食べ物は粗末にしない
「リサーナさん、私お腹が空いたんですけど何か食べるもの持ってませんか?」
「なにも持っておりませんが、よろしければ殿下達を放っておいて朝食を食べに行きませんか?」
「良いんですか!? 良いなら行きたいです!!」
「もちろん良いのですよ。それでは、参りましょうか。」
まだ喧嘩が続いているらしいアンジェ達を置いて、アオイとリサーナは朝食が用意されている部屋へと向かった。アオイが、最初に目をさました時に連れて行かれた部屋へと繋がる扉とはまた違う扉を通った。
(いったい、この部屋はどんだけ違う部屋に繋がってるんだろう?今度探検させてもらおう)
そうしようと、心の中で決めた時部屋に着いた。
そこには、色とりどりの料理が並べられていた。料理を、見た途端にお腹の音が盛大に鳴ってしまいアオイは恥ずかしいと顔を赤らめた。リサーナは、そんなアオイの姿を可愛らしいと微笑んでいた。
「うぅーすみません。いっぱいあって、しかも美味しそうで」
「かまいませんよ。どうぞ、お好きなだけ召し上がってください。料理が、アオイ様のお口に合うと良いのですが・・・」
「そのことについては、まったく全然心配いらないと思います。私、元いた世界でも嫌いな食べ物なかったので。しかも人に教えられて初めて知ったんですけど、私って誰もが呆れるくらいの大食らいらしいんですよ。
自分じゃ、食べるのは好きだけど、大食いだなんて思ったこともないんですけどね。だから、リサーナさんが好きなだけ食べて良いって仰ってくれて嬉しいです」
てへっとアオイは、可愛くリサーナに笑いかけてみた。
(ホント、自分じゃ自覚がまったくないけど棗が言うんだから確かなんだよねぇ・・・・・きっと)
「まぁ、そうだったんですか。でしたら、どんどんお召し上がりくださいませ。なんでしたら殿下達の分まで食べてしまっても大丈夫ですよ」
「やった!! どれが、アンジェ達の分なのかわかんないけどいっただきまーす!! なにこれー!! おいしー!! 見た目、赤色のスープなのにカボチャスープの味がする。これ。食パンだ!! 見た目も味も食べ方も食パンだ。こっちの世界でも、食パンってあるんだぁー。なんかこれ、毒々しい感じの見た目なのに滑らかな舌触りでおいしー!!――――――」
何かを食べるごとに感想を言っていくアオイを、リサーナはニコニコ顔で見ていたが内心ではどんどん料理の山が減っていくことに驚いている。
「見た目が、リンゴか梨なのに味がバナナってのが笑えるな。リサーナさん、この果物の名前ってなんですか?」
「それは、スーレと申します」
「スーレですか。ありがとうございます。この世界にも、元いた世界と同じような食べ物やまるっきり同じ食べ物があって驚きです」
アオイは、そう言って笑いながら食事を再開した。アオイの中で、一時間くらい経っただろうか。並べられていた料理が、全てアオイのお腹の中に納められた。後から出てきたデザート類もだ。今は、食後に出てきたなんとなく緑茶のような味のお茶を楽しんでいた。
「はぁーおいしかったです。ごちそうさまでした」
「お口にあったようで良かったです。ところで、アオイ様。先ほど口に出しておられた“いただきます”と“ごちそうさまでした”とはなんなのですか?」
「私がいた国の、食前食後に言う挨拶なんです。“いただきます”は、食事を作ってくれた人達と食材とその食材を作ってくれた人達に対しての感謝を表します。“ごちそうさまでした”は。食材を調達してくださった人達への感謝を表しているんです。この国には、こういった挨拶はないんですか?」
「その言葉には、深い意味があるんですね。この国と言いますか、この世界は言葉ではなく祈りを捧げるのが食前にすることですね。食後には、特に何もしていません」
(祈りを捧げるかぁ。アメリカとかも確かそうだった気がするなぁ。)
アオイちゃん、大食いなのは良いけど後から腹痛にならないように!!
腹痛になったら、みなさんに笑われちゃうよ!?
誤字脱字や「おいおい、そこの言葉はそっちじゃなくてこっちだろ!?」というのがありましたらどんどんお教えください。
自分じゃ気づかないことが多いので・・・・・・。