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短編集  作者: 夕暮れ
10/14

双子兄妹の受難

 生まれつき俺達双子には欠陥があった。俺は右目が見えず右腕が使えない。反対に妹は左目が見えず左腕使えない。まぁ簡単にいえば障害者兄妹っていうやつですよ。


 事実として俺達は障害を持っているが別に俺達2人とも不自由に思ったことはない。


 ちなみに妹とは言ったけど双子だからあってないような妹だから、正直俺が兄だろうが弟だろうがどうでも良いがな。だから俺は妹を妹扱いしてないし逆もまた然り、って感じ。


 俺達がこれまで成長してくるまでにいろんなことがあったがどうでも良いだろう。


 まぁ一番の問題は俺は右、妹は左に弱いということだ。だから幼い俺達は考えた。俺は妹の左目左腕となって、妹は俺の右目右腕になれば良いとな。


 それから俺達はずっと一緒にいる。外に出る時はお互い不自由な手同士を絡ませ合うように繋いで、全く力が入らないからリボンできつく結んで解けないようにする。家の中でも基本同じ。例外はトイレと病気の時くらいだ。


 ん?風呂はどうしてるって?.................もちろん一緒に入ってるよチキショーーー!!!


 うちは元々親の仕事の関係上家に帰ってくる時間が遅い&昔は別々で入ってたんだが妹が風呂の中で転んで浴槽にダイブして溺れかけた事件があって以降は怖いからって理由で一緒に入ってるよ........。


 妹に恥ずかしくないのかって何度も聞いたが恥ずかしくないとの回答が毎回返ってくる。恥ずかしくないし見られても何も思わないし、何よりも死ぬよりは全部マシだそう。


 まぁそれ以外にも、もう大丈夫だろ?って聞いたら「え?なんで?」とも言われた。


 そう聞いた俺は納得した..........いや待て!それでも羞恥心は持っておけよ!と思ったのはしかたないよな。


 ちなみに母親からはさすがに「もう年頃なんだから止めたら?」って言われたが妹が断固拒否して、母親の目の前で俺を風呂に連行したから俺はもう知らない。母親も諦めた。


「なぁ千琳(せんり)?」


「なに?千莉(せんり)


「明日から俺達は高校生だな」


「うん。そうだね」


「俺達は同じ名前だからややこしくないか?」


「..........?そうかな?別にいいんじゃない?中学生の時も何もなかったじゃない?」


「..........そうか。それとな俺達は今いくつだ?」


「15だけどどうしたの?」


「中学の時も聞いたがどうする」


「どうするって?」


「登下校、授業中でもこのリボンつけるのか?」


「...........?.........!当たり前だよ!!私が千莉と離れるなんてありえない!!!」


「.............高校入ったら彼氏作らないのか?」


「もちろん!!むしろ邪魔!!私は千莉さえいたらいいもん!!!」


「..............もし俺に彼女が出来たら・」


「え?彼女作るつもりなの?じゃあ今から千莉を縛って部屋に監禁しないと。ごめんね千莉、私本当はこんなことしたくないんだけど、千莉が彼女作るつもりならしかたないよね」


「そう言ってどこからか出した手錠と縄を持って迫ってくる。


 ................っておいおい!こいつ目から光が消えてるんだが!?


「ちょ、ちょっと待て!別に作らねぇよ!仮定の話だ!仮定の!!」


 すると手錠をしたところで止まってくれた........。危なかったぁ。


「本当?嘘じゃない?」


「嘘じゃない!!」


「良かった~。本当のことだったらどうしようかと思ったよ」


 おーい、なら早くこの手錠を外してくれよ。え?今日はこのまま?いえ外してくれるとありがた........いえ!なんでもありません!!だから早く.........ん?なぜ千琳さんはご自身の左手と私の右手を手錠でつないでいるのですか?


 え?これは当たり前?........そうですか。もう気にしません。


「..............じゃあいつも通りでいくのか?」


「うん♪」


 それで良いのか千琳よ。お前は社会的に俺を殺そうとしてるんだぞ?


「千莉はずっっっと私と一緒にいるんだよ!!私達の名字と名前が一緒のようにね♪」


 ...............もう諦めて社会的に死んだ方が良いのかな?もし俺に彼女ができたら物理的に殺されかねないからな。



 拝啓

 お父様、お母様。あなたの娘さんはどうやら双子の兄を狙っているようです。

 私めはどうすれば良いでしょうか?

 敬具

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