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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは追われる運命ってね!

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73/382

73話

湖の上を走り、勢いよく魔法石を投げた後、ただしが持っていた魔法石から魔法が発動したのは分かった。

けど…


「これは聞いてないんだけど!」

「アイラ様」

「わかってる!我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


ジャンプしたからそれなりに高さがでているただしを、私のホーリーバリアに乗せる。

反省をいかして、少し傾斜をつける。

ゆっくりと、こっちに向かって滑ってくるただしを見ながらも、私はこの状況を作った本人に怒る。


「ちょっと、バーバル!」

「ご、ごめんなさい。少し魔力の加減を間違えてしまいました」

「まあ、私がいたからよかったけどね」

「はい、ありがとうございます」


これで、なんとかなったと思っていたときだった。


「くくく、面白いものを見られましたねえ」

「ああ、なかなか楽しかったな」

「ええ」


そういえば、あいつらがいたんだった。

私は今更ながらに、ピエロと呼ばれる男と、少し聞いただけの刀という武器を持っている男がいることを思い出した。

ま、どういう枠組みでここにいるのかはわからないけど…

そう思っていると、後ろに見覚えのある黒い穴ができる。


「あれって」

「あのときのものですね」

「え?何?」


私たちは見たことがある、それに目を見開く。

バーバルはそのときに一緒にいなかったからわからなかったかもしれないけど、あれは一番最初にいた、ドーレを回収したスキルで間違いないだろう。

ということは…


「あいつらの仲間ってことで間違いないようね」

「そうですね」

「くくく、あのときはドーレがお世話になりましたね」

「おお、そうか、こやつらがドーレを倒したという…」

「そうです。まあ、あのときはすごい恰好をした人間もいたという話しでしたが…」

「ああ、そいつにも会ってみたかったが、仕方ないのお。先に行くぞ」

「はい、こちらは最後に一人話さないといけませんからねえ」


刀を持った男は穴に入っていき、ピエロの男はヒメの方に向き直る。


「何かを言いたそうですねえ」

「わかってるでしょ?」

「わかりませんね、もうあなたの知っているわたくしめではありませんから」

「何でよ、兄さん」

「わかりませんか?」

「わからないよ」

「だったら、わたくしめたちを追いかければいいでしょう」

「…」

「そちらの面白いスキルを持った方たちも、今後も出会えると思っていますよ、何故かね。それじゃあ、タネも仕掛けもございます。わたくしめの最初の登場でした」


そう言って一礼したピエロは黒い穴に入った。

すぐに崩れ落ちるようにその場に座り込むヒメを見て、ようやくピエロに固執していた理由がわかった私たちは、その場を後にする。

盾を湖に落としてしまったシバルが、ただしをおんぶして、私たちはようやくというべきかリベルタスとの国境についていた。


「それで、いい加減教えてくれないの?」

「そうですね」


あれからもヒメは落ち込んだまま。

でも、リベルタスに入ったことだし、依頼も完了したとは言い難いかもしれないけど、終わることになってしまった。

だから、強引でも依頼達成だよね。

リベルタスに入ると、すぐに前から馬車がやってきて、扉が開く。

少し初老の男性が降りてきたと思うと一礼した。


「え?」


私たちが疑問に思っていると、ヒメは私たちの前にスカートを持ち上げながら礼をする。

それはまさしく、位が高い人が行うそれで…


「リベルタスにようこそ、ヒメ、いえ…レメはレメ・リベルタスと言います。ようこそレメたちの国、リベルタスへ」

「「「…えええーーーー」」」

「うん?なんだ?」


私たちが驚いた声によって、ただしが起きた声が聞こえながらも私たちはヒメが…

いや、レメが私たちが来たリベルタスの国の王女っていうこと?

私たちが混乱しながらも、気づけば馬車に乗って、国の中心へと向かって行ったのだった。


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