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短編集  作者: 夕暮れ
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灰色の世界

 あぁなんてこの世界は退屈なんだろうか?見るもの全てが灰色に見えてしまう。


 勉強なんて簡単。どうしてみんなあんなに必死に勉強してるんだろう?あんなの教科書読めばすぐに出来るのに.........。


 運動だってそう。なんであんなに汗かいてまで必死に練習するんだろう?1回やればすぐに上手くなれるのになんで?


 あぁそうか。私は異常なのか.........。なんでも出来る私がおかしいのか。


 だから親も先生も同級生も周りの人も私のことが怖かったのか。


 その結果私は私はいろいろな人に避けられ続け、無視され続けた。


 でもそれがどうしたの?ただ私と貴方達のいる世界が違うだけなのに........。


 それが分かってしまった私は全てのものに興味をなくした。いや、抱けなくなってしまった。


 勉強、友達、娯楽、ファッションこの全てが私にとってどうでもいいこと。ただ気まぐれで少し嗜む程度しかしない。


 いや違う。1つだけ私にとって大事で大切なのがあった。それはまーくんだ。


 まーくんだけが私を人間として、1人の女の子として扱ってくれた。


 まーくんと過ごした日々だけが私にとっての「人生」だ。


 まーくんが見せてくれた世界だけが綺麗で美しくて、鮮やかな世界だった。


 この思い出があったからこそ私は21年生きてこられた。もし私がまーくんと会えなかったら、この世界は退屈すぎて、とっくの昔に私は死んでいたかもしれない。


 そしてこの瞬間私の退屈な人生に幕が下りようとしていた。


 私が誤って信号が青の車道に出てしまい、車に跳ねられたからだ。


 やっと死ねる。この退屈な世界にさよならができる。


 あっ!でも1つだけ心残りがあるとすれば、あと1回だけでいいからまーくんに会いたかった。遠目からだけでもいいから会いたかった。


 あぁぁ...........死ぬってこんな感じなんだ。少しの後悔を残して死んでいくってこういうことなんだね。


 私を跳ねた車の運転手が慌てて降りてくる。


 え!?..........もしかして................まーくん?顔も身体も声も全部が変わってるけど私には分かる!!この人はまーくんだ!!


 やだ!!まだ死にたくない!!やっとまーくんに会えたんだよ!?やだやだ絶対に死ぬなんてやだ!!


 ねぇお願い!!声をなくしてもいいから!!腕をなくしても、脚をなくしてもいいからどうか私を生かさせて!!


 初めて生きたいって思ったんだからお願い!!


 ねぇまーくん?私、今度はまーくんと一緒に生きていきたいんだ!だから一緒に生きてくれる?


 お願いまーくん。私に対して責任を感じてるなら一緒にお願いして?


 どうか私が死にませんように..........


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