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短編集  作者: 夕暮れ
7/14

雨の日

 雨の日ってみんな嫌だとか憂鬱だとか言ってるけど私は違う。むしろ私は雨の日が好き。


 部屋の外から聞こえる雨の音が好き。自分の身体にまとわりつくような空気が好き。雨の日の匂いも好き。どんよりして薄暗い空も好き。雨の日の全部が私は好き。


 でも別に晴れの日が嫌いなわけでもない。


 暖かい日差しも、気持ち良い風も、カラッとした空気も青い空も好き。


 どっちの日も好きなだけ。


 そして今日は強くもなければ弱くもない雨が降ってる。


 これは好都合。


 腰まである長い黒髪を結ぶことなく背中に流して、防水のイヤホンヲ耳につけて、防水用の袋に入れたプレイヤーを黒のブリーツスカートのポケットの中に入れる。少しだけ青みがかかったブラウスの上にクリーム色のガーディガンを羽織って透けるのを防止する。


 何をするかって?もちろん雨の中、傘を差さないで歩くため。


 変わった人だと思ってるでしょ?私もそう思う。


 でも好きだからいいじゃない。


 私は雨に濡れて顔に張り付く感触も、雨に濡れて体が冷える感覚も、身体に張り付く服の感触も好き。


 だから私は雨の中を歩く。


 でも学校があったり、午前、午後の人目がつく時に歩くと変な目で見られたりするのが嫌。だから夜中に家を抜け出して歩く。


 23時〜24時の1時間だけ外に出るようにして、防犯ブザーとかを持って襲われないように対策はする。


 今まで1回も襲われたことはないけど何回かは変な人に声をかけられたりはしたから、用心はしないとね。


 止めればいいんじゃないって言われそうだけど、そんなわけにはいかない。


 だって数少ない私の趣味なんだからいいじゃない。


 やりたいことをやってるからいいの。もし襲われても自業自得だからまぁ覚悟はできてる。


 でも1番はそうならないことがいいんだけどね。


 雨の降る中静かに私は歩く。


 小雨ほど弱くなくて、豪雨ほど強く降ってない雨の中ブラブラ歩いている。


 水溜りに映る私はすごく嬉しそう。


 でも水溜まりに雨が落ちるたびに波紋が生まれて私の顔は酷く歪んでいて、狂気を持っているように見える。


 ふと聴いている音楽を止めて雨が降る音に耳をすませる。


 人によっては雑音に聞こえるかもしれない音でも私にとっては心地よいもの。


 心に広がるモヤモヤした気持ち少しずつ少しずつ晴らしてくれる音。


 暗闇に灯る数少ない街灯の下私は濡れながら歩く。


 明日への期待を何も持っていない。ただただ惰性的に生きていただけの私。


 なんとなく中学校を卒業して高校に入学した。


 彼氏もいないし、友達はいるけど親友かと言われればそうじゃない。


 両親は私よりも勉強ができて、優しくて、カッコよくて、背が高い弟を優先しているから私になんて興味を持っていない。


 所詮私はその程度の女。


 だから私は雨の中歩く。


 自分の存在を自分自身で確認するために。

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