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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは勇者と戦うってね

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75/382

75話

「まじかよ」

「ええ、マジみたいね」

「最初からボクは少し怪しいと思っていましたよ」

「わたくしは全然わかりませんでした」

「シバル?」

「嘘です、さすがのボクも王女ほど高いくらいの人だとは…」

「ごめんなさいね。だますようなことしていて」

「いや、いいんだけどな。それにしても、いいのかこんなところにいて」

「迷惑をかけたからね。これくらいはするわよ」


そう言われている現在。

俺たちはリベルタスの国にある、かなり大きな屋敷にいた。

これも王女としての特権なのだろう。

というか、身分を明かさない理由がこういうことだったとは思わなかったけど…

やっぱりどことなく身なりがいい人とアイラが言っていたような気がするから、なんとなくわかっていたのだろう。

でも、そうなるとそれを見抜けたアイラは…

まあ、今は考えても仕方ないか。

とりあえずは、この後のことを考えないとな。

俺たちは現在、あの依頼を達成して、リベルタスの国に入り、すぐにヒメが…

いや、本名はレメ・リベルタスがこの国の王女であることを知った。

戸惑う俺たちをよそに、すぐに馬車に乗せられると、ある場所に連れてこられた。

といっても、終わったのは夜中で、リベルタスの国についたのは朝方でそこから一日をかけてここまできたので、実は結構時間がたっているが…

そんなことがあり、今いるのが大きな屋敷ということになっている。

かなり大きなお屋敷ということで、恐縮している俺とは違って、みんなはそれなりに落ち着いている。

こ、これが異世界にもともといる人間と、転生してきた人間との違いなのかと、思ってしまった。

だってな、そもそも社畜でいるときでさえ、社長なんかにもほとんど気軽に会うなんてこともできなかったしな。

だから、この後に起こるイベントでさえ、どこか自分のことではないのではないのかと思ってしまう出来事になりそうだ。

というのも、それは王様に会うというものだった。


「緊張しかしないんだが…」

「そうね、緊張するわね」

「なんでそんなに軽い感じなんだよ」

「だって、今更じたばたしても仕方ないもの…それに、私たちは何も悪いことをしてないしね」

「そうですよ、ただし」

「はい、わたくしだって、緊張はしていますから」

「あはは…ただしもあまり緊張しないでください。レメを助けてくれた人たちにお礼をするだけですからね」

「そうだけどな、そうなんだけどさあ…」


緊張するなというほうが難しいと思うんだけど。

その考えが違うと思うのは俺だけなのだろうか?

そんなうじうじとしている俺の背中を、アイラがバシッと叩く。


「イタッ」

「ほら、いつもの少しふてぶてしいのはどうしたのよ…」

「だってな…」


やっぱり社畜時代に身に着けた、目上の人に対しての対人スキルみたいなものだ。

あの領主の館で見た、手をゴマすりしているやつじゃないけど、それくらいには俺もそれくらいにはご機嫌とりを常に行っていたのは言うまでもない。

そんな俺だからこそ、緊張しているというのに…

そして、緊張が解けないまま、その時間はやってきた。

こんこんと部屋の扉がノックされる。

すっと音を立てることなく開けられた扉の前に立っているのは、メイド服に身を包んだ、年上の女性。

俺たちよりもしっかりとした年上の余裕というものが見れるのは、さすがといえるだろう。


「用意ができました、王の間へどうぞ」

「は、はひ」

「もう…」


俺が緊張でうまく返事ができていないのを見て、アイラが顔を手で抑えている。

そんなことがありながらも、俺たちはメイドさんに案内されながら王の間に向かっていた。

それにしても、あれだな。

生きていた俺と同じくらいの年齢になるだろうか?

一番前を歩いてくれているため、長いスカートから伸びる足とスカートからでもわかるしっかりと上がったお尻だけでも、少しヘンタイスキルが発動していまったのはいうまでもない。

そう思っていると、スターから頭に声が響く。


【ヘンタイねえ】

「(仕方ないだろ、こうみえても童貞をかなりこじらせているんだからな)」

【そこは自慢するところではないでしょ?】

「(だってな、だってな。かなりのお預けをくらっているのがわかるだろ?)」

【わかるわよ。あれだけ美少女に囲まれたのなら仕方ないわよね】

「(そうだぞ、こっちに来てから、周りをずっと美少女という見た目の女性たちに囲まれているんだからな。さすがの俺もキツイよ)」

【でも、童貞を卒業したからって、前も言ってたけど、まともな卒業にはならないわよ】

「(わかってるよ。というか、俺が童貞じゃなかったらどうなってたんだ?)」

【わからないわよ。というかあたしにできることは召喚することだけって言ったでしょ】

「(確かにそうだな。まあ、そういうのもときがくればわかるのか…)」

【うん?何か言ったかしら?】

「(別に何もねえよ。というか、ヘンタイって声をかけにきただけなのかよ)」

【それならいいけど、そろそろ勇者があなたと戦うことになりそうっていうのを伝えるために話しにきただけなのに、本来の目的を忘れてたわね】

「(まじかよ。面倒くさいことに今後なりそうだな)」

【そうね。そのためにも、まずは王様としっかりと話してきなさい】

「(へいへい)」


いつものように自称神にヘンタイと罵られながらも俺たちはメイドさんについていき、とうとう扉の前にやってきた。

すっと再度一礼を俺たちにすると、扉を開ける。


「それでは、レメ様ご一考様、王の間へどうぞ」


そうして、厳格な王様がいるであろう王の間へと俺たちは入った。

すぐに小太りの男が飛んできたことが第一印象だったが…


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