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黒の冥王  作者: 紅梅
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気さくな方です

「ここが、食堂よ」


 騎士団と魔法師団の詰め所から、歩き始め皇宮内に戻ってきて歩きに歩いて辿り着いたのは扉のないとてつもなく大きな部屋だった。

 中に入ると、やはりお昼時だからか多くの人達が食事を取っている。ちらっと、誰が入ってきたのかを見ようと視線を向けた人達は持っていた食べ物を床に、ポロッと落としてしまった。

 皇帝や皇太子の賓客は今のところラシュしかいない。しかもラシュは男であって女ではない。そういう趣味を、ラシュが持っていたら分からないが。

 しかし、顔を見ればラシュでないことがすぐにわかる。だから、まだ正式に発表されていないが、アオイが誰なのかが一発で分かった。

 誰が、予想するだろうか。

 伝説の花嫁として、召還された人物が使用人や団員が使う食堂に来るということを。

 誰も予想することは、できなかっただろう。

 そんな驚きから、アオイを食堂にいる全員が驚きの目で見つめる中、コニーデとアオイは入ってきた。アオイは先ほどの、騎士団と魔法師団で注目されるのに慣れ視線を気にしないでいた。


「ここ?」

「そーよ。皇宮で働く人が、全員ここで食事を取るから部屋が大きいのよ。さ、行くわよ。自分で好きな食べ物を取ってくる形式だから、自分の食べたいものをどんどん取ればいいわ」


(なるほど。バイキング形式なわけね)


 コニーデに、皿を渡され食べ物の前に行ったらアオイの目はキラキラと輝きだした。

 なぜかというと・・・・・・・・・・・・・全て美味しそうだからである。朝から、歩きっぱなしだったためアオイの空腹度は絶頂にあったのだ。


「なにこれー!! おいしそう。好きなだけ、食べて良いの??」

「もちろん。腹を膨らませないと、次の仕事に支障を出してしまうもの」

「そう」

 アオイは、コニーデに話しかけながらも食べ物を取るのをやめない。

「アオイ、今はこのくらいにしましょうか。足りなかったら、また取ってくればいい話だし」

「だね」

 アオイは、皿を三枚持って。コニーデは、皿を二枚持って席に移動した。


「隣、良いですか??」

「はははははは、はいいいいい!!!!! どどど、どうぞ!! あの、自分今すぐどきますから!!」

「なぜ? そのままでいいですよ? もしかして、私がなんかよくわからない伝説の花嫁だからかしら? それだったら気にしないでください。私にしたら、不本意なので。それともあれかしら? 私が隣で、食事をするのがいやなのかしら? それなら、わたし達が別の席に行くから安心してください」

「めめめめめめめ、滅相もない!! よよよよよ、よろしいのでしたらぜひぜひ食事をご一緒させてください!!!!!!! いえ、自分はご一緒したいです!!!」

「もちろんよ。アオイ・ヒノよ。よろしくね?」

 ニッコリ、アオイが笑うと閑散としていた周りに一気に人だかりがあっという間にできた。アオイは、こうして使用人や団員の心を掴んでいったのであった。


「姫様、僕もご一緒させてください!!」

「姫様、わたくしも!!」

「ずるいわ!! わたしもお願いします!!」

 人が多すぎて、喧嘩になってしまった。


「お、落ち着いて? みんなで、食べれば良いでしょう?」

「「「「「「「はい!!!!!」」」」」」」

 結局、机を移動させたりして仲良く食事にありつくことにした。

 食事の合間、それぞれアオイに帝都の城下町の話をしていた。


「へぇー。楽しそうね。行ってみたいわ」

「姫様の行くような場所じゃないですよ!?」

「いいじゃない。私は姫って呼ばれるような人間じゃないし。だから、みんなも私の事を“姫様”って呼ばないように。それに、私がいた世界じゃ、私は庶民だったのよ? 今日からさせられるような、豪華な生活は好きじゃないのよねー。だから、行ってみたいの」

