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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは勇者と戦うってね

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89話


「賑わっているわね」

「そうだね…」


朝市は思った以上に賑わっているらしく、人が多くいた。

それでもというべきか、いつものように食事は出されたものをそのまま食べるという感じが残っているようだ。

あるものは、ラーメンに似たものがあるな。

あとはおにぎりみたいなやつもあるから、それを買ってくる。


「安定の二つ買うのね」

「まあな、こういう料理を組み合わせて食べるのがいいんだしな」

「本当に、そういう食べ方が私たちが考えもしなかったことができるのは、すごいわね」

「まあな」


俺はラーメン風をすすって食べると、最後の締めにご飯を入れる。

それを箸で崩して雑炊のようにする。


「へえ、そんな食べ方があるのね」

「ああ、なんとなくだけどいろいろなものを組み合わせて食べるってやり方があるらしいからな」

「そうなんだ、私も同じようにできる?」

「それをか…」

「うん、少し辛いけど、美味しいわよ」

「そうか…」


少し辛いと言われるが、見た目がマグマのように赤いので、そんなことでは済まないだろう。

というか、そんなものを平気で食べれるアイラって…

すごすぎるな。

でも、辛いものであればご飯を入れるだけでは足らないな。

俺はご飯とプラスでチーズのような乳製品を買ってくる。


「これって、齧って食べるものだよね?」

「まあ、それもあるがこうして…」


俺はチーズを小さめに手でさくとご飯と一緒に混ぜ合わせる。

辛いものとご飯、プラスチーズでリゾット風だな。

俺は食べられそうにないが、チーズがいい感じに溶けたのを見て、アイラは嬉しそうにそれをほおばる。


「美味しい。こういう食べ方があるのね」

「まあな」

「はまりそう」


そんなことを話しながらも、俺たちは食事を楽しみ、朝市でも違うものを見るかとなったので、違う場所にきた。

ここは鍛冶エリアで、主に金属を使ったものを販売している場所だ。

朝市ということもあるのか、あるのはたくさんの金属アクセサリーだ。

それを見ても、別に何もとも思うが、アイラは楽しそうだ。

やはり、アイラはいいところのお嬢様か何かが修道女魔法を使っているだけなのだろうか?

そんな疑問を思っていたときだった。


「モンスターの群れが現れた!」

「助けて!」


そんな声とともに朝市に人がなだれ込んできた。

それも、貧困層といえばいいのだろうか…

よくある、少し汚れた服を着た人達だ。

ただ、そこには疑問が残る。

というのもだ、貧困層といえどもこの都市の周りは城壁で守られているからだ。

この都市は一番上の王城があり、その王城後ろには大きな山のようなものが広がっており、そこから正面に向けて五本のエリアごとに道が分かれている。

そして、五本あるエリアの端は商業エリアと鍛冶エリアになっており、真ん中に住居エリアがあり残りはそれに挟まれるようにしてあるのが、この街の作りだ。

だからこそ、この街は周りを山から山に向かって大きな壁が覆っている。

大きさは四メートルを超えるくらいだろう。

普通であれば入ることはできない。

一応間にも入れる場所はあるが、そこについては常に門が閉じられているという説明を受けている。

だからこそ、常に入れるようになっているのは正面しかなく、そこから検問を受けて入ることができるのだが、そこには多くの兵士と呼ばれる人たちがいたのだ。

だからこそ、そう簡単にモンスターを街中にいれさせるなんてことはないはずだ。

それなのにモンスターが出たということなので驚きだ。

といっても、このまま何もしないままというわけにもいかない。

俺たちは冒険者だからだ。


「アイラ!」

「わかってる!」


俺たちはさっとお店からでると、入口に向かって走る。

前の方では逃げる人たちでごった返していた。


「くそ、前にいけねえ」

「これだけの人だと仕方ないわね」

「どうする?」

「こういうときに、私が使った魔法が有効なの忘れた?」

「確かにそうだな。でも、普通にこのまま張っても、人の行く手を防がないか?」

「そうね…確かに前には行けるけど、邪魔になるわね」

「だったら、こういうやり方はどうだ?」


俺は思いついていたことをアイラに耳打ちした。

それを聞いたアイラは目を丸くする。


「そんなことできるの?」

「やってみる価値はあるだろ?」

「それもそうね!」

「少し集中するわね」

「ああ」


俺たちは巻き込まれないためと、これからやることに対して路地裏に来ていた。

何をやるのかというのは、簡単であり難しい。


「いいわよ」

「おっけえ」


俺はすぐにアイラを右手で腰に抱く。

ふわっと女性の香りと、集中はしているがお互いに照れくさくなる甘酸っぱさを感じて、少しのヘンタイスキルが発動した俺はグッと力を籠める。

すぐにアイラが魔法を唱えた。


「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


その言葉によって、俺が左手を伸ばしたところの下からバリアができていく。

普通であれば、手を貫通するが…

そこには考えがあった。

確かにバリアの魔法は人を傷つけるものではないので、人を貫通することはできない。

それでもできたことはあった。

これは一番最初に出会ったときにあったことだ。

バリアで敵が押しつぶされるところを見ていたのだ。

だから手などに関しては確かに貫通するだろう。

でも、押しつぶすことや押し出すことはできるのではないのかということだ。

問題点は、相手が全裸の場合はできないかもしれないことだろう。

俺もこれをやるために手にはモンスターと戦うことを考えながら、ナックルをつけている。

ナックルという武器は、手の甲で攻撃するものではあるが装着するため、手のひら側に金属部分がくるのだ。

その金属部分にバリアは当たるようにして伸びている形だ。

いける!

俺はそのままの勢いで屋根の上まで登る。


「おっと…」

「行けたわね」

「ああ」


俺たちは屋根の上に辿り着いた。

後は前に行くだけだ。

俺はアイラを屋根上に降ろすと二人で走りだす。

上から見るだけでも混乱が増えているのがよくわかる。

煙も上がっていることから、かなり大規模な戦いが行われているのだろう。

早めに行かないといけない。

俺たちは前に急いだ。


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