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82話

「シバル…どうかしたの?」

「な、何もありませんよ。ねえ、ただし?」

「ああ、別になんにもないぞ…」

「ほんとに?かなり怪しいんだけど」


アイラに詰め寄られるが、俺たちは何も言えないでいた。

だって仕方ないだろう。

宝箱に入っていたものがあんなものだとは思わなかったからな。

というか、本当に俺に魔力がなくてよかったのだと、少し思ってしまったくらいだ。

いや、あれは使い方が間違っているとも思うが…

だから、シバルもこちらを赤くなった顔でチラチラと見るんじゃない。

ここで、俺たちがゲットしたアイテムのことを思い出した。

宝箱、その中に入っていたものは、紐のようなものだった。

それも赤色。

何が入っていたのかを見届けた他の連中は、さっさとどこかへ行ってしまった。

これがいわゆる、宝箱に入ったものを使えるのはその問題を解いた所有者だけということが関係しているのだろう。

シバルは早速という感じで赤い紐をもってみる。

特に何かが起こるわけではない。


「どうだ?」

「わかりません。どうやって使うものだと思いますか?」

「俺に聞くのか?」

「なんとなくわかるのではと思いまして…」

「うーん…」


かといっても、何もわからない。

ヘンタイ眼でそれを見れば何かがわかるかもしれないが…

あれも結局はそれがヘンタイ的な目的で使用できるものでしか反応しないからな。

ちゃんと俺が…

いや、スキルがヘンタイ的なものとして認識しないことにはヘンタイ眼が使い方を教えてくれるものではない。

説明書なんかがあれば別なんだろうけど。

異世界でそんな便利なものというか、そんなものがついているのだとしたら、宝箱の中に置いていったやつの神経をどこか疑ってしまうくらいだ。

ということで、もう一度宝箱の中を覗き込むと、そこにはリモコンのようなものが…

なんだこれ?


「シバル、何かあったんだが」

「えっと、何ですかこれは?」

「いや、わからん。これを使うためのリモコンってことでいいんじゃないのか?」

「そうですか。ボタンは真ん中に大きいものが一つと、それを囲むようにして八個のボタンがありますね」

「そうだな、真ん中にあるのが、大きいから電源をいれるボタンだということを考えると、後の八個を押すのも怖いな」

「そうですね。でも、このまま何もしないとただの紐ですからね」

「そうなんだよな」

「はい、ボクが解いて、ボクの魔力によって反応したものですからここはやはり使うのは、ボクがいいですよね」

「まあ、俺は魔力がないらしいからな。それがいいだろうな」

「それでは押してみますね」


シバルはそう言うと,左手で紐をもつと右手でリモコンのボタンを押す。

すると紐がビュンと伸びる。

おおー!

すごいな。

なんてことを思って、その光景を見ているとそれは伸びきったと思うとシバルに向かっていく。

ん?


「なんだ?」

「ん、うんん…」


驚いた俺とは違い、シバルに紐は向かっていくと、着ている甲冑の中に入っていった。

すぐになまめかしい声がシバルからもれたのだが…

これは…


「大丈夫か、シバル…」

「は、はい。す、少し擦れますが体にフィットしてますね」

「そうか…」


いや、そうかじゃないだろ。

どう考えても、さっきまでと違って甲冑から見える胸が強調されていたりしているな。

なるほど、なるほど。

あの紐がやってることって、体を縛っているだけじゃねえか。

くそ、見たことがあるがやったことはあるはずない。

いや、見たことがあるっていっても、あるのは悲しいかな薄い本でだ。

まさしく亀甲縛りというものじゃないのか?

というか、大丈夫なのか?

見た限りでは、確かに体のラインというか、出るところは出なくていいところは全くでなくなったように見えるが…

いや、ダメだ。

このままでは俺のヘンタイスキル…

もとい、ヘンタイ力が高まってしまう。


「シバル」

「なんですか?」

「着けたのはいいが、外れるのか?」

「そうですね。少しボタンを押してみます」


そう言うと、シバルは再度真ん中のボタンを押す。

すると、シュルッという音がして甲冑の隙間から紐がでてきた。

なるほどな、ちゃんと機能しているということか!

ちなみにシバルを見ると、微妙そうな顔をしていた。


「どうかしたのか?」

「いえ、そのなんでもないですよ」

「それならいいが…」


その後は、結局今のところは使うのは少しまずいということを俺がひたすら念を押すことによって、不服な様子ではあったが、なんとかボタンは押さないでもらっている。

く…

わかっているとも、あの紐は完全にシバルのドMスキルが発動するアイテムだろう。

だから、シバルは身に着けることに躊躇はないということか…

くう…

俺だってな。

俺のスキルがヘンタイじゃなかったら、その姿をずっと見ていたい。

だけどな、ヘンタイスキルが求めるんだ。

もっとヘンタイを高めろってな。

そんなことになってしまえば、衝動的にパンツを被りたくなるという、もう完全に危ない人が完成してしまう。

さすがにそれは、俺としてもダメだ。

というか、そもそもアイテムとして宝箱の中に入っているものとしては、かなり使い物にならないものじゃないのか?

誰がどんな意味で、ここにこの宝箱を置いたのかが気になるが…

もう、考えると先ほどのことを考えてしまうだろう。

ここは気を取り直して…


「シバル。目的は達成できたんだから、アイラたちと合流するか」

「そうですね」


そうして最初に戻って、合流したのだけれど…

まあ、なんとなく思い出してしまうよね。

だからこそ、二人で顔を赤くしてしまい、そこをアイラに怪訝な顔で見られたというオチだ。

だからといって、俺たちもさっきのことをそのまま話すことはできないので、お互いに隠すということで合意していた。

それに、ここからはやることがちゃんとあるからな。

俺は、この街でようやくというべきか、やりたいことが一つ決まっていた。

それが、魔力診断というものだ。

ここに来る馬車の中で、魔力についての説明を簡単に受けていたが、どうやら全員人には魔力が普通ではあるらしく、そこにはさらには魔力診断によってどの魔法に適正があるのかがわかるらしい。

そんな中で魔力がないということを捕えられていたときに知ったので、嘘か誠か、確かめるためにと調べるタイミングを作ってもらったということだ。

そもそも魔力を調べるのは、かなり小さなときにやることらしい。


「みんなはどれくらいのときにしたんだ?」

「私たちは五歳くらいのときかな」

「はい、ボクもそうですね」

「わたくしもそうですよ」

「へえ、そうなんだな」


そこで、少し疑問に思うのが前までいたオンスフルと現在のリベルタス以外は、それぞれ魔法使いが多かったり、修道女が多かったりするわけだが…

そうなったときに、違う魔法適正があった場合はどうなっていたのだろうか?

俺はふむと疑問に思っていたときだった。



「ただしさん」

「あ、はい」


名前を呼ばれる。

そんな現在は、ギルドの中でとある一室に通されている。

魔力がどれくらいあるのか、そして魔力がどんな魔法に適しているのかを調べる水晶を特別にギルドで調べてもらうようにできたということだ。

普通であれば、神殿にあるらしいが…

適正を調べる人は、子供しか普通いなくて、俺くらいの年齢で行くようなことがあれば…

かなり注目を集めることになるし、質問攻めをくらうことは目に見えていたからだ。

だから、レメや、王様たちと仲良くなった結果、こういうことができるようになったというべきだろう。


「それでは、こちらにどうぞ」

「は、はい」


緊張の一瞬である。

俺は水晶に手を置いた。


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