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短編集  作者: 夕暮れ
2/14

星下の儚い思い出

 彼との出会いは偶然で突然だった。私が過労で倒れて入院した時に出会った。


 名前は灰原雫(はいばらしずく)。生まれも育ちも可哀想な彼。放っておくと自分から地獄に飛び込んでいきそうな雰囲気を持っている。


 だから私がいないとダメだ。ちゃんと私がそばにいて、手を取ってこちら側に引っ張らなくちゃいけない。


 ところで私って誰?って思っている人いるでしょ。しょうがない。答えてあげましょう!私の名前は秋月穂香(あきづきほのか)。高校2年生の立派な女子高生だよ!!


 え?キャラがうざい?大丈夫。私もそう思ってた。いつもどおりに戻すね。


 ん?何でうざいキャラしてるかって?そりゃもうシズクを元気付けるためだよ。私が明るくないとシズクもおとなしくなるからね。


 そうそう言い忘れてたよ。シズクは私と同い年だよ。でもね、シズクはよく分からない病気にかかってもうそろそろ死んじゃうんだって。


 もちろん私はこれを知ってるうえでシズクと付き合ってるんだ。


 いきなり惚気るな?はーい。分かりました。


 あれ?何話してったけ?............そうそうあれだ。シズクが何で不幸かって話だったよね。


 シズクは幼い頃から入院してるらしいから、学校に行ったことがないんだって。だから友達もいない。修学旅行にも行けてない。同年代の子と話したことすら少ないんだって。


 それだけじゃない。シズクは父親にも母親にも見捨てられたんだ。不治の病持ちって知ったら父親は逃げたんだって。母親は最初は一緒にいてくれたらしいけど、いつのまにか母親もいなくなってたんだって。


 親から捨てられた子供ってのはすごく悲しい気持ちになると思う。もし私が同じことされたら、それこそ泣きじゃくるかもしれない。


 それをシズクは10歳ぐらいでされたらしい。私はそれを聞いて心の奥底から怒りが湧いた。自分の子供でしょ!!子供は親しか頼れないんだからしっかりしなさい!!ってね。


 だからせめて私だけはシズクのそばにいる。どんなことがあっても私は絶対シズクの側から離れないんだから。


 シズクに人の温もりっていうのを知っておいて欲しいから。


 でもねいくら私が側にいようとしても、最近のシズクは私を遠ざけるんだ。


 まるで、俺のことは忘れてくれって言わんばかりに。


 何言ってんの?私言ったよね。私は貴方の隣にずっといるって。私という女を甘く見ないでよね。ずっと付きまとってやるから。先に折れるのはそっちだよ。


 そういえば最近のシズクは寝ていることが多いな。前よりも動けなくなってるし、起き上がってもない。


 これってもしかしてのやつ?もうそろそろって意味?


 だから私を遠ざけるの?


 ふざけないでよ!!私は貴方の側にいるの!!それが貴方の最期の時だって変わらない!!私に恋人としての仕事させてよ!!


 まぁ明日になればまた会えるしいいか。


 明日は何してやろうか?


 コスプレして驚かせてやろうか?それとも唇を奪ってやろうかしら?


 そんな大胆にいくのかって?そりゃもちろん。私はシズクの恋人だし、シズクには残った時間だけでも幸せになって欲しいから。


 ふわぁぁ。あ!ごめんなさい。あくび出ちゃった。


 じゃあもう寝るね?


 明日は学校に行って、その後シズクのところに行くつもり。


 楽しみに待っててねシズク。


 明日も幸せな日になりますように。


 そう願いながら私は目を瞑る。


 そんな明日はもう来ないとは知らずに。

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