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黒の冥王  作者: 紅梅
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同じ属性

 グレースは、アオイに手招きをし近づいてきたアオイを自分の隣に座らせた。


「この帝国には、過去に四人の伝説の花嫁が召還されたことは知っているか?」

「うん」

「そうか。なら話は早い。この世界のあるところにな、その伝説の花嫁と波長がよく合う女・・・・・つまり、気が合う女がいたんだ。

 しかも、四人とも同じ家の出身な。それが、オレの生まれた家である、アンバーチェ家なんだ。今回、伝説の花嫁を召還するにあたってアンバーチェ家の娘を姫さんの、侍女にでも友にでもしたかったんだろうな。

 伺いが来た。だけど残念ながら今の、我が家には娘はいないんだよ。いるのは息子のオレ1人な。だから、オレがもしかしたら姫さんを誘惑するかもしれない。という疑いもあったからオレは、この部屋に幽閉されてるわけ。

 なんたって、オレは伝説の花嫁とこの世でもっとも気が合う人間らしいからな」

 そう言ったグレースは、豪快に笑っていた。少しも、自分が幽閉されていることを気にしていないようだ。


「グレースは、気にしないの? 幽閉されてることについて」

「ん? まぁな。オレの属性のおかげだな。しかも、オレが外に出れるなんて考えてもないだろうから結界とかそういった類の物も張られてないしな」

「属性って、魔法の??」

 アオイは、小首をかしげて聞いてみる。

「あぁ。おかげでオレはいつでも外に出られるし、いくらでも情報を得られるからな。まぁ、外に出る時は姿を変えてるけどな」

「そんなことができる属性があるんだ?」

「姫さんも、聞いたことはあるはずだぞ」

「え? なんだろ。外に出れて、情報も得れる・・・・・・。しかも、属性は一つだけだし。んー、炎と水と土ではなさそうだし。風? でも、風で誰にも見つからないで移動はできないか。それじゃあ、光とか? 光なら、できそうだよなぁ。ねぇ、グレース。光?」

「残念。その反対」

 色々とぶつぶつ言いながら結論を出したアオイだったが、あっさりと否定された。しかも、結論とは反対とまで言われてしまった。

(反対? 光の反対って――――――)


「――――――闇?」

「正解。オレの属性は、闇だよ」

「今は、誰もいないって聞いたけど・・・・」

「だって、誰にも言ってないし。言ったら、何されるかわかんないしな。――――――――――――――この世界の人間は、基本的に闇を嫌っている(・・・・・・・・)からな」