「そうなんですか? 全然、そんな風には見えません。では、なんとお呼びすれば??」

「アオイって呼んでくれたら嬉しいな」

「いいのですか!? もちろん、呼ばせていただきます!! でも、アオイ様。アオイ様が、行きたいと仰っても殿下方がお許しになられないかと・・・・・・」

 使用人達が言いたかったのは、アンジェ達が絶対にアオイの外出を認めないだろうということであったがアオイは、

「なんだ、そんなこと」

 と軽く笑った。


「多少、強引にでもアンジェ達の許可を取ればいいことよ。ねぇ、コニ?」

「そうですね」

 その、“多少、強引”の中身が知りたかったが本能が、「聞くな!!」と警告を出していたので誰も聞くことはなかった。

「城下町に行く時は、誰か案内してね?」

「もちろんです!! 喜んで案内させてもらいますよ」

「よろしく」

 ふんわり笑いながら、食事を再開してくアオイだが、食べていく内に顔色がみるみる変わっていった。やがて完食したアオイは立ち上がり、

「料理を作っている人達は、どこにいるの??」

「あっちに、見える厨房ですけど・・・・?」

 アオイは、走って厨房に飛び込んだ。


「アオイ様、どうかされました?」

 そう問いかけてくるコニーデを綺麗に無視して、

「料理長はどなた?」

「私ですけど・・・・」

 奥の方から、ガタイの良いおじさんが出てきた。

「まぁ、貴方が!! 朝の、食事を作ったのも貴方達?」

「はい。そうですが、なにかありましたでしょうか?」

「私、すごく美味しい!! って伝えたいなって思って。本当に、美味しいからいくらでも食べれちゃうわ!! だから朝、アンジェ達の分まで食べちゃったの」

 アオイの言葉に、料理長達は笑いが飛び交った。


「あぁ、それでリサーナが朝食の追加を頼んできたんですか。ここで働くようになって、二十五年くらい経ちますが初めてでしたよ。朝食の追加をされたのは」

「ご、ごめんなさい。二度手間を取らせてしまって」

「いえ、嬉しかったですよ。私どもの、料理が認められたような気がして」

「本当に美味しかったです!! でも、今ここで食べた料理の方が朝食よりおいしさ倍増でした。朝食は、冷えてて、それでも美味しかったです。

 だけど、やっぱり温かい料理の方が美味しかったです。また、食べに来たいと思ってるんですけど良いですか?」

「もちろんですよ。お待ちしてます」

「ありがとうございます!!」

 料理長の言葉に、何度も頷いて厨房を去った。


 食堂では、どうしたのかとハラハラしながら使用人たちが待っていた。

「あ、アオイ様!! どうなさったんですか??」

「料理が美味しかったって伝えてきただけだよ。これから、昼食はここで食べようかな」

「ぜひ、そうしてください。きっと滅多に、アオイ様に会うことはないと思うので」

「それなら、そうさせてもらおう。良いよね?コニ」

「いいと思いますよ。ダメと言われても、無理矢理にでも許可を取ればいい話ですから」

 サラッと怖いことを言ってのけたコニーデに、一歩後退した人達が多くいた。アオイは、気にせずうなずき

「それもそうね」

 と同意した。


 同意しちゃうんですか!?


 と思ったが、先ほどの発言の時のように脳内で「言うな!!」と警告が出ていたので何も言わなかった。


「じゃあ、また来るわ。皇宮内で会ったら声をかけてね?」

「「「「「「「はい!!!!!」」」」」」」


 その返事に、満足したアオイはコニーデと共に食堂をあとにした。


 こうして、使用人や騎士団、魔法師団の中で、

 アオイ様は、気さくな方で自分たちのような低い身分の者にでも、声をかけてくれるステキな方だ

 と話が広まっていった。

 そしてアオイが、昼食を取りに来る時間の食堂は前よりも人で溢れるようになった。

ということで、アオイちゃんは皇宮で働く人達の心を掴んじゃいました。


しかも、厨房に飛び込んで行きましたw

まぁ、アオイちゃんらしいかも?


誤字脱字など色々ありましたらこっそり←ここ重要!!

教えてください

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