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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは勇者と戦うってね

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96話

「なんだ、お前は!」

「なんだかんだと聞かれたら答えるのがヘンタイの嗜み」

「何を意味のわからないことを」

「ふ、お前らにはわからないだろうな」


オーガが俺の存在について、驚きを隠せないでいたが、そんなオーガとは違い勇者はこちらを憎しみを込めた目で見ていた。

なるほどな。

さっき、スターが言っていたことがなんとなく今に関係しているのだろう。


「それで、勇者にやられそうになった我をなんで助けたんだ?」

「助けた?」

「そうだ!先ほどの攻撃を防ぐということは、我を助けたんだろう?」

「いや、なんとなく面倒くさかったら止めただけだ」

「ぶは!何をいっている、あの攻撃を止めたやつがそんな意味がわからないことをいうわけないだろう?」


かなり楽しそうにオーガは笑っている。

いや、笑われる理由がわからないんだけど…

いいか、なんだか丸く収まりそうだからな。

勇者をなんとかすればな。

俺は絡みたくないが、勇者に話しかける。


「それで、そこの電撃野郎は何か言わないのか?」

「電撃ですか?面白いことを言いますね」

「電撃だ。というか、口調もおかしくないか?」

「ふむ、ヘンタイにそんなことを言われたくないですね」

「うん?ヘンタイなのは仕方ないだろ、これは俺のせいじゃないからな」

「まあ、いいでしょう。それで、僕の攻撃を防いだのはなぜですか?」

「え?さっき言ったじゃん」

「面倒だからと、僕の攻撃を防いだというのですか?」

「え、うん…そうだけど」

「そんなこと、魔王の配下という敵を僕は倒そうとしていたんですよ!」

「え?俺はお前が嫌いだからな、関係ないな」

「なんだと…」

「そんなに驚かれてもな」


だって、あいつのやってきたことを考えると同情できる余地が全くないからな。

それはアイラたちも同じだったようで、口々に文句を言う。


「ちょっと、私にいろいろ迫ってきたのに、そんなことを言えるの?」

「そうですよ、ボクも女性っていうだけで声をかけてきて、不愉快でしたよ。声をかけるのなら、もう少し言い方を考えていただけないと困ります」

「えーっと、見た目がもう、関わりたくないわね」


バーバルの地味にただの悪口とを合わせての三人の言葉だ。

それを勇者はやれやれという風に両手を広げて見せる。


「まあ、この中の人がそういうことをしたのなら、僕は謝りますけど…」

「その程度で許すわけないでしょ」

「まあ、そういうものでしょうね…」

「あと、そこのヘンタイも!」

「え?」

「急に毎回助けにくるのはいいけど、なんでそんな恰好なのよ!」

「いや、これは…」

「というか、そのパンツにブラジャー!言わなかったけど、私のだからね」

「拝借したらまずかったのか?」

「まずかったのかじゃないわよ。普通に窃盗だからね。一応毎回のように助けてくれてるから、見逃そうと思ってたけど、なんだかさっきから力が湧いてくるし!」


そんなことを言われる。

完全にとばっちりじゃないかよ。

そんなことを思っていると、確かにアイラの力が高まっているのを感じる。

ケッペキスキルが発動しているのだろう。

というか、アイラのパンツとブラジャーについては今更すぎない。

もう、被ってつけて三回目だよ。

場違いなことを考えつつも、そこでというべきか、ようやくこの状況を確認するかのようにベルさんがこちらに声をかける。


「えっと、結局そちらのヘンタイさんは?」

「俺ですか?俺は美少女お助け紳士マンです!」

「何を恰好つけているのよ、ただのヘンタイでしょ!」


切れのいいツッコミを受けて何を言うべきかを迷っていると、オーガが豪快に笑う。


「ガハハハッ、なんだかおもしろいことになっておるな!」

「それで、おっさんはどうするんだ?」

「おっさんか、オーガをおっさん扱いするのか?」

「前のサキュバスみたいにこっちの言い分もわからないようなやつなら戦うことも仕方ないと思うけど、そうじゃないんだろ?」

「ほう、変な恰好をしているくせに、しっかりと我らのことがわかるんだな」

「なんとなくだけどな」

「よい、それでも我と戦闘に対話にとしてくれたのだからな」

「で?結局、おっさんたちはどうするんだ?」

「そうだな、おい、引き上げるぞ!」

「「へい」」

「おお、素直なんだな」

「我がしっかりと統率しているからな」


その言葉とともに、オーガたちは引き上げるように草むらに入ろうとするが、その背中を勇者が狙おうとする。

それを俺は思いっきり土を蹴ることで、妨害する。


「ちょっと、どうして僕の邪魔をするんですかね?」

「いや、だって勇者として恥ずかしくないのか?背中を見せて逃げようとしている敵を斬るって…」

「ぶは!バカですか?勇者をなんだと思っているんですか?物語に出てくる、あんな夢物語を信じているとでも思っているんですか?」

「いや、別に思ってはねえよ」

「だったら、どうして敵に対して攻撃をしないんですか?」

「それは簡単だ。俺の敵はお前だからだ!」

「どういうことなのか理解はできませんが、邪魔をするというのなら仕方ありませんね」


その言葉とともに、勇者は俺に剣を構えるが、そのときに勇者の後ろに勇者と一緒にいた女性たちが集まる。

なるほど、あれが勇者のパーティーメンバーか…

スタイルも顔も最高にいいじゃねえかよ。


「勇者様、手伝います!」


そして、そんなことを言われる。

おお、これぞ勇者パーティーという感じだ。

羨ましい。

そんなことを思っていると、勇者は大きなため息をつく。


「はあああ…」

「勇者様?」

「この勇者に何を吹き込まれたのかはわかりませんが、僕にはあなたたちはいりませんよ」

「どういうことですか…」

「わからないとは、本当に察しが悪いですね。僕にはいらないと言ってるんです」

「ですが…」

「ふむ、聞き分けが悪いですね。雷よ…」


まずい。

俺は勇者が発動しようとしたときには前に走っていた。


「え、ちょっと、ヘンタイは近づかないでよ!」


そう、アイラに向かってだ。

何をしているのかって?

簡単だ。


「だから、近づかないで!」


その言葉とともに、アイラから思いっきり金属の棒が飛んでくる。

は、速くね!

ケッペキスキルで強化された投擲は俺の予想を超えていた。

それでも集中だ。

棒は槍投げのごとく勢いでとんでくる。


「いくぞ!」

「相手を倒す稲妻となせ、サンダー」


その言葉で勇者が雷を落とす。

そこに向かって金属の棒を受け流すように飛ばす。


「なに!」

「!」


驚く勇者だが、俺も驚きだった。


「おい、仲間に向かって魔法を撃つなよ」

「ふう、だからさっきから言っていますよね。勇者とは物語で出てくるようなものじゃないんですよ」

「だったら俺がそんな勇者に強制してやるよ」

「ふう、勇者ではないのですが、相手をしましょうか」


俺は雷を纏った勇者との一騎打ちを開始した。


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