「え?」

 後半の部分は、グレースの声が小さくて聞こえなかった。

「何でもねぇ-よ。闇の属性を持ってるのは、オレだけじゃないぞ?」

「他にもいるの?」

「おう。オレの、目の前にな」

 悪戯っ子のような目をしながらグレースは、きょとんとしているアオイを見る。次いで、アオイの目が大きく見開かれた。


「わ、たし?」

「そっ。姫さんも、オレと同じ闇属性。つっても姫さんの場合は、その闇そのもの(・・・・・)って言っても良いらしいな」

「・・・・どういう意味?」

「姫さんは、誰かに呼ばれてるっていう夢見たことない? なんか、『はやくおいで。来るまで、待ち続けるから』みたいなこと言われてるような」

「なっ! なんで、知ってるの??」

「女神ユリエルから聞いた。詳しくは、自分で聞けばいいと思う。オレも、よくわかんなかったから」

「何それ!! ぜーったいに、今度会った時に聞いてやるんだから!!!!!」

「だから今度、その夢を見たら素直に呼ばれてる方に行ってみるか、その声を受け入れてみろ。そーすりゃ、大丈夫らしいからな。

 それに、姫さんが女神ユリエルが言っていたように闇そのもの(・・・・・・)だから多分、闇が心地良いと感じるはずらしいんだ」

「へぇー。そーなんだ。分かった。そーしてみる。ねぇ、その話って誰にも言っちゃいけないの?」

「いや。誰か、言いたい奴でもいるのか?」

「うん。コニーデにね、言いたいかなって」

 アオイの言った相手が、グレースにとって予想外の相手だったのかグレースは瞬きを何度も繰り返している。

 そんな姿に小さく笑いながら、

「グレースは、アンジェ達の名前を言うと思ったのかな?」

「まぁな。でも、違ったみたいだな」

「うん。だってアンジェ達のこと、













 信用してないから」





 今度こそ、グレースは固まった。

「あ、でも間違えないで? 嫌いとかじゃないんだよ?ただ、コニみたいには信用してないだけ。

 この世界に来てまだ日にちが経ってないし。アンジェ達のことを、私は知らなさすぎるから。

 それに人間、何が起こるか分からない事の方が多いでしょ?だから、いつかは信用したいと思っても、まだ信用するわけにはいかない。

 私はまだ、死にたくないしね」

「へぇ?姫さんって、人懐っこいと思ったら心の中では線を引きまくりなんだ。でも、その割にはコニーデだっけ?そいつのこと信用してるよね。

 それと、この話をした時点でオレのことも信用してるって事だよね?」

「そうだよ。コニはね、私に専属侍女の誓いを立ててくれたんだ。だから、信用してる。

 グレースは、私を裏切らないでしょ?なんたって、私とグレースはこの世でもっとも気が合う人間なんでしょ?」

 先ほど、言われた台詞をそっくりそのままグレースに返す。そう来るとは思っていなかったグレースは、腹を抱えて笑い出した。


「ハハハッ。その通りだな。オレは、姫さんを絶対に裏切れない。きっと、裏切ろうとしてもその考えとか丸分かりなんだろうからな」

「だよね。てことで、お願いしたいことがあるんだけど良いかな?」

「いいぜ。何でも、言ってみろ」

「確か、グレースって騎士団と魔法師団の両方に所属してたよね?」

「おう。優秀だからな」

「だったら私の、専属の護衛になってくれない?グレースが、護衛になってくれたら頼もしくて言うこと何もないんだけどなぁ~」

「それぐらいなら、良いぜ。でも、殿下達は許してくれんのか?」

 ニヤニヤしたような顔でアオイを見るが、アオイにはなぜグレースがニヤニヤしているのかが分からなかった。


「大丈夫。人に許可を取るということにおいて私に不可能という文字はないわ!!! ということで、心配は無用。私、帰るね。もう二の刻だし」

 アオイは、先日コニーデからもらった首飾り型の時計を見た。花びらが二十四枚の一輪の花があり、一刻過ぎるごとに花びらが一枚ずつ消えていき一の刻半の場合は一枚消えてもう一枚花びらの半分程が消えるという仕組みになっている。二十四の刻が過ぎると、自動的に花は復活するらしい。

 これを聞いた時アオイは、

(なかなか、不思議なものがあるもんだ)

 と感心していた。

「分かった。任せたぞ」

「任されました。迎えに来るから。・・・・・・・・・って帰り方がわかんない」

「・・・・だろうな」

 と笑いながらグレースは、左手を前にかざした。すると、細長いドーム状のような黒い物が床から出てきた。

「この中に、入って歩けば部屋に付くよ。これは、“闇の回廊(やみのかいろう)”って言って闇の属性の人間にしか使えない魔法な。

 また今度、教えてやるから練習な。そうじゃないと、迷子になったりするって事が姫さんの場合ありえそうだし」

「ひどいな。そんなことにはならないよ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・多分」

「やっぱり“多分”じゃぁねぇーか。じゃあ迎えに来るの、楽しみに待ってるぜ」

「そうしてて。じゃあね」

 アオイは闇の回廊の中に入り、そこからまた一歩踏み出せば自分の部屋にいた。


(アンジェ達に言うのは、朝食の時間で良いか)

 なぜか、全員必ず集まる朝食の時間にアオイはグレースの事を話そうと決めた。

 その日は眠りについたアオイは寝た時間が遅かったからか、それともグレースが呼んでいる夢を見たからかあの夢を見ることはなかった。

グレース、憐れw

そんな理由で、幽閉されてたなんて・・・・。←作者が言うなよ!

実はアオイちゃんは、小さい頃からある人物に、「人を1日やそこらで信用しちゃダメ!!」としつけられてるんですw

そのある人もきっとそのうち登場するはず。


先日、ようやく恋愛遊牧民様にも登録することができました。

道のりは、果てしなかったです。

よく自分やれたよな。みたいなw


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