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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは勇者と戦うってね

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83話

「な、何も反応しないわね」

「なんとなく知ってたけどな」

「そ、そんなわけありません」

「うわ、ビックリした」

「す、すみません、ですが…」


水晶をもってきて、調べてくれた男がかなり驚いたような口調で言ってくる。

でも、何も反応しないということはないということなのだろう。

俺も、魔力なんてものを体に感じたことは全くないので、ないだろうとは思っていた。

それでも、男は何かブツブツと、そんなことはありえないと小さく呟いている。


「それじゃ、用事は終わりってことだな」

「そうね、行きましょう」


俺たちは、ブツブツ呟く男を置いてギルドを出ると、最初にいた屋敷に戻ると…

個々に過ごすというわけではなくて、勉強を行うことになった。

どうして社会人にもなって、ここまで真剣に勉強をしないといけないといけないんだ。

そんなことを頭に考えながらも、まずはバーバルの魔法講座を受けていた。


「魔法とは、この世界にあるエネルギーを使って自分の魔力で作りだすことを言います」

「というと?」

「簡単に言うとですね。魔法は完全に思い込みを具現化する能力と考えてください。そしていつも口にする魔法を使うための祝詞により、世界に干渉して魔法を発動するという形ですね」

「なるほど、ということは世界のエネルギーを借りれなければ魔法は使えないのか?」

「そうですね。私たちが使う普通魔法は、火、水、風、土という空気であったり、周りにあるものを使うことによって魔法を生み出すものが一般的になります」

「それじゃ、アイラの修道女魔法は違うのか?」

「私のやつ?」

「ああ」

「そうね、普通魔法と違う点は一つね。無から有を作るってことかな」

「無から有?」

「そうそう。普通魔法はあるものを使うことによって、魔法を作るものだけど、私が使う修道女魔法は体の中にある魔力を使うことで、力を具現化するってことになるかな」

「うん、よくわからんな」

「まあ、簡単にいえば、普通は私みたいにポンポンと魔法を連続では使えないってことは言っとくかな」

「そういうものなのか?」

「当たり前でしょ、私は魔力が人よりかなり多いから、できてることだけど、普通はそうじゃないからね」

「なるほど」

「次は、ボクですよね」

「ああ、頼む」

「ボクが使うのは、肉体魔法というには、まだ完全なものではありませんがそういうものですね」

「肉体魔法っていうのは?」

「そうですね。魔力を媒体を通して技に消化することですね」

「なるほど、わからんな」

「そうですね。簡単にいえば、魔法を使うという感じではなくて魔力をそのまま体内から武器に宿らせることができる技ですね」

「あー、なるほどそういう感じか…」

「わかってもらいました?」

「ああ、なんとなくな」


俺は、最初にいた正義マンこと騎士長がそんな感じだったことを思い出した。

確かに剣術に魔力を乗せることによって斬撃とか飛ばしてたもんなあ。

普通の魔法はサキュバスたちが使っていたからわかりやすかったし、修道女魔法はまあ…

ここにプロがいるからな。

でも、ここで問題になってくるのは俺自身だな。


「それじゃあ、魔力がない俺はどんなことができると思う?」

「そうですね…」

「おい、シバル。目をそらすな」


シバルに聞いたというのに、目をそらされた。

何も出てこないということだろう。

バーバルも考えるような仕草をしている。

アイラはというと、完全に興味はなさそうだ。

まあ、他人のことだもんな。

と思っていたが、アイラは何かを思い出したように声をだす。


「でも、何かの書物に書いてあった気がするわよ」

「何がだ?」

「魔力がない人について」

「そうなのか?」

「ええ」


本当なのかと心配になるな。

いや、でも実際はどうなんだろうか?

神に聞いてみるか。


「(聞いてるか?)」

【ちょっと、待って、今忙し、ちょっとそこで前にきて!ああ…】

「(おい、どうかしたのか?)」

【負けちゃった】

「(絶対ゲームしてるだろ)」

【ゲームじゃないわよ。シミュレーションをしてたのよ】

「(カチカチ音が聞こえてるんだよ)」

【ええ…】

「(ええ、じゃないだろ)」

【うるさいわね、なんなの?あたしの親にでもなったつもりなの?】

「(神の親になるはずがないだろ)」

【冗談よ。それで、あたしの時間を邪魔する理由は何?】

「(聞いてなかったのかよ…)」

【あたしにだって忙しいことはあるわよ】


それはゲームのことかよ。

と言いそうになるのをなんとか我慢する。

だって、そんなことを言ってしまえばまた最初から会話をやり直さないといけないからだ。

言いたいことを言えない。

まさしく社畜時代の俺だな。

そんなことをしみじみと思いながらも、俺は先ほどのことを聞いてみることにした。


「(魔力がない人についての、書物があるとか聞いたんだが…)」

【魔力がない人に向けての書物?】

「(ああ、さっきそんなことを話していたぞ)」

【そうなんだ…あたしは知らないわよ】

「(そうか…)」


どうやら、神であるスターもその存在は知らないらしい。

それはそうか。

そんな人がいて、書物を書いているなんてことがあっても不思議ではないだろう。

まあ、珍しい存在ではあるが、全てを把握することが神でもできない以上は、それを確認することも難しいのだろう。

よし、その書物を探すのを俺の次の目標にするか。


「ちなみに、その書物はどこにあるんだ?」

「気になる?確か…私が見たから、セイクリッドにあると思うけど」

「そうか…」

「どうしたの?」

「いや、気になったからな」

「まあ、本当に必要になったときには、盗りに行ったらいいわよ」

「そこは見せてもらいにじゃないんだな」

「だって、それを読めた人は結局いないからね」

「そうなのか?」

「そうよ」


そこで、さらなる疑問だ。

読めないということは、あれだろうか…

異世界あるあるの古代文字とかそのあたりになるのだろうか?

まあ、書物を見ることができれば、そのときにでもわかるだろう。


「それで、ただしはこの後どうするの?」

「そうだな、少し勉強するかな」

「そっか。それなら、私たちが交互に教えてあげる」

「まじかよ」


そうして、俺はようやくというべきか、この世界の言葉を覚えることになった。

そうこうしているうちに、時間は過ぎていき…

こんこんと部屋がノックされる。


「食事の用意ができました」

「メイさん、何をやっているんですか?」

「わたしはメイドが好きなので、それを…」

「なるほどね」


入ってきたのは、本当のメイドではなく、この国の第一王女であり、さらにはレメの姉にあたるメイさんだ。

趣味らしいのだが、最初に会ったときからメイド姿だ。

ここまでくれば、スキルがメイドと言われても何も驚かないな。

そんなことを思いながらも、久しぶりにゆっくりとした食事なんかを楽しむことができた。

前世でというべきか、これまでの人生でテーブルマナーを習わなかったことにそれなりに後悔はしたが…

そんなことがありながらも、俺たちのゆっくりとした夜が過ぎていく。


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