愛してるの言葉
今回は番外編です。
本編も進んでいないのに等しいわけですが書いちゃいました(笑)
棗くん視点です。
楽しんでいただけたらうれしいです
(可愛くて愛しい、オレの葵。いつになったらお前は、オレの気持ちに気づくんだ? もしかしたらお前は、鈍いから一生気づかないかもしれないな)
いつもの休日。
棗は、葵と2人でゆっくり過ごしていた。両親は、忙しいらしく休日も関係無く会社に行った。
(まぁ、オレには父さんと母さんが休日いなくても別に良いけど。葵と二人きりの時間が増えて逆に、嬉しいし)
幸せな時間を棗と葵は過ごしていたが、昼を食べ終えそろそろ昼寝でもしようかと話している時、この幸せな時間を壊す邪魔な人間が現れた。
「なつめー、なんか彼女さん来たよ?」
「は? 彼女?オレに??」
「うん。本人がそう言ってるから。玄関にいるから、待たせちゃダメだよ?」
インターホンが鳴ったからと、リビングから出て行った葵は問題を抱えて戻ってきた。
(オレに“彼女”ねぇ。どこの誰だ。そんな勘違いをしてる馬鹿な女は)
玄関に行くと化粧が濃く、距離があっても臭ってくるようなキツい香水をした派手な女が立っていた。しかし、棗にはまったく見覚えがなかった。
「あ~!! やっと、来たぁ。棗、おそーい!! ずーっと―――――」
「オレに何の用?」
女の言葉を遮るように言った。棗は、イライラしていた。本来なら、今日のような休日に来客等はあまり来ないので、葵の傍にずっといることができる大切な時間なのに邪魔をされて機嫌は最悪に悪い。
「何って、デートしよ! 私たち、恋人なんだから」
「恋人?笑わせんなよ? オレはキミの彼氏になった覚えはないし、ましてやキミがオレの彼女? ありえねぇーから」
「どういうこと!?」
「わからないの? オレは、キミのことを何とも思っていない。他に大事な女がいるから。それに、オレ言ったよね? 一回だけの関係だって。それでも良いと言ったのはキミ」
(まぁ、オレが大事に想っててもあいつは鈍いから全く気づかないのがショックだけどな)
「な、何よそれ!! ベッドの中では、優しい言葉も言ってくれたし大事に扱ってくれたから私は他の人達とは別なんでしょ!?」
「“他の人達とは別”? 何を言ってるのかな? キミも前の女達と同じだ。それに、オレはキミの名前も残念ながら覚えていない。ということで、帰ってくれるかな? 今、オレにとって一番大事な時間を過ごしてるからものすごくキミ、邪魔なんだよね」
「もういいわよ!!」
女は、わめくだけわめいて出て行った。本当に、最初から最後までうるさいだけの女だった。
「あれ? もう話終わったの?? それで、結局あの女の人は棗の彼女?」
ひょっこりとリビングの扉から葵が顔を出した。
「終わったよ。いや、違う。勘違いされてこっちは、いい迷惑だ。一回だけの関係だって最初から言ってあるってのに。あーまじ、あの女ムカツク。だれが、あんなめんどくさそうな女と付き合うかっての」
「だよねぇ。ちょっと、棗の趣味を疑うとこだった。それにみんな、いつも優しい棗に騙されて関係持っちゃうんだよね。きっと」
葵は、軽く笑った。そんな笑みに、棗は癒される。
「そんなのは、騙される方が悪い。まぁ少し、イライラしてたけど葵の顔見てたら癒されてきた」
棗が笑うと、葵はちょっと苦笑していた。
「だから、そういう笑顔は彼女にしなよ。好きな子いるんでしょ?」
何回目よ、このセリフ。とぶつぶつ葵は言っている。
(いつ聞いても、このセリフはオレの胸に突き刺さるな。いい加減に、葵がオレの気持ちに気づいてくれないかな・・・・・)
「良いんだ。オレは、お前を世界で一番愛してるから」
そう言いながら、手招きをすると素直にリビングから出てきて棗の傍まで行く。そんな葵を、可愛いと思いながら抱きしめた。
「ちょっと棗?」
「何??」
「それは、こっちにセリフ。なんで、抱きしめられてんの?私」
「オレが、葵不足だから。さっきの女と話してるので、エネルギーを使い切ったから充電しないとな。オレのエネルギーの源は葵だから。ってことで、葵。ホントに昼寝をしよう?」
「何それ。でも、まぁいいよ。しよっか。私、さっきから眠かったんだ」
棗は、あくびをする葵の手を優しく引っ張りリビングに入りソファーベッドを用意し、その間に葵は毛布を持ってきた。準備ができたところで、ベッドに入り葵を自分の方へと抱き寄せた。葵は、おとなしくされるがままになっていた。
「おやすみ、葵」
「ん。おやすみぃ、棗」
葵は返事した後、すでに寝ていた。
(いつも、あどけない寝顔をしてるな。そんなトコも、可愛いと思ってしまうオレは相当重症だな)
「葵、愛してる。今までも、そしてこれからも葵だけを一生愛し続けるよ。オレの一生を葵にあげる。だから、早くオレの気持ちに気づいてくれよ。そうじゃないと、理性が効かなくなってオレは本能のまま葵を押し倒しちゃいそうだから」
そう言って、葵に額に口付けを落とし少し抱きしめている力を強めて棗も眠りについた。
鈍いって哀しいことですね(笑)
棗くんの気持ちにまったく気づいていない葵ちゃんでした。
次は本編に戻ります。