彼らっていうのは、アンジェ達のことだよね? 大丈夫。もう、とっくに信じてるよ)

 一ヶ月以上一緒にいて、アオイはアンジェ達を信用するに値する人間だと判断した。それでも、まだ闇の力の話はしていないが。


 ――そう。それは、よかった。・・・・・・ところで、アオイ?最近、侍女達を寝台に入れてるようだけど?――


(だって、寂しいんだもん。この世界にある程度慣れてきて、心に余裕が出てきたら寂しくなった)

 ――なるほど。そのことだけどね、もしかしたら近いうちにこの世界に一人訪れるかもしれない。多分、期待はしてても良いかもしれないわね。結構、良いところまで来てるから。それほど、アオイの事を想っている――


(誰だろ?)

 アオイの頭の中に、ある人物が思い浮かんだ。いつも、一緒にいてくれたアオイにとって、とてもとても大切な人。


 ――秘密よ。きっと、その時になったら分かるわ。もし、来たらわたしがアオイに教えてあげるから。それとね、そのうちにアオイが全部を知る手伝いをしてくれる人が現れるわ。その人は、信じても大丈夫よ。アオイに、嘘をつけない人間だから――


ごめんね、ユリエル。

もうちょっと早く出したかったのに出せなくて(汗)



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