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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは追われる運命ってね!

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70/382

70話

「それで、どこに向かえばいいんだ?」

「湖に向かって!」

「了解」


ヘンタイスキルで強化されているため、俺はかなりの速さで町の中を駆け抜けていた。

領主の屋敷が壊れたからだろう、黒服の男たちがそちらに向かっているのを何人か見た。

そこで俺が捕まる…

なんてことはないけれど、それでも少し追われるのではないのかとヒヤッとはしたけれど、それよりも領主の家がいまだに襲撃されていると思っているのだろうか?

そちらに向かって行く。

まあ、襲撃していたやつはここにいるんだけどな。

湖に向かうということは、もしかしなくてもありえそうだな…

水龍。

アクアドラゴンなんて呼ばれる存在だろうけど、ドラゴンということは…

まあ、ブレスや尻尾攻撃、大きさをいかした攻撃が多いんだろうな。

ドラゴンと戦うにしては転生してから早すぎる気がするんだけどな。

しかも、今回は周りに人がいるからヘンタイスキルが使えないときてる…


「無理かもな…」

「どうかしましたか?」

「いや、別に…」


俺は誤魔化す。

普通に、負けそうなんてことを言ったところで、どうしてそう思うのかって疑問に思って聞かれるだけだろう。

そうなっては、転生者で、ドラゴンを戦った人たちを物語の中で読んだことがあるだけなんてことを言っても、はあと思われるだけだからだ。

まあ、実際にゲームとかでは倒すことはできても、それが目の前に現れると考えると、できないと思う。

だってドラゴンだよ。

転生してもしていなくても、普通に考えればそれなりに強くなってから戦うか、もしくはチートな能力をもらった人間が戦うのであって、俺みたいな、ただのヘンタイしか取り柄がない男が戦ったところで、どうしようもないのはわかっている。

しかも、かなり高貴な竜になれば、ヘンタイな恰好を見られるだけで怒られるかもしれない。

もっというと、今回はバーバルがすぐ近くにいるから、ヘンタイスキルを使うためにパンツを被る時間もない。

完全に役に立たない一般人の俺に何かできるというのだろうか?

考えるだけで頭が痛くなりそうだ。

そうはいっても、どうせ戦うことになるのだろう。

なにかいい手はないのだろうか?

そんなことを思って、とうとう町の外に出た。

後は湖に向かう、緩く下っている川沿いを走るだけになるだろう。

対応できる何かが考えられるはずがない、そう思って走っていたときだった。


「おわ…」

「どうしたんですか急に?」

「いや、これ…」

「これは、アイラさんのバリアですか?」

「どうだろうな?見てわかるものじゃないしな」

「確かにそうですね。誰かはわかりませんが、こんなものを地面にそって…何かがあったんのですか?」

「わから…」


わからないと言うところで、ハッと気づく。

もしかすれば、これはアイラが何か考えがあって作ったものなのか?

ヘンタイ眼を使えていないから、そういうのがわかるってことはないが、なんとなくそれなりに時間がたっていると思うのに消えないバリアがあるということは、アイラのものじゃないのかと思ってしまう。

