少女達の邂逅・下
ミサキ実装に歓喜したので初投稿です。
君は器だ。何者にだってなれるだろう。
-邂逅-
突如現れた真っ白な少女に、赤の少女は視線を離せない。
『あかね…?生きてる…!?良かった…。』
「え…きゅ、救援…?間に合った…?」
それは助かった事による安堵と、見覚えのない魔法少女への困惑。
「…え、誰?ねぇ、あっちにこんな人いたっけ?」
『…いえ、知らないわ。そもそも助けを求めたのは組織じゃやくて個人だった筈。』
「…じゃあこれは想定外の乱入者って事?」
警戒するべきか。
魔法少女だって全員が善人じゃないのだ。
でも。
「まぁ、もういいかな…。」
『…ファイヤーウォッチ?』
「てか正直もう限界。どのみち敵だとしても割り切るしかないから。」
『それはっ……そうね…私もどうにか出来る程の魔法は…。』
今ここであの少女がこちらを害しようが、もう抵抗は出来ないだろう。
大丈夫だろうと思うが。
白の少女がチラリとこちらを向いた。
「……。」
その顔はフードに隠されて伺えない
ただただ白い、ローブの少女。
一瞬、されど、永遠にも感じるような時間を経て。
その少女は混種へと視線を戻す。
「……。」
混種は自分の攻撃を防いだ存在を警戒して動かない。
だが、それが敵だと理解し、再び魔法を発動させる。
針が来る。
白の少女は何もしない。
当たらないのだから。
そして、後ろの彼女にも当たらないのだから。
「これは…今何を…?」
『分からないわ。そういう魔法かしら…?』
何が起きたのかも、何をしたのかも分からなかった。
ただ、当たらなかった結果だけが残った。
混種もまた警戒度を上げた。
明らかな異常に気付いたのか。
瓦礫が持ち上がる。
地盤が歪む。
世界が、重くなっていく。
「…っ!まずい…!」
『重力魔法…。このレベルはっ……。』
重力が狂っている。
ある場所は浮かび、ある場所は沈み。
空間が軋み、景色が歪む。
直に、とてつもない超重力の力場が、空間を蹂躙するだろう。
その時。
白の少女が動いた。
それは、腕を前に出しただけ。
何の意味もない様に思えた。
しかし、それだけ充分だ。
混種が咆哮を上げ、地に伏せる。
周囲の地盤が凹んだ。
瓦礫は混種に向かい、衝突し、さらなる悲鳴をもたらす。
あの混種が、押し潰されそうになっていた。
「えっ…どういうこと?」
『あれは…まさか奴の魔法に干渉して、自爆させた……?』
「そんな事できるの?」
『理論上は。でも普通は不可能なものよ。アレは…あんなのは…。』
それは、あの一瞬でどれほどの格上か、決定させる様なモノ。
混種の目からから怯えの感情が浮かび上がる。
本能が、その上位者に対しての畏怖を抱く。
だがそれは、少女の下す結末を変える事はない。
「……。」
誰にも聞こえない様な小さな声で、呟いた。
白の少女からナニカが溢れ出す。
白い、影のような、不定形の、ナニカが、混種を呑み込む。
それはまるで捕食の様で。
喰らって、喰らって。
◾️◾️って◾️◾️って。
そうして全てを取り込んで、辺りには静寂が残った。
少女は、声を、発する事が出来ない。
今起きた事象を、理解しようとする事で限界だ。
圧倒的、いやそんな表現も生ぬるいかもしれない。
白の少女が振り返る。
「………。」
「…あっ、えっと…。」
白の少女は赤の少女をジッと見つめる。
赤の少女はひとまず感謝を述べようとして、口どもった。
無言で見つめられるのは困るらしい。
「あ、あの…助けてくれてありがとう?」
白の少女はやがて赤の少女に背を向けた。
少女は咄嗟に理解した。
このまま去ってしまう。
「ま、待って!」
何か…何か…言うべき事が…。
「名前!教えてっ!」
その言葉と共に、白の少女はいなくなる。
『転移…?でも、私が知らない系統…。いよいよ分からなくなってきたわ…。』
「よく分かんない人だった…。」
いやホントに。
何アレとしか言いようが無い。
特に混種を倒した最後のアレ。
魔法少女ってあんなのいるの…?
こっわ。
そうやって若干の現実逃避をしていたら。
「ファイヤーウォッチ!メモリー!無事ですか!?」
茶色の髪に白衣を羽織った少女が焦った様子で現れた。
紫の少女が呼んだ本来の救援だ。
二人もそれを見て安心したのか軽口を言う。
「あ、パイセンだ。」
『遅い。死ぬところだったわよ。茜が。』
「えっ!?す、すみませんっ。これでも5分できたつもりだったんですが…。」
「いや充分早いわ。」
君今日京都にいなかった?
ここ一応東京なんだけど。
まぁそんなことはさておき。
「それで…その混種は…?魔力を感じませんが…。」
少女は辺りを見回し、訪ねる。
「それなんだけども…」
路地裏、とある喫茶店のドアの前で。
僕は冷や汗を流していた。
先程助けた魔法少女の事だ。
「冷や汗でた…。」
混種を倒したあとに似てるよな…って見てたらマジで同一人物でビビった。
てか声まったくおんなじだったし。
なんなら通信してた子の声も同じだった。
何で通信がわかるのって?そりゃ傍受くらは出来るし。
つまりは、そう。
「あの子達魔法少女だったのかよ…。」
間違いなくさっきウチの喫茶店に来てた二人だった。
気付かなかった…。
アホか。アホだ。
全くもって愚かでした。
分かってたら調子乗って“空白”を使うまでも無かった。
ば、バレたらどうしよう。
いやまぁ別に問題はないけど、さ。
いやあるっちゃあるけど、だからまずいんだけども。
ドアを開ける。
「いらっしゃ……おかえり、お嬢。早かったじゃねぇか。」
「いや、マスター。…多分気付いていたよね?」
アンタなら気付いているでしょ。
「あの二人の事か?」
「先に言ってよ…。めっちゃ焦ったんだから…!」
「いや、まさかあんなに分かりやすく魔力が漂ってるんだから分かるだろって。」
「情報多くてダルいから僕は普段その辺の感知切ってるて前に言ったでしょ…!」
「知ってる。でもお嬢なら気付きそうだと思ったし。」
「ええ…?君の中で僕はどんな化物になってるんだよ。」
「んん?そりゃ…「わかったもう言わなくていい。」あっそう…。」
知り合いに化物扱いされてるんだけども。
唯の魔法少女件探索者だってのに。
どうもベルリンゴンちゃんです。
……違う?
さーて面倒な導入が終わったぞー!
こっからはsanチェック入りまーす(理不尽)