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宇宙の原点地球

――これはまだ宇宙が出来る前の話


その頃、外界では現実世界とは別の世界を作る実験が秘密裏に行われていた。

いわゆるVRとかゲームとかじゃなくて現実に世界そのものを作るという倫理観の抜けた実験だった。


もちろん、始めた当初はそんな実験は上手く行くはずもなくそのうち無かった話になるだろうと関係者のほとんどは思っていた。


その中でも最前線を張っていた研究者らは寝る間を惜しんで研究に没頭していた。

そして遂に今、その努力が実ろうとしている瞬間だった―――


「ここのプログラムを書き終えれば別世界そのものが誕生する、、」

「あと少しで俺達は世界の創造神になるのか?」

その場にいた研究者の誰もが期待に胸を踊らせ唾を飲んだ。


そして政府の使者として研究室に送られた魔女のキャストレアもまたその場で歴史的瞬間を見逃すまいと緊張していた。


プログラムしている一人が「押すぞ」と緊張した様子で周りを見る。

そして取り巻きが頷き。

エンターキーが押された瞬間――


パキパキ、パリンと嫌な音が響いた。

まさに新世界が作られるであろう、液晶の巨大な水槽に亀裂が入った。


プログラム実行した研究者は絶望の表情でこういった。

実験失敗だ、とでもなく逃げろ。と

「逃げろ、じゃないとみんな死ぬ」


そして建物の外へ出た瞬間、研究室が爆発した。

幸い逃げ遅れた人もいなかったが、実験の詳細は国家機密であり、外部や国民に知られてはまずいので一部の政府関係者しか知らないので、当然近隣騒ぎになった。


キャストレアは国家中央機関へそのことを報告し、後日捜査を依頼した。


そんなこんなで1週間程あとに調査結果に目を通すとそこには信じがたい事実が記載されていた。


それは実験自体は成功している、しかし作ろうとしていたプログラムの世界があまりにも広大すぎて水槽に収まらなかったと言う。

そして今もまだ膨張を続けいずれこの国、いやこの世界を飲み込んでしまうと。


そして、最後の記述にはこう書かれている。

「膨張を止めるには別世界の内部から止めるしかない」と。


その文を読んだあとすぐさま中央機関にいる閣下に詰め寄った。

どうしてこうなる可能性があると考えられなかった?このあとどうする気だ?と


帰ってきた答えは「魔女の誰かが世界に入って内部破壊するしかない」だけだった。


この世界において魔女とは戦闘、知恵いずれにおいても国民でトップの実力があり、政府直々に任命された19人である。

また、魔女と言ってもキャストレアのように女性でけでなく男性もいる、いわゆる集団を表す語句と解釈したほうが近いかもしれない。


「なぜ魔女だけに限定するのですか?兵士でも投入すればいいのでは?」と質問する。


「はっきり言って兵士では精神力が弱い。君たち魔女は一般の人間よりも何十倍も賢く強くそして、寿命が長い」

その理由としては閣下の「秘技」のおかげだ。

魔女に任命されると常人ではいくら努力しても手に入れられない力を手に入れられることができる。


そして秘技には自身の精神力によってどのくらいの力が発揮できるかと言う特性がある。

つまり長生きすればするほど精神力が鍛えられそれとともに強くなっていく。


実際、キャストレアは既に500年もの月日を過ごしており魔女の中では最年長だ。


「そこで最年長であるお前に是非やってほしい」

「なぜ私が行かなければならないのです?特に実験なんていう得体のしれないもので私を失う可能性だってあるのですよ?」

「安全性は補償する。お前はどんな任務もほとんど傷をつけずにすべてこなしてきた」


ここまで言われれば断るのも申し訳ない。

しかめた顔をしながら「詳細は?」と尋ねる。


「流石キャストレアだ。詳細だが、今回は特に複雑な任務だ。まず、時間という概念が歪む。別世界、いや宇宙と呼ぶことにしよう。宇宙はこの世界の2000倍の速さで時間が進む」

「に、2000倍ですか!?」

「そして外見からは小さく見えるが実際に世界に入るとこの世界の5mmが1000万キロになるらしい」

「つまり広すぎるってことですね」

「そうだ、また補足としては宇宙にはそれぞれ小宇宙のようなものが生まれ分裂している。お前には座標の原点にある星に言って貰いたい。これが外見だ」

そう言いながら閣下が写真を渡してきた。

ビー玉のような澄んだ青色、所々に緑の模様がある。

「お前がこの星の神様になってくれないか。そして名前をつけてやってくれ」


――そこからは魔女の制服を着て世界、いや宇宙に入る準備をしていたところで閣下が送り出しに来た。「どうかご無事でキャストレア」

「顔を上げてください。あなたのほうが立場が上ですよ。あと、星の名前、決めました。地球。地面に玉って書いて地球です。今日から私は地球の神様です」そう伝えて今に至る――


今は宇宙に降り座標の原点を目指しているところだ。

飛行魔法を使い飛んでいるのだが重力がないおかげで先程いた世界、アスタナより力の消費を少なくして飛ぶことができる。

体感でだが音速はゆうに超えていると思う。


宇宙は空気抵抗とか摩擦、そして風もないので大したトラブルもなく地球に辿り着いた。


そして地球の表面に近づくとググッ、と体が引き寄せられる。


体が重い。思わず「ウッ」と情けない声が出る。

まるで体が押しつぶされている感じだ。

そして何より暑い。体が燃えそうだ。


魔法で氷を作るが一瞬で溶ける。

ずっと氷を供給しなければこのまま燃え尽きて

最後には、死ぬ。


500年間生きてきてあまり味わったことがない恐怖感を孤独で、そして知り合いが誰もいない世界で味わっている。


負けてたまるか、と思いながら氷を供給し続けていると視界が真っ白になりそして青い天井が見えた。

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