あのときも一晩は消えないって言ってたしな。

全然ありえるな。

ということは、このバリアはアイラのものと過程する。

だとすれば、この向き、この方向から考えて、バリアは湖に受かって伸びているのだろうということはわかる。


「ふ…くくく…」

「どうしたんですか、ただしさん?」

「いや、いいことを思いついてな」

「どういうことですか?」

「そうだな。バーバルは魔法を使えるし、手伝ってもらうかな」

「はい。わたくしの魔法で役に立てるなら任せてください」


俺はそこであることを思い付いていた。

まあ、単純なことだけど…

このままバリアを活用するということが無理だということはわかっていた。

俺にはこういうのを活用するアイテムがないしな。

あーあ…

よくあるチート能力がほしい。

ほら、収納魔法とかあるじゃん。

そういうの使って、必要なものを全部そこに収納したかったな。

捕まってなかったら、背中に調理用の鍋があったから、そこに入れば滑っていけたかもしれないけど、それができない。

まあ、そもそも入れる大きさでもないから使えるとは思えない。

俺たちに小さくなるスキルでも使えるような仲間でもいれば、ありえる話なのかもしれないけど…

うーん、こんなことを言えばフラグになりそうだな。

いや、今はこのバリアをうまく使うやり方を実戦するために必要なことをしないとな。


「えっと、バーバルはどんな魔法を使えるんだ?」

「そうですね。こう見えても、わたくしはどの属性の魔法も使えますよ」

「そ、それはすごいことなのか?」

「このすごさがわからないとは、ただしはどこかおかしいのでは?」

「いや、実は俺って記憶喪失で、そういうところがわからないんだよ…」

「そうなんですか?それなら、魔法については、また教えて差し上げますね」

「おう…今は、とりあえず…」

「はい、どんな魔法が必要ですか?」

「岩を作るか、操る魔法かな」

「ありますよ、アースストーンという名前の魔法が」

「名前を聞く感じだと、石を作る魔法なのか?」

「はい、記憶を失っているわりにわかるんですか?」

「まあ、なんとなくだけどな」

「そうですか、石を作る魔法ではありますが、考えられるのは大きさと形くらいで、動かしたりなんかはできませんよ」

「大丈夫だ。大きさはなるべく大きなもので、形は丸いものだな」

「わかりました。任せてください」

「ああ」


そこで、魔力の高まりを感じる。

魔法の才能が俺にはないから、それを感じるという程度しかないが、一応ヘンタイ眼を使えばもっと安定して魔力を見ることができるだろうが…

そんな俺の考えはよそに、バーバルは魔法を唱える。


「土よ、岩の塊を我の前に作れ、アースストーン」


バーバルのその言葉によって、バリアの上に岩が作られる。

かなりの重さがあるからか、何もしないと動くことはない。

でも、湖の方向に押せば転がりだすだろう。

あとは俺の玉転がりの腕さえあればいける!


「よし、乗るか!」

「え?」

「え?」

「乗るのですか?」

「ああ!そのために岩を作ってもらったんだけど、ダメだったか?」

「ダメではないのですが…」

「どうかしたのか?」

「さっきのように、激しい感じになりますよね?」


バーバルはそう言いながら、胸を抑える。

しかも顔を赤らめている。

どういうことなのだろうか?

わけがわからないままでいたときだった。


【ちょっと、何をやったのよ!】

「(いや、見てたのならわかるだろ、普通に何もしていないって)」

【気づかないだけで、何かやってるんでしょ?】

「(やってないだろ?見てたんだろ?濡れ衣ばっかりきせるお前は本当に俺を召喚した神なのかよ)」

【しょうがないわね。あたしがいいことを教えてあげるわよ】

「(じゃあ、教えてくれよ)」

【そうね、簡単に言うと胸よ】

「(胸だと?)」

【そうよ。さっきからヘンタイな目で見て、スキルを発動させるためにあるような胸よ】

「(そこまで言うなよ)」

【だって、本当のことでしょ?どうして童貞はそういうところに食いつくのかしらね?】

「(経験がないのだから、それを想像してしまうのは仕方ないことだろ?)」

【なるほど、童貞だから仕方ないってことね】

「(童貞、童貞って、そんなことばかり言われて俺のライフはゼロなんだよ。もうマイナスになりかけてるからな)」

【はあ…じゃあ、マイナスになったあんたに、しっかりと教えておいてあげると、胸は大きすぎるとこすれて痛いのよ】

「(な、なんだと…)」


俺は、バーバルの胸を見てゴクリとつばを飲み込む。

確かに大きい。

だからこそ理解する。

確かにあれが揺れれば胸がこすれて痛いということになるだろう。

なるほど…

あれは自分も傷つける凶器になるということなんだろうか?

く…

想像でしかわからないというのが、童貞の俺にはキツイところだ。

ということはだ、さっきのように激しく動くことになれば、痛いということだろう。

ふむふむ…

かといっても、俺たちもこのままというわけにはいかない。

速くいかないと、ドラゴン復活というイベントが起こり、何もしなくても巻き込まれてしまう俺には、先回りして止めることをしたいと思っている。

だから、こんなところで立ち止まっているわけにはいかないんだ。

すまない。


「バーバル。すまない」

「何を…」

「ふん」


俺はまた、バーバルをお姫様抱っこする。

覚悟を決めるしかないな。

そのままの勢いで俺は玉になった岩に乗る。

コロコロと、いやゴロゴロと転がりだした岩の上に俺は乗っている。

まるでサーカスだ。

くう、残念だが、胸が揺れて痛いのをなんとか両手で抑えることで軽減している。

いや、よく見るんだ、胸が抑えられることで余計に強調されているだと!

これは、ヘンタイスキルが強化される。


「うおおおおおおお」

「きゃああああああ」


二人の絶叫が響きながらも、俺たちは湖まで駆け下りたのだった。

そして、ようやく俺たちはアイラたちと合流することができたのだった。



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