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010,再会マジか

スレッドタイトル:

【謎】訓練場で黙々と拳振ってる拳聖、マジで何者?【観戦ギルドも注目】


1:名無しの旅人

ノースの訓練場で一時間ずっと殴ってる拳聖いて草

しかもコンボ途中で止めて硬直調整してるのがガチ感ある


2:名無しの幻術師

見てきたけど怖かった。なんも喋らず淡々と殴ってた。

エフェクトも出してないのにAI観客がめっちゃ盛り上がってるの逆に不気味


5:名無しの重装戦士

観戦専用ギルドの配信で紹介されてたぞ

「入力だけで魅せる男」とかいう意味不明なキャッチついてた


8:名無しのレンジャー

拳聖使ってる時点でネタ職かと思ったけど

正拳→崩し→投げの流れ、反応できねえレベルで速くて泣いたわ……


12:名無しの格ゲー出身

あれ多分、昔格ゲーやってたやつだわ。

咆哮の発生フレーム見てから差し替えしてたし、やってること完全にトレモ職人。


13:名無しのセコンド魔導師

実況AIが勝手に技に名前つけ始めたの笑った

音速崩拳ソニック・ブレイカー」はダサかっこいいけど認めたくない自分がいる


16:名無しのデバッガー

拳聖って“格闘技モーションを手入力で出す”職だよな?

つまりあの人、ゲームじゃなくて“自分”を鍛えてるのか……


18:名無しの火力厨

モブ殴ってるだけでここまで話題になるのおかしいよこのゲーム


21:名無しの観戦厨

まさか訓練場が一番のエンタメコンテンツになるとは思わなかった件

しかもウルフキング討伐したのもこの人ってマジ?


25:名無しの考察班

拳聖って操作難易度SSランクで誰も触ってなかったのに

“やり方次第でここまでできる”って証明されたのがデカい

ガチでメタ揺れるぞこの流れ


27:名無しの通りすがり

今日から訓練場行くたびに観客AIが「無声の拳に敬礼を……」とか言ってて笑う

どんな演出フラグ立てたんだあの人


30:名無しの初心者

いや真似できる気しない。てかしない。

てかしたくないけど見てるのは楽しい


34:名無しの熟練者

これだけ練習に時間かけてるの見ると、今後のイベントとかで

「地味に全部読み勝って1ラウンド奪う拳聖」みたいな展開ありそうで楽しみ


36:名無しのギルマス

スカウトしたいけど無理だろうなー

ああいう人ってだいたいソロで全部やっちゃうし


41:名無しのAI信者

観客AIがマジで興奮状態だったのやばい

「私の理解を超えた精度!」って実況してて笑ったけど、ちょっと感動もした


ノースの訓練場――。

天井の高いドーム構造に、魔術師用の浮遊ターゲットや、剣士向けの反応型木人、そして──奥まった一角には、今まさに音を刻み続ける“拳の空間”があった。


「このエリア、ずいぶん盛り上がってるわね……?」


時雨瑠璃、ゲーム内名Sh1Nシンは、《幻術導師》としての軽やかな衣装を翻しながら、掲示板で話題になっていた訓練場へと足を踏み入れていた。


観戦モードに入った途端、耳を打つはAI観客の高揚した歓声。


《観客AI:「おおっと!入力フレーム精度99.3%! これは芸術だァッ!!」》


《観客AI:「重ねて、詰めて、散らして、また詰めるッ! 打撃の詩人か、君はッ!」》


「……なにこれ、AI実況のくせに、テンション高っ」


その先にいたのは、無言で黙々と“拳”を振るう一人のプレイヤーだった。

タゲにしているのは、ダメージが一切通らない設定の《超硬訓練人型》──ただの頑丈な的。


だが、動作が違う。

一つ一つの動きが、意味を持っていた。


ステップで間合いをずらし、空中コンボを寸止めで止め、モーション硬直を利用して崩しへ。

足払いの判定確認、起き攻めのタイミング調整、そこから繋げる“完全なる手入力コンボ”。


「……ねえ、あんた。まさか……」


視線を凝らすと、フードの奥から覗く顔に見覚えがあった。

いや、忘れようがない。


「R・K!?」


声を上げた瞬間、拳を止めたその男――白羽 雷牙は、振り向きもせず、ただ言った。


「お前か……幻術の子守り屋。久しぶり」


その声。確かに覚えていた。

一緒に戦った日を、肩を並べたあの瞬間を、彼女は思い出していた。


「なにやってんのよ、こんなとこで。あの狼の件、あんたでしょ? ウルフキングを初討伐した“拳だけの”プレイヤーって……」


雷牙は、静かに手首を鳴らし、訓練用の的からターゲットを外した。


「……ちょっと試してただけだよ。まだこの世界の“ラグ”と“気”の噛み合いに慣れてなくてな」


「ふーん……相変わらず、独りで突っ走るのね」


「……あれ以降はずっとソロだけど……」


「なによ、また組んでほしいって? いいけど。あんた、私がいないと距離感ガバるから」


くすりと笑って言う瑠璃に、雷牙も少しだけ口角を上げた。

あのときのコンビが、ここ《EXODUS FANTASM》で、再び動き出そうとしていた――。

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