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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは追われる運命ってね!

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71話

「何かいたのか?」

「わかりませんが、わたくしたちの岩が何かに当たったのはわかりましたね」

「いや、本当にいろいろ驚いたな」

「はい…ってこれは、何ですか?」

「これは、アイラのバリアかな?」


さっき何かを言った後に、何かの絶叫が聞こえた気がするが、俺にはそれくらいで、さっきから必死で、何が起きているのなんかは、必死で全く見えていなかった。

ヘンタイスキルを本領発揮していないから、見えていないのだろうけれど、そうなると、やっぱりヘンタイスキルが俺に必要なものだということを再確認してしまった。

そもそも、今何を踏み台にしているのかもわからない。

ヘンタイ眼であれば、すぐに見えるから対処できるのだろうけれど、今は使えないので、どうしたものかと思っている。

というか、この高さ…

落ちたら死ぬな。

しかもなんとなくわかった、乗っているこれはアイラが作ったバリアだな。

そして、近くにはアイラがいる。

だったら大丈夫だ。


「アイラ!」

「はい?」

「おろしてくれ!」

「わかりました!」


その言葉の後に、俺たちの体は宙に浮く。

すぐに落下が始まる。


「って、違う!死ぬ、死ぬから!」

「きゃああああああ」

「え?何?」


あ、やべ、これ死んだな。

そう思っていたけれど、そこは悪運が強い俺だ。

必死に上を向こうとした瞬間に、隣にいるバーバルのスカートがめくりあがって…

ガーターベルトだと!

俺はカッと目を見開いた。

ヘンタイスキルをなんとか発動した俺は、バーバルをなんとか抱きかかえて、着地した。


「あ、ありがとうございます」

「いや…」


別にと言うところで、慌てて助けたせいで、胸が俺の体に密着する形になっていた。

な、なんて柔らかいだ。

大きさを考えるに、普通であればあれだけしっかりと胸が主張を繰り出しているのだから、張があって、それなりに硬いものだと思っていたのに…

体に合わせて形を変えるくらい、柔らかいだと!

それに、お互いの荒い息とともに、胸が上下して、これは!

さいこ…


「ふべら…」

「ただし?」

「いつまで抱き着いてるのよ!」


すぐに頭をはたかれたということに気が付いた。

アイラだろう。

というか、ケッペキスキルが発動しているのか、元々のせいなのかはわからないが…

いてえ…

俺もヘンタイスキルが発動していなかったら、首くらいは簡単にもげてしまいそうだ。

でも、俺はバーバルから離れると反論させてもらう。


「でもだな。そもそも降ろしてくれって頼んだときに、どうしてバリアを解除するんだよ」

「当たり前でしょ、降ろしてしか言われてなかったんだから」

「いや、普通に考えてくれ、さっき俺たちがおりてきたバリアでできた道を…」

「え?」


ふ…

ここまでヒントを出せばわかるだろう。

というか、あの川に張っていた、バリアができるのであれば、俺が降ろしてといったときに、解除ではなく滑り台のようにバリアを張ればいいということがわかるだろう。

よし、こうやってアイラに気づかせる。

これから大切なことだな。

そう思っていたが、アイラから返ってきた言葉は俺が思っていたものとは違った。


「えっと、わかんないけど」

「はあ?」

「はあ?じゃないわよ。私に喧嘩をうるの?」

「いや、そういう意味じゃないけどな。わかるかと思ってな」

「そんなの、ちゃんと言ってくれないとわからないわよ」

「そ、そうなのか…あ、あれだ。川に張っていたバリアと同じように、あのバリアから滑れるようにバリアを張ってくれればそれで滑りおりることができたってことだったんだが…」

「だったら、そう言いなさいよ」

「いや、そのすまない」

「まあ、許してあげるけど」

「ありがとう」


って、なんで俺が謝る展開になっているんだよ。

そんなことを思いながらも、別に反論はしない。

だって、反論したところで、逆にやられるだけだからな。

下手に刺激をしないというのが、一番必要なことだ。

よし、とりあえず合流もできたことだし、何が起こってるのか聞いてみるか…


「それで、これは今どういう状況なんだ?」

「え?知らないけど」

「なるほどな」


理解した。

確かにアイラは知らないのだろう。

ということは…


「シバル、何が起こってるんだ?」

「すみません、ただし。ボクにも、完全には何が起こっているのかはわかりません」

「いや、でもさっき何かがいたみたいだし」

「それは、水龍よ」

「うん?ということは復活してたのか?」

「そうよ」

「それで、そいつはどうなったんだ?」

「それですが。先ほどの大量の石で湖に沈んでいきました」

「なるほどな…」


結局よくわからないな。

まあ、こういうときには、仲間ではないが、教えてもらうとしよう。

知っていそうなやつにな。


「えっと、ピエロに侍のおっさん、何が起こってるんだ?」

「うん?ワシらに聞くのか?」

「ああ、ちょっと状況が理解できないしな」

「答えないとは思わないのですかねえ?」

「思わないな」

「どうしてそう思うのですか?」

「答えないのなら、用がないんだから、この場にずっといないだろ?」


俺は何気なくそう口にする。

だってだ、あきからに戦いに介入する感じではないのに、ずっとそこにいる。

そういうやつは大概は何かこういうことに絡んでいるはずだからだ。

そんな俺の勘はどうやら当たっていたようだ。


「くくく、なるほどなるほど。ピエロということを見抜いたりしていたところから、特殊な人間だとは思いましたが、何か特別なものをもっているということなのでしょうね?」

「いや、俺は記憶喪失だから、突拍子もないことを思いつくだけだ」

「くくく、なるほど。簡単には秘密は教えてもらえませんか…」


なんだ、このピエロ。

いちいち反応が鬱陶しいんだけど。

というか、俺は記憶喪失なんだ。

そういうことにしておいてほしいということがなんでわからないんだろうか?

それに、結局説明してないじゃねえかよ。

そんなことを思って、睨んでいると、侍のおっさんが笑う。


「ガハハハッ、すまぬ、すまぬ。ついな。いや、助けたときもどことなく面白い奴ではないのかと思ったが、どうやらその通りみたいよな。どうだ、ピエロ。しっかりと状況を説明してやろうではないか?」

「そうですね。どうせ、このままでは終わりではないでしょうからねえ」


その言葉とともに、地響きのようなものが鳴り出す。

これはなんだ?

そう思っていると、アイラとシバルがこちらにやってきた。

そして声を荒げる。


「我の前に絶対に通さない壁を作りたまえ、ホーリーバリア」


その言葉とともに、バリアが張られたと思うと、すぐに湖から出てきた何かが大きな水しぶきをあげる。

それはバリアにかかる。

これはすごいな。

俺は驚きながらも高揚感に包まれていた。

こういうときに、ヘンタイスキルを使って戦えていないことに不安は確かに残るが、それでも今は周りには信用できる仲間たちがいる。

水しぶきを完全に防ぎながらも、相手の水龍が魔力をためているのがわかる。

これは、ブレスだな。

俺は、アイラに指示を出す。


「アイラ、ホーリーバリアを、この角度で!」

「わかった!」

「バーバルは、言ってた通りに」

「わかりましたわ」

「我の前に絶対に通さない壁を作りたまえ、ホーリーバリア!」

「風よ、相手を切り刻む風となせ、ウィンド」


俺は、魔法が発動したのを感じ取ると、ヒメに向かって走る。

さあ、そろそろ全てを終わらせようじゃないか。

そう思いながら…


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