000 プロローグ
「本日未明、悪魔の召喚が━━━」
うるさいテレビの音。毎日のように流れている報道。正直もううんざりしていた。
「2042年7月20日、本日の天気をお送りします。今日の天気は・・・」
そうか。もうこんなに日が経っていたのか。
うるさいと思っていたのはテレビの音ではなく蝉の音であった。外を走り回る子供たちの声。コソコソ話している主婦たちの声。そんな雑音が俺の周りで鳴り響いていた。
「━━ス。」
「━━エルメス。」
「修道士エルメス!」
そう呼ばれて、ハッとなる。
「エルメス。最近ぼっとしているぞ。悪魔にでも乗っ取られたか?」
冗談半分で言われるその言葉に正直もう嫌気がさしていた。
「君は清く正しい修道士。もっと誠意を込めてこの仕事に・・・」
本当にうるさい。雑音よりもうるさい。この話をしているのは俺のマスターである。俺はこのマスターに反抗など何度もした。しかしその度にマスターの怒りがヒートアップしていくため、反抗するのはもうやめた。
「エルメス、最近また悪魔の召喚が行われたみたいだ。お前が祓いにいけ。」
「え、ええ?しかしマスター。俺は、じゃなくて私は、まだ修道士になって悪魔を祓ったことすらありません!」
「問題ない。所詮また弱いやつだろう。私が行くのも面倒でな。」
そういい笑うマスターを、本気で殺したくなった。
俺は今大手企業の地下通路を歩いている。あのクソマスターに命令されたからだ。あんなやつの命令になんか従いたくないが、仕事なので仕方なく引き受けている。
「שָׂטָן. הו שטן. נא לזמן כאן עכשיו.」
呪文の声が聞こえてくる。俺の聞いたことの無い言語であるため吐き気がしてくる。
「大司教・・・様よ!どうか私に・・・慈悲を!」
扉の前に経つと、そのような声が中から聞こえてくる。
グチャッ
肉が弾け飛ぶような音。人々が喚く声。叫ぶ声。狂気に満ちた声。骨が砕け散るような音まで中から響く。
「やっと召喚されたか・・・」
俺は、勢いよくその扉を開いた。その扉の中は紅く血で染まっていた。しかし、その紅い空間の中にぽつんと黒い物体が座っていた。その物体はかなり大きく、日本を、いや地球を滅ぼしてしまうかのような醜い顔をしていた。それが、俺と悪魔の出会い。この日から全てが変わってしまったような気がした。
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